スパム投稿で虚構の世論#検察庁法改正案に抗議
松田 隆🇯🇵 @東京 Tokyo🇯🇵
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5月9日夜からツイッターでトレンド入りした「#検察庁法改正案に抗議します」の虚構がネットで暴かれている。一部で「投稿が470万件に達した」と大きなうねりになっているかのような報道がなされているが、実際は大半がスパム投稿と思われる。虚構の世論を形成し、それを報じた上で野党が政権への攻撃材料とするという、国民不在の茶番劇が演じられている。
■東工大西田准教授「大きなうねりになっている印象」
5月11日のNHKニュース7(夜7時のニュース)では、このツイッター上の動きについて東京工業大学の西田亮介准教授のコメントを紹介した。「国民が制約の下に置かれているということが、もしかすると、オンラインの盛り上がりに一役買っているのかもしれない。今回、多くの人が参加できると、性別を問わず参加できるということもあって、かなり大きなうねりになっている印象です」。
東京新聞電子版(5月11日)は「#検察庁法改正案に抗議します 投稿470万件」という記事を掲載し、いきものがかりの水野良樹さん、演出家の宮本亜門さんら著名人が投稿していることなどを紹介した。
「投稿は、10日午後10時時点で470万件を超えた。俳優や歌手ら著名人も投稿し、新型コロナウイルス感染拡大の影響で街頭での抗議が難しい中、ネット上でのデモとなっている。」と伝えている。
■ネットで暴かれた大量投稿の手口
そもそものスタートは社民党の福島みずほ議員らが5月9日夜頃から「#検察庁法改正案に抗議します」というハッシュタグのツイッターデモを呼びかけたことにある。それに対して470万件の投稿があったのは事実であろうが、470万人の人が全てそれを肯定的に捉えて投稿したというわけではない。
実際に寄せられた投稿の多くはスパム投稿であったようである。ネットでは早くもおかしいという声が出てきている。
「以下略ちゃんの逆襲ツイッターGOGO」というブログが、その手口を詳しく説明している。「『検察庁法改正に抗議意思を示すツイートが約380万以上』というマスコミ報道の虚構 スパム・ロンダリングは大問題だ!」という記事でツイッターのデモについて以下のように説明した。
「ネットデモ」といえば聞こえはいいですが、要するにTwitterのトレンドの集計システムを利用して、指定の時間にひとつのハッシュタグのツイートを集中させてトレンドに掲載させようと呼びかける工作です。
その上で、投稿の多くは、休眠しているアカウントなどから「#検察庁法改正案に抗議します」を定期的に大量に投稿されていたとする。実際にそのような方法で投稿しているアカウントの画像を紹介し、「スクリプト(簡易的なプログラム)によるスパム投稿ですね。」と結論づけた。
■実際の投稿は30分の1か
画像を見る限り、実際にスパム投稿があったのは間違いない。問題はどの程度の数だったのかという点である。それを記録していたのがツイッターのアカウント「池羽龍之介」氏である。同氏は「#検察庁法改正案に抗議します」の投稿数の推移を記録。10日15時に371万3000あった投稿が、その1時間後には8万4000に激減していることを報告している。これは大量のスパム投稿をツイッター社が削除したものと見られると推測している。
その後、19時には15万3000まで回復しているが、これらをスパム投稿ではないと考えれば、実際に投稿したのは東京新聞が伝えた470万のおよそ30分の1程度に過ぎない。
※加筆:池羽氏に対して、タグが変更されているという指摘が一部でなされた。これは「#検察庁法改正案に抗議します」が「#検察庁法改正法案に抗議します」になっているというもの。確かにツイッターのトレンドを伝えるサイト(ツイットレンド)ではそれまで1位だった「#検察庁法改正案に抗議します」が10日17時に突然消え、代わって「#検察庁法改正法案に抗議します」が9万余で3位に浮上している。これはツイッター社が前者を工作アカウントと判断して消したのかもしれない。それに対抗して微妙に文言を変更し、さらに工作を続けトレンド上位に押し込んだ可能性はあるのではないか。(加筆終了)
一方で、多くの芸能人が投稿したのは確かである。この点は、実際にデモに賛同する芸能人がいたことは否めない。しかし、名前を売ってナンボの芸能人、ツイッターでトレンドになっていることから自分も投稿すれば「●●も投稿!」と話題にされるのは「おいしい」話であろう。
