安田菜津紀氏「伝聞証拠」で阪神•淡路被災者中傷

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松田 隆🇯🇵 @東京 Tokyo🇯🇵

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青山学院大学大学院法務研究科卒業。1985年から2014年まで日刊スポーツ新聞社に勤務。退職後にフリーランスのジャーナリストとして活動を開始。
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 フォトジャーナリストの安田菜津紀氏が阪神・淡路大震災の時に在日コリアンが「殺されるかもしれない」と思ったということをツイートで紹介、炎上している。力を合わせて突然の災害に立ち向かった神戸市民への根拠なき誹謗という批判が起きた。安田氏のツイートは「伝聞証拠」で特定の人々を傷つけるのに等しく、ジャーナリストとしてあるまじき言動と言える。

■阪神・淡路大震災「殺されるかもしれない」と思った在日コリアン

関東大震災時の東京女子専門学校(現東京家政大)(松田隆提供)

 サンデーモーニング等に出演し、若手のジャーナリストとして注目を集めている安田菜津紀氏が問題のツイートを投稿したのが1月17日午後8時6分。その全文は以下の通り。

阪神・淡路大震災が起きた時、とっさに「殺されるかもしれない」と思ったことを、随分後になって在日コリアンの方に聴いた。関東大震災後、デマが広がり、虐殺が起きたことが頭を過ったのだという。今も大きな災害がある度、「外国人が犯罪を…」と根拠のない情報が拡散される。学ばなければならない。

 これに対してすぐに「神戸市民への誹謗」「そういう話は当時もそれ以降も、一切聞きませんでした。どこの地域の方なのでしょうか」「在日の方々の努力も踏みにじる行為となっていることに気付いて欲しいですね。」といった批判が集まったが、安田氏はそうした投稿者を次々にブロック。外部からの批判をシャットアウトした。

■安田氏のツイートを3つの点から検討

安田菜津紀氏の問題のツイート

 神戸やその周辺に住む人々からすれば、安田氏のツイートによって(混乱に乗じて外国人を殺戮しかねない人々)(レイシスト)と言われたに等しい。突然の被災になす術もなく立ち尽くした人、肉親を亡くし悲しみにくれた人、外国人と力を合わせて災害に立ち向かった人、そうした多くの人々の心を傷つけるものであることは分かるであろう。

 もちろん、在日コリアンの人が「殺されるかもしれない」と感じたとしたら、そう思ったことは事実なのかもしれないから、それ自体を批判する気はない。在日コリアンの内心まで制約しようなどと思う人はいないはず。

 だが、情報発信者として、取り上げる発言が多くの人を傷つけ、その名誉を毀損する類のものであれば、それは名誉毀損にならないものであっても扱いは慎重にすべきである。その点からして、安田氏のツイートは3つの点で検討されなければならない。

(1)本当にそのように発言した在日コリアンはいたのか。

(2)仮に存在したとして、本当に「殺されるかも」と思っていたのか。

(3)仮に本当に殺されるかもと思ったとして、そこに合理性はあるのか。

 以上の点について、何らの真実性の担保がないまま情報発信したことを多くの人が批判していることを安田氏が理解できているか疑わしい。

■刑事訴訟法320条1項の趣旨

 安田氏の当該ツイートは知人の在日コリアンの話を紹介しているものであり、仮に安田氏が刑事裁判で当該ツイートの内容を証言した場合、「伝聞証拠」となり証拠から排除される。

刑事訴訟法320条【伝聞証拠と証拠能力の制限】

①…公判期日における供述に代えて書面を証拠とし、又は公判期日外における他の者の供述を内容とする供述を証拠とすることはできない。

 分かりやすく言えば、又聞きや紙に書いてあるものは刑事事件の証拠として採用できませんということである。例外的に証拠能力を認められる場合(同321条1項~4項)もあるが、それはあくまでも例外であり、原則として採用されない。

 理由は簡単で、「この人からこう聞きました」という、真偽不明の話を根拠に他人の有罪無罪を決めるのは合理的ではないから。証拠としたいのなら「言った本人を法廷に連れてこい。そこで反対尋問にさらして、証言の真偽を確かめさせろ」というのが320条1項の趣旨と言っていい。刑事訴訟法はまさに上記(1)~(3)のような事態を想定し、真偽不明の証拠を排除して公正な法の裁きを担保しているのである。

