女系天皇論 愛子さまのお気持ちが大事なはず

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松田 隆🇯🇵 @東京 Tokyo🇯🇵

松田 隆🇯🇵 @東京 Tokyo🇯🇵

青山学院大学大学院法務研究科卒業。1985年から2014年まで日刊スポーツ新聞社に勤務。退職後にフリーランスのジャーナリストとして活動を開始。

 産経新聞が4月16日付け朝刊で「皇位継承 論議を振り返る」という特集記事を掲載した。皇位継承は国民にとって大問題であるが、「皇室のご意思」という、ほとんど議論されていない点があることを忘れてはならない。

■安倍首相は女系天皇に反対?

安倍首相は女系天皇に反対なのか

 皇位継承は「皇統に属する男系の男子」(皇室典範第1条)と定められている。ところが男系の男子の減少により皇位継承への危機感が出ている。

 その対策として小泉政権下で考えられたのが女系天皇である。女性天皇ではなく、女系天皇。簡単に言うと女性天皇は1代限り、女系天皇は末代まで続いていく。日本の歴史上、最も新しい女性の天皇は後桜町天皇(在位1762年~1770年)。即位された経緯は既に皇嗣として定められていた英仁(ひでひと)親王が5歳と幼く、その成長を待つまでの間とされた(参考:首相官邸HP 歴代の女性天皇について)。

 女性天皇であれば過去の歴史にも存在したために、比較的、国民も抵抗が少ないかもしれない。ただし、安定した皇位継承の実現という点では効果はそれほど大きくないから、あまり意味のある議論ではない。女系天皇を認めれば、安定した皇位継承に資するのは明らかだが、過去の歴史とは全く異質の皇室が誕生してしまうため、反対する者は少なくない。

 安倍首相は明言していないはずだが、女系天皇には少なくとも賛成はしていないように見える。皇位継承の危機については旧宮家の復活を対策として考えているようで、現在の皇位継承における男系男子は動かさない考えを中心に据えているのであろう。これに対し、野党は女系天皇を認め安定した皇位継承を考えている勢力が多いようである。

■女系天皇を議論する時に愛子さまのことを考えているのか

 様々な考えがあるのは当然として、女系天皇を議論する場合に忘れてはならないのが「皇室のご意思」である。仮に女系天皇を認めた場合、皇位継承順の第1位は愛子さまとなる。女系天皇を推進する勢力は皇室典範を改正し、「次は愛子内親王に」となるのはいいが、肝心の愛子さまのお考えを考慮に入れているのかという点が抜け落ちている。

 愛子さまがご自身の将来をどう考えていらっしゃるのか分からないが、現行法上はご自身が皇位につくことはないことへの認識はお持ちのはず。それを政治家が勝手に「次は愛子さま」とすることが、好ましいとは思えない。内親王という立場を離れ、1人の18歳の女性の人生を関係のない大人が、本人の意思も聞かずに勝手に決めることが望ましくないのは明らかであろう。

 女系天皇の議論が出る時に思うのは(そうした場合に、具体的に誰が皇位につき、その方はどう考えられるか)という視点が完全に抜け落ちていることの不条理である。愛子さまのお気持ちを抜きに改正内容を考えるのは、人の心を考慮しない、血の通っていない政治であると思う。通常の法改正は不特定多数の人々を対象とするが、皇室典範改正はその適用を受けるのは皇室とその関係者というごく限られた方が対象であることは意識すべきである。

■憲法4条1項の壁

 そうすると皇室典範改正前に天皇陛下、愛子さまにご意思を確認すればいいではないかという声が出るかもしれない。だが、仮に安倍首相が皇居に参内し「女系天皇を認めるよう皇室典範を改正しようと思いますが、陛下、愛子さまのお考えはいかがでしょう」と聞いたとしても、陛下も愛子さまも、何も答えないであろう。なぜなら、自らの意思を示すことが憲法4条1項に反するからである。

日本国憲法第4条

  1. 天皇は、この憲法に定める国事に関する行為のみを行ひ、国政に関する権能を有しない。

 皇室典範の改正内容に言及することは憲法に定める国事に関する行為に含まれない(参照:憲法7条)。改正の是非を愛子内親王が明らかにされたお気持ちに沿ったものにするなら、それは天皇(皇室)が国政に関する権能を有することに他ならない。

 もし、愛子さまのご意思をうかがいたいというのであれば、憲法4条1項を改正してから聞くしかないと思われる。つまり皇室は当事者でありながら、皇位継承について決定権はおろか決定に至るプロセスにも何も言えないのが実情である。

■2006年歌会始の儀の「コウノトリ」

 ここで悠仁さまが誕生された2006年を思い出していただきたい。この年の「歌会始の儀」で秋篠宮さま、秋篠宮妃紀子さまは以下のような歌を詠まれた。

秋篠宮さま

人々が笑みを湛えて見送りしこふのとり今空に羽ばたく

秋篠宮妃紀子さま

飛びたちて大空にまふこふのとり仰ぎてをれば笑み栄えくる

 ともにコウノトリの歌を詠まれた。これを聞いた時に歌の内容も加味して「紀子さまご懐妊ではないか」という思いを持ったのは僕だけではないはず。

 この年の1月、当時の小泉首相は施政方針演説で皇室典範改正案(女系天皇容認の方向)の提出を明言した。しかし、2月に紀子さまご懐妊の発表があり、提出は断念されている。

 秋篠宮さま、紀子さまともに歌を詠まれただけなので政治に介入されたというわけではない。ただ、両殿下のお気持ちを忖度する1つの論拠となったのは事実。そのお気持ちとは「状況が変わる可能性がある段階で、議論を進めるのは如何なものか」というものである。あくまでも僕の勝手な推測であるが。

 女系天皇の議論も結構だが、システムだけを語るだけでは不十分。そのシステムの適用を受けるのは現皇室、とりわけ愛子さまであり、一人の女性の人生を大きく変えるという点は頭の中に入れ血の通った政治を心がける必要がある。

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