伊藤詩織問題 書類送検の意味が重い特別な理由
松田 隆🇯🇵 @東京 Tokyo🇯🇵
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伊藤詩織ジャーナリストが虚偽告訴と名誉毀損で9月28日に書類送検されたとする問題で、オンラインメディアのBuzz Feedが「書類送検に意味はそれほどない」という趣旨の記事を掲載した。瀧口徹弁護士のコメントを中心とした記事だが、メディア出身者から見ると首をひねりたくなる内容であり、しかも本件においては特別に意味を有していることに気付いていないという点で、的外れな記事と言える。
■山口敬之氏の告訴 満たした要素は形式面だけではない
問題の記事は「伊藤詩織さんの『書類送検』は単なる手続き。山口敬之さんの投稿を弁護士が解説」で、瀧口弁護士がコメントをしてそれを瀬谷健介氏がまとめる形になっている。簡単に内容を書くと以下のようなもの。
①告訴が警察に受理されたという事実は、山口氏の告訴が形式面などの最低限の要素を満たしていると判断した、という以上の意味は持たない
②今回の手続きは「送付」(刑事訴訟法242条)で、現時点では単なる手続きの一つに過ぎない
③書類送検は、送致における例外をのぞいて、当たり前に行われる
④送付を単独で見れば、ニュース性がないとも言え、本来の法的な手続き上の意味としても、それほど意味のあるものではない
⑤伊藤詩織ジャーナリストは「被疑者」「容疑者」なのは間違いない
⑥被疑者(容疑者)や被告人であるからといって、その人が悪い人とはならない
以上は瀧口弁護士のコメントによるもので、瀬谷記者は以下の内容を加えている。
⑦SNSの発信や情報の拡散には、事実を踏まえた上での慎重さと冷静さが必要
瀧口弁護士のコメントで問題となるのは①である。山口氏の告訴が形式面の要素を満たしていたのは当然で、問題は「形式面など」の「など」の部分。つまり、内容としても要素を満たしていたということである。それが受理されたことの意味は決して小さくない。
■告訴が受理されるために…被害届との違い
告訴の条文を見てみよう。
刑事訴訟法230条【告訴権者】 犯罪により害を被つた者は、告訴をすることができる。
つまり、告訴は「犯罪」が成立していなければ、少なくとも受理する警察の時点で犯罪が成立すると判断されなければ告訴としての要件を満たさないことになる。犯罪とは「構成要件に該当し、違法で有責な行為」である。一般の人が加害者の行為が犯罪に該当するかどうかを見極めるのは意外と難しい。例えば、A氏が誤ってB氏の2000万円の壺を壊してしまったが、謝罪をしなかったとしよう。B氏がA氏の誠意のない態度に怒り器物損壊罪(刑法261条)で告訴したとしても、受理される可能性はほぼゼロ。A氏には器物損壊罪の構成要件的故意がないからである。過失で他人の物を壊しても器物損壊罪は成立しない。
そのように犯罪が成立することが難しい場合もあるため、告訴状ではなく「被害届」の形で提出されることは少なくない。「(告訴が)犯人の処罰を求める意思表示である点で、犯罪の被害を申告するにとどまる被害届とは異なる」(刑事訴訟法講義 第3版 安冨潔 p62 慶應義塾大学出版会)と明確に区別されており、検察官への送付の義務があるのは告訴の方だけである。
警視庁が告訴を受理し、検察官に送付したということは警察レベルで犯罪成立の可能性があるとジャッジしたことにほかならず、そのハードルは決して低くない。その低くないハードルを越えた後の手続きは刑事訴訟法に沿って粛々と行われるのであり、そのことをもってして「ニュース性がない」と言うのは合理性を欠く。粛々と行われるような状況になった点にニュースバリューがあるのは言うまでもない。瀧口弁護士は法律のプロであろうが、報道、特にニュースバリューの判断については専門家と呼べるレベルではないと思う。
■本件における特殊事情 検察官への告訴が警視庁に回った理由
上記の事情に加え、本件は書類送検が特別に重い特殊な事情がある。それは告訴の中に虚偽告訴罪(刑法172条)が含まれていること、そして、山口敬之氏サイドが当初、検察庁に告訴したことである。
