後藤輝樹候補ひわい政見放送 NHKお墨付き
松田 隆🇯🇵 @東京 Tokyo🇯🇵
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東京都知事選(7月5日投開票)に立候補しているトランスヒューマニスト党の党首の後藤輝樹氏(37)が政見放送で全裸になり、男性器や女性器の名称を口にしているがNHKはそのまま放送している。公職選挙法に抵触するのではないかと思うが、NHKに聞くと性器名を口にすることは「公序良俗に反しない」という判断をしたとのこと。
■後藤輝樹候補は2度目の挑戦 前回7000票余で落選
後藤氏は前回2016年の都知事選に出て7031票を獲得し、13位となっている。同氏の政見放送によると、前回立候補時の政見放送で男性器を意味する発言をして「放送禁止にされてしまいました」(音声処理で聞こえなくしたの意?)とのこと。それもあってか、今回は音声処理がされることなく、その内容がそのまま放送されている。
しかも、放送が始まると洋服を脱ぎ始め、成人用おむつ1枚になった上、それも脱ぎ捨てて頭から被るという常軌を逸した行為を行なっている。政見の内容は表現の自由の重要性を訴えているようであるが、聞いている方が呆れるような表現が並んでいた。
「ちんこ主義者には人権がないのでしょうか。…チンチンを支持する国民の声はあまりに多く、なぜチンチンを放送禁止用語にされるのでしょうか。」
「『マンペコー!』も放送禁止になりました。まんこじゃないです、マンペコです。私がつくった造語です。なのにNHKさん、マンピーのGスポットなどという明らかにいかがわしいタイトルの曲を、ジャニーズ事務所の二流とも三流ともつかないタレントにNHKで歌わせています。桑田佳祐のマンピーは放送したくせに、後藤輝樹のマンペコは放送禁止。こんな不公平なことがあっていいのでしょうか。」
なお、後藤候補が言及している歌曲は、サザンオールスターズの「マンピーのG★SPOT」(1995年発売)を指しているものと思われる。
■公職選挙法に定められた政見放送
政見放送については公職選挙法に規定があり、都知事選は150条3項に規定されている。
【公職選挙法150条3項】
…都道府県知事の選挙においては…政令で定めるところにより、選挙運動の期間中日本放送協会及び基幹放送事業者のラジオ放送又はテレビジョン放送の放送設備により、公益のため、その政見…を無料で放送することができる。この場合において、日本放送協会及び基幹放送事業者は、その政見を録音し又は録画し、これをそのまま放送しなければならない。
重要なのは最後の部分で、NHKには「そのまま放送」することが義務付けられているのである。もっとも、同法150条の2では、一定の歯止めをかけている。
【公職選挙法150条の2】
公職の候補者…は、その責任を自覚し、前条第一項又は第三項に規定する放送…をするに当たつては、他人若しくは他の政党その他の政治団体の名誉を傷つけ若しくは善良な風俗を害し又は特定の商品の広告その他営業に関する宣伝をする等いやしくも政見放送としての品位を損なう言動をしてはならない。
政見放送と放送に不適切な言動との摩擦の歴史は古い。1983年の参議院通常選挙に立候補した雑民党の東郷健氏が身体障害者を揶揄する表現をしたところ、NHKが音声を削除。東郷健氏は不法行為に基づく損害賠償請求をして最高裁まで争われた。
結果はNHKによる音声の削除は不法行為に当たらないとして、請求は退けられた。分かりやすく言えば、品位を損なう言動は禁止されており、それに違反する言動がそのまま放送される利益は、法的利益として認められないとしたのである(最高裁平成2年4月17日判決)。
■NHKに聞いた「そのまま放送する義務がある」
そこで今回の後藤輝樹候補の政見放送が品位を損なわないのか、NHKに聞いてみた。NHKふれあいセンターに電話したところ、オペレーターの上司の方が対応してくれた。
松田:後藤輝樹さんの放送は公職選挙法150条の2に抵触しないというお考えでしょうか
NHK:(録画の前に)注意をさせていただいているのですが、150条の1項で「そのまま流さなければいけない」という法律上の義務がありますので、今回はそのまま流させていただいたという次第でございます(※都知事選なので150条3項の誤りであろう)。
松田:ということは150条の2には抵触しないという考えですね
NHK:150条2項は品位の保持について説明し、現場では指摘して注意を促すというところでございますので(※150条の2の誤りであろう)。
松田:東郷健さんの事があったじゃないですか。有名な最高裁判決はご存知ですよね
NHK:私はその頃、子供だったので、東郷健さんのお名前は存じあげていますが…
松田:窓口でその問題に対応している以上、「子供だったから知らない」はダメでしょう(笑)。判例ぐらい読んでますよね? あの時に最高裁は何て言っているのかですよ。そうでしょ?
NHK:そうですね。
松田:そのまま放送されなかったとしても不法行為として法的利益の侵害があったとは言えないと言ってます。だから、音声処理をしても不法行為となりませんよと言ってるわけじゃないですか。それとの整合性についてはどう考えてますか
NHK:その辺については情報がないので、お答えしかねます。
松田:情報がないって、これ、NHKに関する判例ですよ(笑)
NHK:…
■性器露出と性器名叫ぶ間にあった線引き
松田:話を変えましょう。後藤候補はおむつ1枚になってるじゃないですか。性器を露出はしていませんが、その後、おむつも脱いでいます。おそらく全裸になっていると思いますが、仮に性器を出したらどうでしょう? そのまま流すのでしょうか
NHK:今回の場合は隠しましたね
松田:隠したというか、出していませんよね
NHK:そこは公序良俗を考えてですね、判断させていただいております。
松田:ということは、(性器を露出した場合は)モザイクをかけたりする場合もあると
NHK:そうですね。
松田:そうすると、150条(3項)に抵触しますよね。先ほどあなたは「そのまま放送しなければならない」と言われました。モザイクをかけるのであれば、そのまま放送しないことになります。150条の2に基づき、そのまま放送しない可能性があるとおっしゃってるわけですよね
NHK:はい
松田:そうなると、そこの間に線引きがあるわけですね。性器を出したらダメだけども、性器の名称、まあ、ちんことかまんことか言ってますが、それは構わないということになりますが
NHK:今回はそのように判断したという風に、理解しております。
松田:そうですか。そこで線引きをしたということですね
NHK:左様でございます。
松田:後藤候補は男性器、女性器の名称を言ってますが、これは公序良俗(品位の保持)に反しないということですね
NHK:そういう風に判断したと、私どもは理解します。
■後藤輝樹氏の政見放送の持つ意味
NHKとしても、難しい判断を迫られたのであろう。しかし、法律どうこうより、後藤輝樹氏の中学生でも言わないような性器や糞尿の名前の連呼が都民の選択にどれだけ役に立つのか、全く意味が分からない。
このような候補にも公共の電波を使用させなければならないとは、全くもって民主主義とは無駄の多いシステムであると感じさせられる。