不謹慎Vサイン黒田あいみ医師 院長職解任
松田 隆🇯🇵 @東京 Tokyo🇯🇵
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解剖実習で献体の前でVサインをする写真を撮影し、SNSにアップした黒田あいみ医師が30日付けで東京美容外科沖縄院の院長職を解任されることになった。28日、東京美容外科がホームページ上で発表した。
◾️院長職解任も雇用継続の可能性
黒田医師の献体に対する一連の敬意を欠く行動については、23日頃からネットで話題になり、その非難の声は収まる様子がない(参照・献体の前でVサイン医師「楽しくやってます」)。25日にはNHKなどマスメディアでも報じられた(NHK・解剖現場でピース 医師が投稿し謝罪「人としての倫理観欠如」)。
28日夜になって東京美容外科はそのホームページ上で黒田医師の現在の職である沖縄院の院長からの解任を発表した。発表全文は以下。
拝啓
平素より格別のご高配を賜り、厚く御礼申し上げます。
この度、2024年12月30日付で、沖縄院院長である黒田あいみ医師の解任を決定いたしましたことをご報告申し上げます。今後は、皆様により一層安心してご利用いただける医療サービスを提供できますよう、組織体制の強化に努めてまいる所存でございます。
引き続き変わらぬご愛顧を賜りますよう、何卒よろしくお願い申し上げます。
敬具
(東京美容外科・沖縄院院長黒田あいみ医師の解任について)
ホームページによると同外科はフランチャイズを含め全国に医院を展開、海外にも医院を開設している。沖縄院は那覇市にあり、黒田医師が院長。今回、30日付けでその院長職を解任されたことになる。理由は明らかにされていないが、一連の騒動の責任を取らされたものと見られる。
もっとも処分としては院長職の解任としか発表されておらず、東京美容外科から解雇されるのか、院長ではなくなっても引き続き他の肩書きで同外科で勤務を続けるのかは明らかではない。
◾️SNSは閉じられ…
今回の騒動によって、問題の投稿がなされた黒田医師のアメーバブログ(美容・アンチエイジング専門医 Dr. 黒田あいみ Official Blog Health & Beauty Room)は28日の段階で削除された可能性があり、ページが表示できなくなっている。
また、黒田医師らの解剖時のインタビューの動画を掲載していた主催者のインスタグラムも鍵がかけられて一般の人には見られなくなった。唯一の窓口となったのは東京美容外科の麻生泰・統括院長で、自身のXでコメントを続けていた。ところが24日に「様々な方々から、大学の先生を含め、黒田医師を解雇するように助言がございました」「炎上でトカゲの尻尾切りのように解雇する事はできないと判断しました」(既に削除)などと投稿したことでさらに炎上。26日になって謝罪の投稿を再アップした。
(麻生氏投稿)
グアム大学解剖セミナーにおける当院医師の不適切な投稿がございました。あらためて深くお詫び申し上げます。
御献体をしてくださった方々への敬意が明らかに欠けておりました。本当に申し訳ございませんでした。心からお詫び申し上げます。
またご遺族の皆様、これからご献体を検討してくださっている皆様に対しても多大なご心配をおかけしてしまうことになりました。本当に申し訳ございませんでした。
さらに今回のことで医療関係者に対する信頼を失墜させてしまいました。特に解剖に携わりながら医学、医療を発展させようとしていらっしゃる医療関係の皆様に多大なご迷惑をおかけしてしまいました。本当に申し訳ございませんでした。
今後、当院医師が同じ過ちを起こさないよう細心の注意をはらってまいります。本来は医学生がわきまえているべき倫理感が欠如している行動でした。「患者さんを助ける」という医学の根本に立ち返りながら、倫理面の教育を徹底してまいります。
本当に申し訳ございませんでした。
(2024年12月26日投稿)
こうした流れを受けて28日の院長職からの解任となったが、削除されたポストにあったように「解雇する事はできないと判断しました」という部分は継続している可能性がある。
◾️ごく少数の支持者以外は批判
事態がここまで大きくなったのは、高いモラルが求められる医師による信じ難いモラルハザードに加え、麻生氏のズレた感覚が世の反感を買ったからと思われる。麻生氏を「組織のリーダーとして立派な立ち居振る舞いと思う。今はお辛いだろうが、僕はこの麻生医師の対応を支持する。」(長谷川豊・2024年12月24日17時15分投稿)と高く評価する元フジテレビアナウンサーの長谷川豊氏のようなごく少数の例はあるが、ほとんどは厳しい反応を見せている。
今回の解剖実習は米グアム準州で実施されたが、日本国内で解剖実習を行う際は死体解剖保存法が適用される。同法20条には「死体の解剖を行い、又はその全部若しくは一部を保存する者は、死体の取扱に当つては、特に礼意を失わないように注意しなければならない。」と規定されており、黒田医師の行為は国内であれば法に触れる行為であると思われる。
また、献体に関しては医学及び歯学の教育のための献体に関する法律に定められている。同法で「献体の意思」とは「自己の身体を死後医学又は歯学の教育として行われる身体の正常な構造を明らかにするための解剖…の解剖体として提供することを希望することをいう。」と定義され(同法2条)、さらに「献体の意思は、尊重されなければならない。」(同法3条)と定められている。
遺体の提供者の献体の意思があって解剖実習ができることを思えば、解剖時に献体を前に笑顔を浮かべることなどできるはずがなく、ましてVサインなど、そうと疑われかねない行為すら控えるのが通常人の感覚であろう。こうした関連法規を黒田医師や麻生医師がどこまで理解していたのか疑わしい。
今回の解任も院長職からの解任というだけで、処分としてそれが適切なのかは評価が分かれるところ。黒田医師の解任によって炎上は収まるのかは見通せない状況と言える。