虚偽告訴罪は、今回に関して言えば、伊藤詩織ジャーナリストが警視庁に虚偽の訴えをして、それで警視庁が捜査に動いた。仮に虚偽の事実を並べたとしたら、被疑者とされる伊藤詩織ジャーナリストは国家の司法作用を害した、俗っぽく言えば(警視庁を騙した)ことになる。
この件で山口氏の関係者は「当初は検察庁に告訴状を提出しようとしたが、検察から『警視庁に出してくれ』と依頼された」という事実を明かした。告訴は検察官又は司法警察員にすると定められており(刑事訴訟法241条1項)、基本的に検察官も断ることはできない。
それをわざわざ検察官が警視庁に出すように言ったのはなぜか。考えられる理由は1つしかない。告訴の中に虚偽告訴罪が含まれていたからである。今回の件で虚偽告訴罪が成立するならば、伊藤詩織ジャーナリストが警視庁に虚偽の告訴をした、即ち警視庁を騙したことになる。警視庁にすれば、騙されたことを認めるのは権威失墜に繋がりかねない。検察庁が告訴を受理して捜査を開始となれば、警察の面目丸潰れである。そこで検察官は「自分たちで伊藤詩織ジャーナリストの告訴が虚偽だったかどうか判断しなさい。その上で処分を決めなさい」と筋を通したのであろう。悪い言い方をすれば「尻拭いは自分でやれ」ということである。
関係者によると山口敬之氏は、伊藤詩織ジャーナリストの告訴を受理した警視庁(高輪署)に対する不信感が強く、自分が告訴しても公正な捜査がなされない可能性があると考えていたようである。東京地検に告訴したのはそれが理由とされる。その後、上記のような過程で警視庁に告訴となったが、警視庁が出した結論は「我々は騙された」「起訴するかどうか、検察で調べて決めてくれ」というものであった。
■重い書類送検の意味 メディアが心がけるべきこと
以上のような経緯を考えると、今回の書類送検は極めて重いものと言えよう。もちろん、不起訴となる可能性はあり、現時点で被疑者とされる伊藤詩織ジャーナリストを犯罪者呼ばわりすることは適切ではない。
その意味でBuzzFeedが言う⑦「SNSの発信や情報の拡散には、事実を踏まえた上での慎重さと冷静さが必要」というのはもっともな意見。ただし、それは山口敬之氏に対しても同様であることを忘れるべきではない。山口氏は刑事は不起訴となり、検察審査会は不起訴相当と判断しており、民事訴訟の一審で被告として一部認容判決を受けただけで犯罪者呼ばわりされる謂れはない。報道する者はその点をよく考えてから、ペンを走らせるべきである。
※伊藤詩織氏の呼称:通常、書類送検された時点で被疑者であり呼称を「容疑者」とすべきと考えますが、東京地検が書類送検の事実を明らかにせず、確認ができないことから「伊藤詩織ジャーナリスト」とし、適宜、「被疑者とされる」を冒頭に付しました。書類送検の事実が確認できた時点で当サイトでは「容疑者」の呼称に切り替えます。
松田様
今回も納得のいく記事を、ありがとうございます。
日頃から、メディアは、芸能人のスキャンダルなど、毒にも薬にもならないようなことを連日連夜垂れ流しています。それらが、関係者達を、どれほど苦しめるのか考えもせず。
山口氏への対応も、まさにそうでした。はすみ氏や杉田議員に対しても、酷いものでした。それなのになぜ、伊藤詩織氏に対してだけ、所謂依怙贔屓をするのか、薄気味悪い感じがしておりました。
ただ、一点だけ、不安があります。山口氏が心配されたように、警察が自分の恥を隠蔽するため、いい加減な捜査をしないかということです。伊藤の著書を読むと、捜査員A氏の伊藤氏への入れ込みぶりは尋常ではなく、高輪署もそれに引っ張られた感じです。A氏は移動されたそうですが、身内の恥を晒すのが苦痛であるのは、警察も同じだと思います。
起訴するかは検察で決めてくれといわれた検察は、警察に忖度することなく、徹底的にやってもらいたいものです。
伊藤氏をまだ曖昧な状況にもかかわらず犯罪者扱いするなという声に対して「はっきりと不起訴が確定した状況であるにもかかわらず、山口氏を犯罪者扱いするな」と、ブーメランしたい気分です!
