危ない太陽光パネル義務化 災害時に落下・感電も

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石井 孝明🇯🇵 @東京 Tokyo🇯🇵

石井 孝明🇯🇵 @東京 Tokyo🇯🇵

経済・環境ジャーナリスト。慶應義塾大学経済学部卒、時事通信社記者、経済誌フィナンシャルジャパン副編集長、アゴラ研究所の運営するエネルギー問題のサイトGEPRの編集担当を経て、ジャーナリストとエネルギー・経済問題を中心に執筆活動を行う。著書に「京都議定書は実現できるのかーC O2規制社会のゆくえ」(平凡社)、「気分のエコでは救えない」(日刊工業新聞社)など。

 東京都の進める新築住宅の太陽光パネルの義務化政策について、以前、人権面の問題を指摘した(参照・小池百合子都知事 聞こえないかウイグル族の悲鳴)が、それ以外にも問題がある。災害に太陽光パネルは脆弱であることだ。東京以外の場所に住む読者にも、参考になると思われるので、ここに記してみたい。(元記事は&ENERGY災害での感電、ガラス片…、太陽光パネル義務化で東京は危険な街になる

◆東京そして日本各地にある水害の危険

水位が上昇した荒川放水路(撮影・石井孝明)

 この写真は2019年10月の東京の荒川放水路、そして足立区千住の遠景だ。この時の大雨で、巨大な堤防の頂上から10メートル下程度まで、水位が上昇した写真だ。ここは東京の北部、東部を流れ、荒川に合流し、昭和初期に水害を避けるために作られた。この時には東京南部の多摩川の水位も上昇し、無堤防地域の二子玉川で一部氾濫した。

 ここ数十年、大規模な治水投資のために、東京など南関東では大水害は起きていない。ところが昭和20年前後まで水害が頻発していた。特に、東京の北部・東部を流れる荒川水系、南部を流れる多摩川水系の下流域は、河川に囲まれた埋め立て地で、海水面と地表がほぼ同じのゼロメートル地帯であり水害が起きやすい。東京都はその警戒をハザードマップを作って呼びかけている。

 また、都市型水害(国立環境研究所・都市型水害について)も起こる。集中豪雨で都市部の排水不足が発生。市街地の小河川、下水管から水があふれてしまうことがある。東京都だけではない。日本の都市は、河川の下流域に作られたものが多く、水害の危険に常に晒されている。

◆感電や落下するパネルで死者も

 こうした水害の際に、太陽光パネルは危険だ。これまでの発送電一体型の電力会社の供給系統では、水没した地域の電力を一斉に遮断できた。ところが、太陽光発電では、パネルが発電し続ける。特に水は通電性が高く、また破損時にそのような経路で電気が漏れるかわからないので、近寄ってはいけない。発電システム一つで、光があたれば電圧300ボルトの電気を発電する。(太陽光発電協会・太陽光発電システムの水害時の感電の危険性について。)これは数秒人間の体に通電すれば、心筋梗塞などをもたらして死ぬ可能性がある。水没した太陽光発電パネルには感電の恐れがあると、国は警戒を呼びかける。(経産省・水没した太陽電池発電設備による感電防止についてのお願い(周知))。読者の皆様も水没した太陽光パネルに気をつけてほしい。

 太陽光パネルの表面はガラス製で、重さは1枚15キロ程度だ。強風や地震で屋根から外れて飛んだり、落下したりする危険も、枚数の増加と共に当然増える。私が伝えてきた通り、日本各地で太陽光パネルの手抜き工事、悪質事業者の参入が起きている(&ENERGY・「太陽光発電の環境破壊を見る-山梨県北杜市の状況」)。

 もし手抜き工事で屋根に設置されれば、強風で15キロを超えるガラスと金属の塊が、住宅地に舞う、恐ろしく危険なことになるだろう。もしくは首都直下型地震のリスクもある。強風や地震で屋根から太陽光パネルが外れ、ガラスが割れて飛び、金属片が降ってくるかもしれない。太陽光発電を人里離れた場所でやるならともかく、なぜ東京のような人口密集地で行うのかわからない。

 しかもこうした災害による損害賠償制度は未整備だ。被害を受けたら、民法上の不法行為で被害者は争わなければいけなくなる。個人で裁判をするのはあまりにも大変で、多くの場合に泣き寝入りとなるだろう。

東京都は、太陽光パネルの新築住宅での設置義務化を検討しており、現在都議会で審議中だ。「屋根が電気を作ることを当たり前にしたい」。小池百合子都知事は、2021年9月にこの政策を発表したときに、このように語った。ところが東京の住宅地の屋根がパネルだらけになったら、感電や落下事故の危険が増すことになる。彼女は、いつもの通り、問題を深く考えていないらしい。

◆危険を考えていない小池都知事

小池都知事の単なるパフォーマンスか

 東京都が2022年8月に「太陽光パネル解体新書」という政策説明パンフレットを作った。これを読むと、水没による感電については「過去に事故の事例は聞いていない」「専門家に対応を依頼してください」、破損リスクは「少ない」(同パンフQ&A18)と書いてある。大水害の時に専門家を呼ぶ暇があるのだろうか。全国で太陽光発電の乱開発、パネルの破損問題が起きているのに、リスクは少ないのだろうか。あまりにも答えがいい加減すぎる。想定される人命リスクを無視すべきではない。

 そしてこれは東京都だけの問題ではない。京都市が大規模建物の太陽光パネル義務化を行い、群馬県も検討。神奈川県川崎市も住宅の義務化を検討している。防災の観点からリスクの大きな政策を遂行する不思議な動きが、日本各地にある。

 太陽光発電を否定する意図は私にはない。しかし、どんな物事にも、場所や方法の適切なやり方への配慮がある。なんで都市に合わない太陽光発電の普及を、小池都知事が進めるのか不思議だ。前述の記事で述べたように、「目立ちたい」「かっこいい」という軽薄な理由でその政策を彼女が進めているなら、ばかばかしすぎる。太陽光パネルによる人命リスクは、彼女の批判する原子力発電による人命リスクより遥かに大きいのだ。

※元記事は石井孝明氏のサイト「&ENERGY」に掲載された「災害での感電、ガラス片…、太陽光パネル義務化で東京は危険な街になる」 タイトルをはじめ、一部表現を改めた部分があります。

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