ドウデュースはロイヤルアスコット出走と予想
松田 隆🇯🇵 @東京 Tokyo🇯🇵
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ダービー馬ドウデュース(牡4、栗東・友道厩舎)が2月12日のG2京都記念(芝2200m)を快勝した。3月25日のG1ドバイターフに向けて最高のスタートを切った。秋にはG1凱旋門賞への再挑戦が待っており、今年は海外でのレース参戦が中心となりそう。同馬の年間ローテーションを考えると、英王室主催で世界で最も華やかな開催とされるロイヤルミーティング(アスコット)への参戦がありそう。現時点での参戦レースを推理してみた。
■英王室主催のロイヤルミーティング
ドウデュースのローテーションで既に決定しているのは次走3月25日のG1ドバイターフである。同馬の出走が見込まれるレースを一覧表にしたのでご覧いただきたい。出走が決定的なレースには右端に星の印をつけている。ドバイターフとともに出走に強い意欲を見せているのが10月1日のG1凱旋門賞。
競馬ファンならお分かりと思うが、3月25日と10月1日に海外で出走し、しかも勝利を狙うとなると、輸送とそれに伴う調整があるため、その間に日本で走るレースは限られる。6月25日のG1宝塚記念や、8月20日のG2札幌記念への出走は可能ではあるが、仮に勝ったとしても種牡馬としての価値にはほとんど影響がなく、賞金以外に出走するメリットは少ない。
同馬のオーナーは武豊騎手と凱旋門賞を勝つのが夢であることを公言しているのであるから、そこに向けて最善のローテーションを組むのは明らかで、宝塚記念も札幌記念も出走の可能性はほとんどない。札幌記念は凱旋門賞の前哨戦、叩き台という位置付けで出走する可能性はないわけではないが、宝塚記念に至ってはほぼ0%と思われる。
ドバイターフでは過去の日本馬の実績、京都記念の内容から勝つ可能性は十分あり、仮にアクシデントなどで負けたとしても僅差の勝負には持ち込めるはず。その場合、次はどこへ行くか。最有力は6月14日のG1プリンスオブウェールズS(芝約2000m)と考えられる。表では花のマークをつけたが、これは出走が濃厚と思われるレース。
毎年6月第3週に設定されているアスコット競馬場での開催はロイヤルミーティング(ロイヤルアスコット)と呼ばれる英王室主催の開催となる。勝者は直接、国王陛下から栄誉を讃えられるとあり、多くの競馬関係者が目指している。そのため古馬の一線級が集うG1プリンスオブウェールズSはかなりレベルが高いレースとなっている。欧州の上半期の大一番といえば、かつては7月下旬のG1KジョージⅥ世&QエリザベスSであったが、昨今ではそれがG1プリンスオブウェールズSにシフトしてきている印象。
派手なレースが好きなドウデュース陣営には格好のターゲットであるし、何より、1800mのドバイターフを使う時点で、狙いは2000mのここという推理は成り立つ。ドウデュースはG1皐月賞(芝2000m)で3着と敗れ、G1東京優駿(芝2400m)を勝ち、最大の目標はG1凱旋門賞(芝2400m)である。そのためドバイに参戦するならG1ドバイシーマクラシック(芝2410m)を狙うのが常道で、ドバイターフは同じノーザンファーム生産馬でG1天皇賞・秋(芝2000m)を制したイクイノックスが参戦するのが自然な姿。
ところが、ドウデュースがG1プリンスオブウェールズSを見据えてドバイターフへの参戦を決めれば、ノーザンファームとしてはイクイノックスとの2頭出しとするよりは、イクイノックスをシーマクラシックに回してG1を2勝しようという計算をしても不思議はない。おそらくそういった政治的な思惑があって、2頭の出走レースが定石とは逆のパターンになったように思う。
■G1プリンスオブウェールズS狙いか
難しいのは10月1日のG1凱旋門賞までの道のり。昨年は前哨戦のG2ニエル賞を使って4着、中2週の本番では19着と惨敗した。極度の道悪が敗因とはいえ、輸送して中2週というローテーションが影響した可能性もある。G2京都記念を4か月ぶりの実戦にもかかわらず快勝したことを思うと、間隔を詰めて使うより調教で仕上げられるので休み明けで使う方がいいという判断に傾くと思われる。
そうなると、2022年とは異なるパターンで出走する蓋然性は高い。ドバイから帰国し、6月上旬に英国に渡ってG1プリンスオブウェールズSを使ってすぐに帰国、7月末から調整のピッチを上げて日本で体を9割ほどに仕上げ、9月中旬に渡仏して本番というパターンは予想がつく。今回より1か月ほど間隔は短くなることもあり、それが本線ではないか。
可能性があるとすれば、現地に滞在してもう1戦するパターン。その場合は7月14日のG1パリ大賞、同23日のG1KジョージⅥ世&QエリザベスSが候補であろう。パリ大賞であれば本番と同コース同距離というメリットがあるが、いかんせん、前走からちょうど1か月後という日程がネックとなる。可能性としてはキングジョージと思われるが、ここを使うといったん帰国して、再度渡仏の日程が厳しくなるのがネック。
そうなるとプリンスオブウェールズSの後、帰国して8月23日のG1インターナショナルSを使い、そのまま滞在して本番というパターンも考えられる。その場合、あくまでも凱旋門賞に向けて国内で調整をしたい、本番前にひと叩きしたいということであれば、わざわざ英国に出向くよりも8月20日の札幌記念というパターンは考えられなくもない。