また、スッキリとした気分にさせられました、事実と真実を見据えた記事を、ありがとうございました。
>>名無しの子様
コメントをありがとうございます。
検察は山口敬之氏を不起訴処分にしていますから、最初から、この事件が伝えられるような構図とは見ていないのではないでしょうか。年内には結論を出すと思いますが、山口氏が受けている被害の甚大さを考えれば、お咎めなしで終わることはないように感じますが…。
我々は冷静に、公平公正に報じ続けていきたいと思っています。他のメディアにも望みたいのですが、なかなかそうはいかない現状なのがもどかしいです。
松田様 素晴らしい記事を有難うございます。
日本のメディアは偏向が酷く、伊藤詩織氏に対する報道も、非常に偏ったものでした。
最初から、伊藤氏=女性=被害者と決めつけ、山口氏=男性=加害者と断罪。
今回のBuzz Feedの記事も同じ路線のもので、読んでいて非常に不愉快になりましたが、
その偏りを、見事に文章にして下さいました。やっぱりプロは違いますね。
私は、伊藤氏の件は慰安婦問題と全く同じ構図と思っております。日本や日本の男性を
貶め、罪人扱いし、自らの利益を得る(被害者利権) 伊藤氏の発言、言動に強い疑義を
感じています。
今回の虚偽告訴と、名誉棄損での告訴受理、書類送検は「伊藤氏が嘘つきなのではないか?」という疑義を検察と、警察が判断するという事なのですが、検察にはあまり期待していません。不起訴になる可能性もあります。公判が維持出来るかどうか。それを検察が判断する訳ですが、山口氏の名誉と人権の為にも 是非起訴して頂きたいですね。
そしてメディアに望むことは、“公平”な扱いなのです。山口氏は誹謗中傷や罵詈雑言を
浴び続けて居ますが、メディアが“公平”に報道していたら、違ったものになってたと
思います。 松田様には、今後も変わらず“公平”な報道をお願いします。
嬉しかったので、思わずコメントを書きました。 拙い文章で失礼致しました。
>>匿名様
コメントをありがとうございます。
BuzzFeedは朝日系らしいですね。瀬谷記者の書いたものもそのレベルなのかなという気がします。
被疑者とされる伊藤詩織ジャーナリストが起訴されるかどうか、私にも分かりませんが、彼女のこれまでの証言がほとんど信用できないものであるように僕には感じますし、また、山口敬之氏が受けた甚大な被害を考えれば起訴して刑事罰を負わせるのが適切なのかなと感じています。
これからも公平公正な情報発信をしていきたいと思います。身に余るお褒めの言葉、ありがとうございます。
松田 様
大変素晴らしい記事内容です。貴兄のような方がこの「山口敬之vs伊藤詩織事件」に関わっていることは大変心強く感じています。
さて、この度の「検察送致」の見解については、私が申し述べることは何もございません。
ただ私としては、山口敬之と伊藤詩織の両氏の違いを鮮明にしておく必要がある、と考えています。
即ち、山口氏は、嘘偽りがなく、出自、学歴、職歴を初めとするすべてをさらけ出しているのに対し、伊藤氏は、ウソと隠し事が多い、という点です。これらのことをまず明確にした上で捜査が進められるべきである、と考えます。さらに、特に、伊藤氏は国内外で行った数々の記者会見を初めとする発信で英語でかなりのウソを連発している点についても、警察と検察は英語の達人を交えてすべて精査すべきと考えています。その上で、起訴すべきか否かを判断すべきことを強調しておきたいと思うのです。
>>マイク青木様
コメントをありがとうございます。お褒めにいただき、光栄です。
もしかしたら、ゴルフ関連を中心とされているマイク青木先生でいらっしゃいますでしょうか。もし、そうであれば、このような泡沫サイトにコメントをいただけたことも大変、光栄に存じます。
伊藤詩織ジャーナリストは、ジャーナリストを自称しながら自らの出身大学等を明記しないのはどうにも納得がいきません。その人がどのような教育を受けて文章を書いているのか、ユーザーや読者、視聴者がそのバックグラウンドを知るためにも情報発信者は経歴は明らかにするのが当然と思っています。私はそのあたりで不信感を持ってしまいます。
会見での内容も、ネットでは相当問題にされています。日本では常に性犯罪に遭うという趣旨の発言は日本人として看過できません。
これからも、この問題は追及していく考えです。これからもよろしくお願いいたします。
彼女のケガが膝蓋骨脱臼の話があったので記載します。
https://note.com/tass/n/n38402cc3c959
カルテでは、「膝内障・膝挫傷」とありカルテ偽造は犯罪ですが、マスコミはスルーです。
https://news.yahoo.co.jp/byline/fukunagakatsuya/20170214-00067712/
膝内障のケガだ代表的なのが巨人吉村氏。
https://byoinnavi.jp/di00
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%90%89%E6%9D%91%E7%A6%8E%E7%AB%A0
膝挫傷のケガで代表的なのが、元サッカーブラジル代表ロナウド氏。
http://www.judo-akimoto.com/bruise4.htm
https://www.nikkansports.com/soccer/world/p-sc-tp3-20080215-321580.html
松田さんには申し訳ないですが、日刊スポーツは、ロナウド氏の記事は配信しているのに、
なぜこれにツッコミを入れないの?
