中居正広氏調査に疑義呈すも身内に甘い弁護士

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松田 隆🇯🇵 @東京 Tokyo🇯🇵

松田 隆🇯🇵 @東京 Tokyo🇯🇵

青山学院大学大学院法務研究科卒業。1985年から2014年まで日刊スポーツ新聞社に勤務。退職後にフリーランスのジャーナリストとして活動を開始。

 中居正広氏がフジテレビの元女性アナウンサーに「性暴力」を行ったとする第三者委員会(以下、第三者委)の調査報告書を批判する文章が公開された。「第三者委員会報告書格付け委員会」の委員長である久保利英明弁護士(81)によるもので、第三者委の公平公正な判断に疑問を呈している。一方で、中居氏への人権侵害については可能性を示すにとどまり、侵害自体の存在は認めず、当然、救済については解決の方向性すら示していない。「性暴力」認定について第三者委の責任を問わず、結果として他責的な評価に傾くなど、法曹としての良心が問われる内容と言える。

◾️第三者委員会の使命

イラストはAIで生成

 久保利弁護士は12月30日付けで、自身のnoteにフジテレビが設置した第三者委の調査報告書についての所感を述べる文章を投稿した。250字程度で要約すると以下のようになる。

 第三者委の報告書はフジテレビのガバナンスが問題とされたにもかかわらず、「何のため、誰のためにあるのか」という視点が欠け、組織の問題よりもタレントと社員の間で何があったのかという点に焦点が置かれた。

 そのため、組織的課題が十分に検証されたのか疑問が残る。また、当事者間の事実関係の解明が難しいにもかかわらず、一方の主張のみを大きく扱ったことは公平ではなく、第三者委の役割と隔たりがある。さらに、こうした焦点設定によって、第三者委による人権侵害ではないか、タレントの人権はどうなのか、という問題が生じた。(久保利英明 note・『2025 フジテレビ第三者委員会について』から)

 要は、本来フジテレビのガバナンスの問題を論じるべきであったのに、本来、自分たちの役割ではない中居正広氏と女性アナウンサー(女性A=以下、調査報告書の表記に従う)との間に何があったのかにスポットライトを当てすぎて、「フジテレビというメディアは何のために、誰のためにあるのかが、すっぽり脱落した調査報告書になってしまった感が否めない。」(久保利氏noteから、以下、断りがない場合は同様の引用)というのである。

 「第三者委員会というのは…会社の組織の問題点を分析するところ」というのは、その通りで、中居氏と女性Aの間で何が起きたのかを調べることは本件における委嘱範囲からすれば第三者委に課せられた使命とは異なるのは当然である。

◾️久保利氏投稿に一定の評価ができる部分

 そうした点を踏まえ、久保利氏は以下のように記している。

そうした、社内コンプライアンスについて、第三者委員会は、今回の事案について、ガバナンスや経営トップの行動をしっかりと調査したのでしょうか。…今回は、相手側タレントを加害者にして、責任転嫁した形となりました。

ターゲットではないところにターゲットを据えてしまったために、第三者委員会が人権侵害をしたのではないか?タレントの人権はどうなのか?という問題にもなりました。

事実を明らかにすることが難しいのに、それを一方の主張のみ大きく扱うことは、公平ではありませんし、それ自体、今回の第三者委員会の役割とは隔たりがあります。

 からについては、これまで他の関係者が踏み込めなかった部分であるため、一定の評価は可能である。本来、第三者委が深く関わるべきではない中居氏と女性Aの問題に深く関わって、女性Aの主張に偏って評価したとすれば、中立性、公正性、公平性を旨とする第三者委の存在価値そのものを毀損する。その意味で第三者委員会調査報告格付け委員会の委員長である久保利氏からその点が指摘されたことは、多少、意義があると言っていい。

◾️疑問符がつく久保利氏の主張

 もっとも、記事全体を見ると多くの疑問点がある。

(1)調査報告書が出されてから9か月も経過した時期に、私信の形での記事公開にすぎない

(2)第三者委の構成そのものに中立性に疑義があることに言及がない

(3)第三者委の調査の方向性がズレたことをメディアやジャーナリストの責任としている

(4)一方の主張のみを大きく扱うことを認めたのに、その点の調査報告の信憑性に触れていない

(5)一方の主張のみを大きく扱った結果に加え、おそらくその方向性から「性暴力」という実態とは離れた言語を用いて中居氏の行為を評価したことについては批判しない

(6)中居氏への人権侵害があった点について、明確に認めていない

 大きなところでは以上であろう。特に(1)について、久保利氏は「第三者委員会調査報告書格付け委員会」の委員長であり、これだけ社会で大きな問題になり、さらに中居氏サイドでは第三者委に何度か質問をして、その内容、表現、調査方法等を批判しているのに、同委員会が行なっている格付け結果も、個別評価も未だに公表されていない。