きゃりーぱみゅぱみゅさんは、投稿した後に削除している。その理由について「なぜ今回の私が発言したのかと言いますと、周りの信頼している友達がこの話をしていて政治に詳しくない私のところまで話がきました。…私が投稿を消去させて頂いた理由はファンの人同士で私の意見が割れて、コメント欄で激論が繰り広げられていて悲しくなり消去させて頂きました」と後に説明している。
要は軽い気持ちでネットデモに参加したが、後から騒ぎになったので消しましたということ。(私は利用された)と言いたいのであろう。
■スクリプトが作り出した虚構の世論をメディアが紹介
ここまでネット等に現れた情報から書いているが、スパム投稿の画像などから、方向性としては間違っていないはずである。
ここで考えていただきたいのは、「スクリプト(簡易的なプログラム)によるスパム投稿」(以下略ちゃんの逆襲ツイッターGOGO)によってトレンドが作られ、それに利用された芸能人が一定数いたことで、そのような世論があるとメディアが報じていることである。
それを背景に5月11日の衆議院予算委員会の集中審議で立憲民主党の枝野幸男代表が「総理は感染症危機を乗り越えることよりも、世論に背を向けて、自分の都合の良い法律を作ることを優先して、危機の状況を政治的に悪用しているんじゃないですか」と質問している。
世論は国民一人ひとりが考え、意見を表明して形成されるものである。それはツイッター上でも形成され得るし、世論調査などで明らかにされることも多い。しかし、今回のツイッター上のトレンドはスクリプトによるスパム投稿というロボットが作り出したものにほぼ間違いない。
それを世論であるかの如く報道し、その前提で質問することなど許されるはずがない。ロボットを操る工作員によって世論が偽造され、事情を知らない東工大の准教授らがあたかも世論であるかのように説明し、それを大手メディアが報道する。何と恐ろしい事態であろうか。我々の関知しない部分で「世論はこうです」とメディアやそれに乗った野党議員らに誤誘導されていくのである。
メディアが真実を伝えないことがはっきりしている以上、我々がネット上で真実を発信していくしかない。これはもう、メディアと国民の戦争と言っていい。
おはようございます。
そういう構図が有ったのですか。知りませんでした。
芸能人の多くは人気取り的に発言をする事は有るでしょう。問題の本質を見極めての発信とは言い難い面は有ると思います。メデイアは上手く誘導していると言う事ですね。溢れる情報を取捨選択して、より国益を優先しているかを一人一人の判断で方向が決まります。しっかり政治、情報を監視しないといけませんね。
>>山口 秀明様
コメントをありがとうございます。
これは恐ろしいことだと思いました。加筆した部分に注目していただきたいのですが、一文字加えただけの新たな文言を短時間のうちに9万以上呟いているわけです。人間がやっていたら、結構、間違えそうですが、そうではないのは何かしらのプログラムを使っていたのではないかと想像できます。
この騒動を演出した人間は、大メディアも動かしてさぞかし痛快だったことでしょう。日本人なのか、外国人なのか分かりませんが。
》》ジャーナリスト松田様
SNSなどに疎い小生には、松田さんの記事で気付く事が多くあり、とても有り難く思っております。「スパム投稿」なる難解な言葉も、何となくではありますが、理解出来たような気がします。
ネット上の注目度の高い投稿に、一部の政治家や学者、芸能人が食いつく。そしてSNSで拡散したら、それを「待ってました!」とばかりにメディアがいっせいに騒ぎ立てる。毎度のことでございます(笑)。
よって私たち一人ひとりの「判断基準」のあり方について考えさせられる、と言えば大袈裟でしょうか? SNSが大きな影響力を持つ現代において、ネットやメディアによる無秩序な情報発信はこれからも容赦なく続きます。そして稚拙な正義心から、「自粛警察」になる輩なども現れます。個々が真意を正しく判別する、意思と能力が重要になってきました。
「令和 電子瓦版」が果たす役割が大切な時代になったとも言えますよね。期待しています!
>>MR.CB様
コメントをありがとうございます。
僕が記事を公開した後も、様々な人が解析を試みていて、実際に動いたアカウントは58万程度で、その中の1万ちょっと、2%のアカウントによって半数のツイートがされていたという記事もあります。
何れにせよ、ロボットが作った世論など、世論ではありません。こういう工作を暴いていくことは大事だと思います。
微力ですが、頑張っていこうと思います。
ありがとうございました。