私は、右足甲骨骨折して1ッか月入院してリハビリをしているときに、関節リュウマチで
リハビリしている人の苦労をマジかに見て、彼女の行為は、膝関節で苦しんでいる人に対しての冒涜行為です!
>>トトロ様
日刊スポーツに関しては、まあ、そのレベルの媒体でしかないという感じでしょうか。最近、あるベテラン記者のコラムをネットで見ましたが、小学生の作文のようなレベルで唖然とさせられました。記者出身の部長経験者が書いたものですが、ひどい表現、内容でした。
伊藤詩織ジャーナリストの行為が膝を痛めている人への尊敬が欠けた行為であるのは間違い無いと思います。
松田様
初めまして。とても論理的で分かりやすい記事をありがとうございました。
私自身の私見などは控えさせていただきますが、ここまで来るとこの問題は単に山口氏と伊藤氏両者の言い分の白黒だけではなく、実は全ての日本の男性に起こりうる冤罪をどう防げばいいのかという大問題だと捉えております。
被害者と称する女性の言い分がすべて正しくて絶対であり、加害者とされた男性は客観的な証拠があってもその言い分は完全否定される・・・実は、とても怖い風潮に危機感を覚えます。
>>スッパまん様
コメントをありがとうございます。
確かにこの案件は男性には要注意です。そうした行為に至る場合、契約書を交わさないといけないというのもあながち冗談ではすまなくなっている感じです。女性の言うことは全て正しい、という風潮も感じます。裁判結果は社会への警鐘となり得ると思っています。
>>スッパまん様
コメントをありがとうございます。返信が遅くなり、大変、失礼しました。
確かに司法に対して「最終的には女性の言うことは正しい、と考えているのではないかな」という不信の声を耳にすることはあります。密室での出来事は水掛け論になるので、「被害をうったえているのだから、間違い無いだろう」という安直な考えがあるのかもしれません。
冗談ではなく、今後は性交渉の前に同意書にサインなどという時代が来るかもしれません。
我々は騙されたというのは「 」でくくってありましすが、だれかが言ったのですか?伝聞ですか?もしくは、一連の流れについての松田様の解釈ですか?
非常に重要な一言なのでお教えいただければ幸いだす。
>>物部守屋様
コメントをありがとうございます。
読んだ通りに解釈いただければと思います。普通の国語力であれば、十分理解が可能と思いますが。
裁判等に使用するために聞きたいということであれば、それなりの手続きでご質問ください。
いえ、裁判への利用ではありません。
メディアや伊藤容疑者の支援者が、あまりにもひどいので側面支援したいだけです。
失礼いたしました。
松田様。再びコメントさせていただきます。
もうすでにご存知かとは存じますが、嘘偽りが多いと評判の、伊藤詩織氏の著書ブラックボックス(以下BBとします)が、11月にイタリアで発売予定とされていました。「あるレイプの物語」とかいう副題をつけて。伊藤氏書類送検を受けて、さすがに発売を見合わせるだろうと思っていましたが、すでに発売されているそうです。広告の文面が、ネットに載っていました(副題の方は、実際につけられているかどうかはわかりません)
さらに、来年の7月、英語版も発売するということで、英語圏、つまりアメリカやイギリスでも発売するということなのでしょう。
一体、どういう神経をしているのでしょうか。今現在、虚偽告訴罪の容疑者であることの「自覚」というのは、皆無なのでしょうか。また、アメリカでは不法就労をしていたと聞いたことがあります。だから、アメリカでの発売がなかなか実現しなかったと。今回は、それもバレてしまいますね。
イタリアでのBB発売、来年の英語版発売予定は、伊藤氏の罪を、より深くするように、私には思えますが、松田様は、いかが思われますでしょうか。
>>名無しの子様
コメントをありがとうございます。
海外での著書の発売、海外の出版社は売れればいいという考えなのかもしれませんね。これで刑事告訴されているという件で起訴された場合、「とんでもない偽書」ということで、また売れるかもしれないという計算をしているかもしれません。
彼女の動きには、何か大きなバックがついているのだろうと思える部分があります。自分に関することを自分でコントロールできなくなっているように思えます。
とにかく、困った人だなという感想ですね。真実が明かされる日は近いと思います。
松田様
なるほど!偽書であればなおさら売れる、という計算ですか!そう考えれば、確かにその通りかもしれませんね。
とにかく、なんでもかんでも、金儲けという感じで、ウンザリします。
松田様のおっしゃる通り、真実が明かされる日も、もうすぐですね。
松田様は、真実を追求する、数少ない真のジャーナリストだと思います。これからも応援させてください。
ありがとうございました。返信は不要ですよ。