 「第三者委員会の報告書が出された直後から、様々な問合せをいただきました。私は、あえて渦中の事件に関するコメントはしませんでした」と書いているように、調査報告書に疑義を持つ人々が格付け委員会の委員長に対して「何か言ってくれ」と問うのは当然であろう。それを9か月も無視し、最後は私信で調査報告書を批判しているのである。私信での公開にしたのは「私は批判してますよ」というアリバイ作りと受け取られかねない。

 もし、格付け委員会で個別評価を行うとすれば、真っ先に問題となるのは第三者委の構成が偏っており、中立性に疑義が生じる点であろう。当サイトが指摘したように、委員3人のうち2人は刑法の不同意性交罪の創設にも深く関わった国際人権NGOのヒューマンライツナウ(HRN)の関係者であり、委員構成はHRNの思想的影響を強く受けた布陣と言える。さらに主任調査担当弁護士5人のうち2人は第三者委の委員長である竹内朗弁護士と同じプロアクト法律事務所所属で、その中の1人はHRNの運営委員を務めている(参照・中居氏に性暴力の汚名着せたのは誰か HRNの影響力)。

 また、女性Aの菅沼友子弁護士の亡夫(上柳敏郎氏)はHRNの理事長職にあった(自由法曹団 第1802号 新春ニュースを読んでモノ思う)。

 ところが、(2)で指摘したように、上記の点には触れられていない。なお、久保利弁護士はHRNの運営顧問として、同団体のHPに掲載されている(HRN・会員の声)。

◾️第三者委の故意

 もし、久保利氏が格付け委員会で正式にフジテレビの第三者委の調査報告書を評価するとすれば、そこが入口になって、全体の信頼性が崩壊してしまう。そのため(3)で第三者委が中居氏と女性Aの問題に深入りしたのは、メディアやジャーナリストのせいであるとして第三者委はそうしたムードに流されてしまった、いわば過失であるという言い方をしているものと思われる。

 委員会の主要部分をHRNで占めていることから、中居氏にすべての責任を押し付ける結果は十分に予想されたはず。中居氏が「性暴力」という汚名を着せられ、その名誉を毀損されたことにメディアやジャーナリストは関係なく、第三者委が最初から狙っていたと思われても仕方がない。過失などではなく故意が認められる行為であると、当サイトは考える。久保利氏は立場上、そうは言えないので(3)のような表現を行ったのであろう。

 中居氏と女性Aの事案の評価が、恣意的なものになっていると言い得るのであれば、「性暴力」という認定も見直されるべきである。調査報告書の信憑性が毀損されている可能性があるにもかかわらず、(4)(5)で指摘したとおり、その点には踏み込んでいない。

 中居氏への人権侵害があったことは、中居氏の弁護団も主張しており、当サイトも早くからその点を指摘していた。それを考えてか、その点について触れてはいるが「第三者委員会が人権侵害をしたのではないか?タレントの人権はどうなのか?という問題にもなりました。」という表現にとどめ、はっきりと人権侵害があったとは言っていない。それが(6)で指摘した部分である。

◾️久保利氏の社会的責任

写真はイメージ、AIで生成

 久保利氏は記事の最後をこう締め括っている。

 「委員会が、公平公正に動いたのか、常に、見張ることが必要です。ですから、そこに『格付け委員会』があります。しかし、その仕組みや内容も、あらたにする時期がきています。…常に、公平公正に判断のできる場所を、もう一度、考えたいと思いました。」

 まるで他人事である。まず、まだ格付け委員会が存在しているのであるから、久保利氏が自ら今回の調査報告書の問題点を全て明らかにして、中居氏の救済を求める声を上げるべきではないのか。それが人権を守る弁護士の進むべき道であろう。まして竹内朗弁護士は格付け委員会で何度も個別評価を書いており、久保利氏と近い関係にある。

 それをほとぼりが覚めたころに私信で「第三者委の報告書ってどうなのよ」という趣旨の記事を書いたところで、格付け委員会委員長として、長年、調査報告書の評価を行ってきた久保利氏がその社会的責任を果たしたことにはならない。その点はよく考えた方がいい。

(SNS関連投稿・YouTube・中居正広氏の悲劇 どこが中立…第三者委員会とヒューマンライツナウの関係

    "中居正広氏調査に疑義呈すも身内に甘い弁護士"に1件のコメントがあります

    1. マーボー より:

      フジ第三者委員会の委員はHRNの影響を強く受けているということはボチボチ世間にも知られてきましたが、「第三者委員会報告書格付け委員会」はどうなんでしょうか。

      格付け委員の顔ぶれを見てみると(敬称略)
       委員長・久保利 英明
       副員長・国広 正
       事務局長・竹内 朗

      おやおや、これまたトップスリーがHRNですね。
      また、副員長の国広正氏はフジ第三者委・委員の五味祐子氏の上司。

      久保利英明氏のフジ第三者委員会に対する批判は上記の事実が問題視されることを恐れたことも理由のひとつかなあと、思ったりもします。

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