成毛眞氏「39歳からのシン教養」に編集協力
松田 隆🇯🇵 @東京 Tokyo🇯🇵
最新記事 by 松田 隆🇯🇵 @東京 Tokyo🇯🇵 (全て見る)
- 見えてこない導入の必要性 分娩費用の保険適用化 - 2024年11月18日
- 検討会で弁護士暴論「産科医は医療安全に前のめり」 - 2024年11月16日
- ズレてる安藤優子氏 窓際指定席を外国人に「どうぞ」 - 2024年11月12日
マイクロソフト株式会社(日本法人)の元代表取締役社長の成毛眞氏の新著「39歳からのシン教養」が6月21日、PHP研究所から発売になった。成毛氏は現在、知識の9割を本ではなくインターネットから得ているという。今の時代の教養の身につけ方を解説した一冊。今回、当サイトでは編集協力者として名前を掲載していただいた。
■知識はほとんどネットから
本著は30代以上のミドル社員が教養を身につけるために書かれたもの。これからデジタルネイティブの10代、20代を部下にして使いこなし、かつ、競い合っていくためには教養が求められるのは明らかで、その教養を30代で身につけようとすると圧倒的に時間が少ないことに気付かされるであろう。
そのような人が手っ取り早く教養を身につけようと思ったら、難解な哲学書を手にするより、まずはパソコン画面に向かってキーワードを検索しよう、というもの。
成毛氏の基本的な考え方を聞いた時、非常に共感を覚えた。実は僕も今はあまり本を読まない。大学院にいる頃は法律関連の書籍を週に1冊は買い、必死に読んでいたものであるが、その後はほとんど本自体を買うことはなくなった。年をとっても好奇心が旺盛であることは自認しているが、現在、知識はほとんどネットからインプットしている。
仕事をしている時にちょっと気になったら、wikiを覗く。よく見たものを思いつくままに書くと「ニュルンベルク裁判」、「外務省機密電文漏洩事件」(wikiでは西山事件)、「閑院宮」、「桶狭間の戦い」、「南鳥島」、「1978 FIFAワールドカップ」など。それらはほんの一例にすぎず、とにかく気になったものは、片っ端からググるようにしている。
僕自身がそういう雑食性であり、しかも本を読まないことに多少のコンプレックスを感じていただけに、成毛氏の話を聞いた時には(自分のやり方は間違っていなかった)と安心したのを覚えている。
現在、書店で平積みになっており、僕が編集協力した本が多くの方に手にとっていただける状況になっているのは感激である。
■19世紀の科学者の奮闘
「39歳からのシン教養」では、成毛氏流の教養の身につけ方、現代を示す重要なキーワードなどが書かれており、その点は実際に役に立つと思われる。
個人的に面白いと感じたものを紹介すると「光の速さはどう測る?」(p131~)でフィゾーの回転歯車の実験(1849年)の部分。19世紀中葉の科学者が光の速さを約31万km/秒と、かなり正確に導き出した経緯には驚かされた。「頭はこうして使えばいいんだ」という好例であろう。
また、光速で移動する電車の中の時間の流れが二倍遅く見えるのはなぜかという部分の説明は分かり易く、文系の人間にも興味が湧くような表現で書かれている。
それ以外にも、ディープインパクト産駒「スノーフォール」がG1英オークスを優勝した時の話から始まり、その時のデットーリ騎手のコメント、シュネルマイスターがNHKマイルCを優勝した時の関連など、競馬ファンにも楽しめる内容もある(現地の「冷静な記述」に着目する p216~)。
映画監督のロマン・ポランスキーが子役モデルへの性的な行為での有罪判決を受けているが、そこから派生してシャロン・テート事件、ジェフ・マクドナルドケースへと繋がる部分は1960年代近辺の米国の社会や文化に興味のある人には味わい深いものがあるかもしれない。
■「くすぐり」はやめよう
全体として非常に面白く、実際に知識を蓄積していくために役に立つと思われる。実は編集者を交えた話し合いの場で、僕の方から「成毛さんは女優の田中裕子さんと同級生だったそうで、その部分を少し入れたらどうでしょう?」と申し出た。
ところが、成毛氏は「そういう(読者への)くすぐりはやめよう」ということで、その話は実現しなかった。成毛氏としてはそうした「くすぐり」ではなく、本の中身で勝負したいという思いがあったのかもしれない。そんな成毛氏の気合いが感じられる一冊と言っていい。
アマゾンでは6月27日に単行本で57位にランクされており、かなり売れ行きも良さそう。単行本(ソフトカバー)1,870円、Kindle版1,441円。
》》ジャーナリスト松田様
成毛眞氏が女優の田中裕子さんとのエピソードを書かれないのと同様に、松田さんもこれまでのコネクション、特に日刊スポーツ時代の有名人との交流などを【令和電子瓦版】の宣伝には利用されないですね。たまにはお聞きしたくなることもございますが(笑)。
ジャーナリストとしてあくまでも記事で真っ向
勝負する松田さんにワクワクします。そしてその痛快な論調にとめどもなくシンパシーを感じます。