■伝聞証拠で一方的にレイシスト呼ばわり

写真はイメージ

 繰り返しになるが、神戸やその周辺に住む人々にすれば、伝聞証拠で一方的にレイシスト呼ばわりされたことになるから怒るのも当然、炎上するのは必然。

 伝聞法則は刑事訴訟法を学ばなくても、通常の理解力があれば分かる。たとえば、甲が「教室でお金が亡くなった時、瞬間的に『盗んだのは安田菜津紀か、その友達だ』と思った」と言って、それを聞いた乙がそのままツイートしたとしよう。安田氏は乙に対して「何でそんなことをツイートするんだ、そもそも誰が言ったんだ。名誉毀損で訴えるぞ、すぐに消せ」とコメントしたところ、乙からブロックされた。

 安田氏は乙の行為をやっているに等しい。他者を傷つける可能性がある主張・発言であれば、それは根拠が明確で、合理的な思考の上で通常導き出せる結論であるべきなのはジャーナリストとして心しなければならない初歩の初歩。

 安田氏は上智大学総合人間科学部教育学科を卒業しているようで、刑事訴訟法は読んだことがないのかもしれない。この機会に刑訴320条以降を読んで、自らの行為の愚かさ、ジャーナリストとしてあるまじき行為をしたことを知った方がいい。

 それができないなら、今すぐペンとカメラを置きなさい。

7 thoughts on “安田菜津紀氏「伝聞証拠」で阪神•淡路被災者中傷

  1. アバター トトロ より:

    この人の書き込みは、こんなものでしょ。
    何せ、伊藤と講演会後の打ち上げの焼肉パーティーで、
    飲酒しているところをTwitterで上げて伊藤がPTSDの抗うつ剤
    の薬は、飲酒厳禁ですので慌てて削除したからことがありますので驚きません。
    https://twitter.com/piyococcochan2/status/1338868486131470336

    1. 松田 隆🇯🇵 @東京 Tokyo🇯🇵 松田 隆🇯🇵 @東京 Tokyo🇯🇵 より:

      >>トトロ様

       コメントをありがとうございます。

       そういうレベルの方なんですね。何も考えないで、権力と反対のことを言っていれば落ち着くという人だろうなと想像しています。

  2. アバター スッパまん より:

    裏付けをした様子もなく一方的な伝聞だけでツィートしたり、新聞、雑誌の記事にする似非ジャーナリストが最近目立ちます。まるで己のイデオロギーや主義主張の為ならガセでも利用するみたいで、ある種の扇動家や活動家のように見えて仕方ありません。

    こんな事がまかり通る日本のジャーナリズムの質のさらなる低下を、危惧しております。

    1. 松田 隆🇯🇵 @東京 Tokyo🇯🇵 松田 隆🇯🇵 @東京 Tokyo🇯🇵 より:

      >>トトロ様

       コメントをありがとうございます。

       活動家が自らの政治主張をあたかも公平公正な立場から言っているようにするために、ジャーナリストを装うというのは故筑紫哲也氏、久米宏氏などが得な技ですね。鳥越氏とか。

       ジャーナリストを名乗る人たちを見ていると、論理的に考えられない人が多いように感じます。

  3. アバター 月の桂 より:

    自らの発言には、責任を持たなければなりません。反対意見に対しての説明責任もある。
    ジャーナリストならば、反論をブロックするのではなく、ペンをもって対抗すればいい。

    事実関係を調査せず、聞き齧った話を簡単に発信する人が増えましたね。
    そして、それを簡単に信じてしまう人も。

    ジャーナリストを資格制にしたらどうでしょうね。資格取得の認定試験を作ればいい。
    実力も経験も倫理観も無い人が、名乗るだけでジャーナリストになれるのはおかしい。

    1. 松田 隆🇯🇵 @東京 Tokyo🇯🇵 松田 隆🇯🇵 @東京 Tokyo🇯🇵 より:

      >>月の桂様

       コメントをありがとうございます。

       安田氏については、子供なのかなという気がしています。学内でぬくぬくと取材などの活動をして、社会に出たら一気に世間の批判を浴びて驚いているのかもしれません。

       みなさん、どんどん厳しい言葉を浴びせて、社会の厳しさを教えてあげたほうがいいと思います。

  4. アバター 司波章 より:

    安田菜津紀氏の偏向報道には辟易しています。情報を正してくださってありがとうございます。

    阪神淡路大震災に遭遇しましたが、そんなことはいっさいなかったと思う。あったと感じる在日コリアンがいたのかもしれないけれどその伝聞情報をつかって記事を書く安田菜津紀氏は調べてみると14歳の時に在日コリアン2世の父親を亡くしているので、そんな結論にもっていきがちなんだと思う。アクティビストのよくある特性。そういうつもりで安田菜津紀氏が書いた記事を読まないといけないですね。

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