■凱旋門賞の後はブリーダーズカップへ
実は、ドウデュースの場合、凱旋門賞の後はブリーダーズカップに参戦するのはほぼ確実となっている。その点、武豊騎手は親交のある藤浪晋太郎投手と「オフシーズンになっていたとしても、『帰国しないで待っています。サンタアニタ競馬場に応援に行きますよ』と、晋太郎はそう言ってくれたのです。大きな楽しみができました。」(武豊Official Site Take a Chance!・大きな楽しみができました、2023年2月13日閲覧)とブリーダーズカップで応援してもらう約束をしている。
陣営は凱旋門賞の後にもう1戦を考えているわけで、そうなると、京都記念から8月までに4戦というのは使い過ぎと考えられる。結論から言えば、プリンスオブウェールズS→帰国→渡仏→凱旋門賞→ブリーダーズカップというパターンが有力と思われる。世界的名手のデットーリ騎手がブリーダーズカップで現役を終えることを公言しており、そこで一緒に乗れることも、参戦へのモチベーションになっているのかもしれない。
そして、問題はブリーダーズカップのどのレースを使うかである。多くのファンはG1BCターフ(芝約2400m)を使うと思っているはず。凱旋門賞で3着前後の好内容であれば、BCターフで日本調教馬初の優勝を狙うのは間違いない。
しかし、もし、凱旋門賞を勝ったらどうか。そうなると、BCターフを使うメリットはそれほどない。その場合、ブリーダーズカップのメーン、米国のチャンピオン決定戦のG1BCクラシック(ダート約2000m)に参戦する可能性がある。
過去にこの似たパターンに挑戦したのがアイルランド調教馬のガリレオである。2001年の英愛ダービーにキングジョージまで6戦6勝、その後、G1愛チャンピオンS2着を経て、ベルモントパーク競馬場で行われたG1BCクラシックに挑んでいる(6着)。
陣営が何を考えたのかは分からないが、欧州の、芝のチャンピオンホースであるのは誰の目にも明らかであったため、米国の最高のレースにぶつけ、欧米で最強の称号を取りにきたものと思われる。
ドウデュース陣営もそのような考えがあるのかもしれない。そのため、ブリーダーズカップ参戦は口にしても、ターフかクラシックかは明言しないのは、どちらにも可能性があると考えていると推理するのが通常の思考であろう。
■故障しなければ勝機は十分
このようにドウデュースは今年は世界との戦いになるのは確実。とはいえ競走馬には故障がつきもので、年間を通じて活躍できる保証などどこにもない。また、ドバイで惨敗するようなら、その後の海外挑戦はすべて白紙になる可能性もある。
今回の予想は、上記のような場合を除いた上での個人的な予想に過ぎない。陣営に取材をしたわけではなく、公表された情報からのみ推理したものであることはご理解いただきたい。
とにかく、ドウデュースにはまずは無事に出走してもらいたい。出走さえすれば勝機はあるはず。京都記念の強い内容は、それを強く思わせるものであった。
日本の競馬ファンの1人として、海外で1つでも多くのタイトルを獲得してもらいたいと願っている。
》》ジャーナリスト松田様
さすが元日刊スポーツ編集局レース部きっての海外競馬通の松田記者ならではの記事ですね。現役の競馬記者も見習って欲しいです。まあ現役のスポーツ紙の競馬記者は、迂闊に有力馬のローテーションを予測して記事には出来ないでしょうね(笑)。
ともあれ先週の京都記念(阪神競馬場開催)のドウデュースの勝ち方は圧巻でした。松田さんの真っ当な評価とは違って、小生の【やぶにらみ】予想では『絶好のカモネギくん』と決めつけて、大切なお金をまたごそっとJRA様に献上させて頂きました(泣)。
豊ちゃんには、凱旋門賞を勝った最初の日本人騎手の栄誉を掴んで頂きたい!そして、その後も潔く引退などはせずに、「体力の限界」までジョッキーを続けてもらいたいです!
お褒めいただき光栄です。このローテーション予想も、馬券予想の下手な僕が書いたものですから、全く的外れの可能性ありです(笑)
ただ、距離実績を考えると1800mのドバイターフを使うのは不自然で、何らかの思惑があるのだろうと考えるのが普通だと思います。それはプリンスオブウェールズSを使うためでしょうし、また、ずっと先のBCクラシック出走の可能性をも睨んでの選択と言えるのではないでしょうか。それと、世界的な傾向としてチャンピオンディスタンスがかつての2400mから2000mに移りつつあって、種牡馬価値を考えた場合、10ハロンのG1勝ちがあることはプラスになるという判断も根底にあるような気がします。
特に米国では12ハロンのベルモントSがメインロードから少し外れ、10ハロンのトラヴァーズSの方が種牡馬選定戦という点では上の評価になっている印象です。賞金もそれほど変わりませんし、ドウデュースのレース選択も、そうした趨勢とは無縁ではないように思います。
とにかく、文章全体が僕の思い込みですから、(こういう考えもあるな)ぐらいに思っていただければ幸いです。
京都記念でドウデュースを蹴っ飛ばすのも勇気がいりますが、「消えるなら今回」と狙いたくなるのは分かります。僕が買うなら、ドウデュースから薄め、インプレスとかキングオブドラゴンあたりを狙って撃沈されるパターンでしょうか。結果、2人そろってJRAから「毎度ありがとうございました」と笑顔でお礼を言われそうです(笑)