札幌市教委 ”オコタンペ湖写真”に曖昧戦術
松田 隆🇯🇵 @東京 Tokyo🇯🇵
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札幌市の元中学教師が免職処分取消しを求め札幌地裁に提起した訴訟で、被告の札幌市は当サイト提出の報告書を軽視・無視する姿勢を見せた。7月30日にウェブ弁論準備手続で明らかになった。元教師から性的被害を受けたとする女性が提出した写真は合成されたものであることを検証した報告書は処分取消しの重要な判断材料となると思われるが、それを軽視・無視する姿勢に出たのは、そう答えざるを得ない市側の苦しい立場があるように思える。
◾️オコタンペ湖展望台
2021年に中学教師であった鈴木浩氏(仮名)が28年前に当時中学3年だった写真家の石田郁子氏(46)にわいせつな行為(非違行為と表現している)をしたとして免職処分になったが、全くの”冤罪”であるとして札幌市への審査請求(棄却)を経て司法の場で争っている。
当サイトでは石田氏が高校3年の時に鈴木氏とオコタンペ湖(北海道千歳市)の展望台で撮影したとする写真が合成されたフェイクであるとする検証を行い、報告書として4月18日に提出した(参照・札幌教師免職取消し訴訟 当サイトが報告書提出、”被害女性”フェイク写真の証拠 透けて見えた背景)。
7月30日に行われたウェブ弁論準備手続に出廷した鈴木氏は「(被告である札幌市の)市教委は『(写真は)私たちが出している証拠ではないので、特に説明はありません』とのことでした。基本的にはオコタンペ湖の写真については無視の姿勢のようです。『原告側からの立証が全て終わった段階で答弁を行います』と言っていました」と手続きの状況を説明する。
市教委の反応は概ね予想通りである。ただ、今回の答えであれば4月18日に報告書が提出された時点で言えたはず。それを言わずに3か月も引っ張ったのは不自然ではある。
◾️イエスともノーとも言えない立場
もともと当該写真は2016年10月17日に石田氏が市教委に対して鈴木氏を処分するように求め提出した証拠の中の1つ。当時高校3年だった石田氏は、わいせつな行為を受けながらも、それを交際と思わされていたといい、その中で2人でオコタンペ湖に行き、写真撮影をしたというのである。
市教委は処分をしなかったために石田氏は札幌市と鈴木氏に対して損害賠償請求を求め、東京地裁に提訴した。この時にはなぜか証拠として当該写真は提出されなかった。
訴えは原審(東京地裁)、控訴審(東京高裁)ともに退けられたが、東京高裁は鈴木氏による行為はあったと認定。その結果、共同被告であった市教委(札幌市)は一転して鈴木氏を懲戒免職処分(2021年1月28日)としたのである。
つまり、当該写真は石田氏の主張の正しさを裏付け、鈴木氏を免職する方向に働かせる証拠であり、市教委としては処分の正当性を裏付ける証拠。その証拠を後日合成されたものであるとの検証結果が出てくれば、それに対して「写真は本物である」「検証結果に信憑性はない」など否定しなければおかしい。
市教委は東京高裁の判決を契機にあらためて証拠を確認し検討した結果、鈴木氏が非違行為に及んだと認定して免職にしている。東京高裁が判決理由中の判断で事実を認定したから処分したのではないという立場を貫いている。
当サイトが提出した報告書を見れば、当該写真が合成されたものであることは明らかで常識的に考えて反論はできない。もし、市教委が当サイトの検証に疑問を持つのであれば、堂々と科学的論争を挑んでくればいい話で、その場合には筆者を証人として呼べばいいが、それはしないようである。
結局、市教委は当該写真の真贋についてどのような立場なのかをはっきりさせない曖昧戦術に出るように思われる。「合成されたものではないと思う」と言えば、当サイトの報告書に表れている事実に科学的な反論が必要になるが、それは出来ない。「合成されたものと思う」と言えば、「偽造された証拠を提出した人物の言葉を信じて処分していいのか」「それ以外の証拠は虚偽ではないと考える根拠はあるのか」と突かれる。
石田氏に連絡を取り、「原告があなたが提出した写真を合成されたものだと言っているが、真実はどうなのか」と聞いてもいいが、石田氏が「偽造しました」と認めるはずがない。「それなら、なぜ、本来あるべき影がないのか」「人物に背景が透けているのはなぜか」「画像を切り取った跡である人物の周囲の黒い縁取りは何か」と報告書にある疑問をぶつけても納得のいく説明が返ってこない。
八方塞がりの現状に「私たちが出している証拠ではないので、特に説明はありません」と立場をはっきりさせず、処分を決定するにあたっては当該写真の重要な要素ではなかったと言い逃れをする方法を選ぶしかない状況に陥ったというのが真実ではないか。
◾️ボディーブローのように
市教委のこうした姿勢はある程度予測はついたが、報告書に対して反論しないのであれば当該写真は石田氏によって合成されたものであるという認定の上での判決となるのは間違いない。
当サイトでは石田氏が交際期間を1年早める虚偽の事実を述べていることも明らかにしており(参照・免職教師の叫び(12)CAN YOU CELEBRATE?)、この記事自体も証拠として提出されている。
原告の主張立証が終了した後に答弁するとしているが、果たしてどのような反論をしてくるのか。ここまでの状況を見る限り、原告サイドが出す数々の証拠がボディーブローのように効いているように見える。
この件私も未だに気になっています。生徒の人権は当然ですが、教員の人権も同様に守られるべきだと思います。松田氏の一連の報道を拝聴すると、今回の事件は札幌市教育委員会が事なかれ主義で世論に押されて教員にその責任を押しつけたことに端を発した感が否めません。
ただ一つ気になるのですが、二人が再開した時に録音されていたテープの内容が札幌市の決定に大きな意味を持ったようですが、仮に写真の偽造を証明できたとしてこの録音テープの内容を否定できるものなのでしょうか。裁判のことはよく分からないので、裁判におけるこの録音テープの意味とその重みについての予測を教えていただければと思います。
僕の場合、この問題に関して取材する立場ですが、同時に原告弁護人からの依頼を受けて報告書を提出しており当事者という側面もあります。そのため、言えることもあれば、言えないこともあります。
ここで何か書いて、そのことで裁判に何らかの影響が及ぶことは絶対に避けなければなりません。ですから、書けることはかなり限られます。
失礼ながら、福岡太郎様がどういうお立場なのか分かりません。被告側の関係者、あるいは石田郁子氏に近い人かもしれず、僕のコメントが裁判をする上で利用される可能性も考えないといけないでしょう。
そういうことで、コメント欄で何かを書くことはしません。伝えられることは記事にして出しますので、そちらをご覧になってください。
鈴木氏、石田氏のいずれとも利害関係はありませんが、石田氏の主張には今更感が否めず疑問を抱いています。
状況は理解いたしました。今後の報道を待ちたいと思います。
原告の鈴木氏とは利害関係がないとのことですが、被告の札幌市(教委)との利害関係については言及されていませんね。
訴外石田氏と利害関係がないことをわざわざ言及しているにもかかわらず、被告との関係に触れていないのは不自然に感じられます。
僕も立場上、慎重にならざるを得ませんので、ご理解のほどを。