中華台北も青天白日満地紅旗も「何だかなぁ…」
葛西 健二🇯🇵 @台北 Taipei🇹🇼
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■国際大会参加の為に「オリンピック方式」
「Chinese Taipei(チャイニーズタイペイ)・中華台北」、各種国際競技や野球の国際大会WBCでの活躍でこの名称を目にする人も多いと思います。「中華台北」は、オリンピックをはじめとした国際スポーツの場で用いられる、実質「中華民国」を指す名称です。
1971年の国際連合のアルバニア決議により、中国の唯一の合法的代表が中華人民共和国であることが承認されました。これを受け中華民国は国連から脱退、国連及びその加盟国の大半から「中国全土を実効統治する主権国家」と認められない中華民国は「中華民国」名義での国際大会参加が極めて困難になります。
以降、国際スポーツ界での「中華民国」と「中華人民共和国」の対立は長らく懸案の一つとなっていました。1981年国際オリンピック委員会との協議により、台北市に本部を置く「中華奧林匹克委員會 (中華五輪委員会)」の英文名称「Chinese Taipei」を参加名義とし、青天白日滿地紅旗ではなく中華五輪委員会旗を用いることで中華民国選手団の国際大会参加を認めることが採択されました。台湾ではこの参加方式を「奧運模式 (オリンピック方式)」と呼んでいます(中華五輪委員会)。
それからは「Chinese Taipei 中華台北」としての国際競技参加が定着していた台湾ですが、台湾初の国際総合スポーツ大会である「ユニバーシアード」が2017年8月台北で開催されたことから国内に変化が生じてきました。この大会で「中華台北」チームは健闘し、メダル獲得数第3位という成績を残しました。大会期間中、台湾の人々は自国選手に大声援を送り、自国選手の活躍が連日世間を賑わせました。
しかし、自国選手健闘の一方、多くの人が「中華民国(または台湾)」での開催にも関わらず「中華台北」として参加せざるを得ないことに疑問と違和感を抱くようになっていきます。
■中華台北か台湾か 国民投票を実施
2018年に1968年のメキシコ五輪で陸上代表として銅メダルを獲得した総統府国策顧問の紀政氏の起案による「2020年東京奧運台灣正名公投案 (2020年東京五輪台湾正名国民投票案)」が立法院を通過、参加選手団名称を「中華台北 チャイニーズタイペイ」から「台湾」に変更し国際オリンピック委員会(IOC)へ申請する是非を問う投票を同年11月の中華民国統一地方選挙と合わせ行うことが決定しました。
IOCは、名称変更を認可しないこと・変更した場合には権利を停止・剝奪する旨を警告。また台北の中華五輪委員会も「国民投票は政治のスポーツ干渉行為にあたりオリンピック参加資格が停止されること」、「仮に独立参加選手団として参加した場合、(IOCから)充分なバックアップを受けられないこと」を挙げ、「選手を守るために断固反対である」と表明しました。
更に複数の現役オリンピック代表選手や著名なアスリートも、国際競技連盟の規定を遵守し一時の衝動に駆られて賛成票を入れ、結果、選手が国際試合に参加する権利を剥奪されないように、と呼びかけました。
同年11月24日に行われた国民投票は、賛成467万票(45.2%)、反対577万票(54.8%)、反対票が賛成票を100万票近く上回り否決されました(中央選舉委員會 107年公民投票第7至16案投票結果)。 台湾メディアはこの結果を、国民が「不會影響運動員參與國際賽權利 (アスリートの国際大会出場権利に影響を与えない)」ために現実的な決断をしたと分析しました。
ただし45.2%を占めた賛成票の存在は無視できないものであるとした上で、真に「台湾」と名乗ることを願うのならば「改變也要有所犧牲 (改変には犠牲が伴う)」と指摘しています (運動世界 2018年11月28日、ETtoday東森雲 2018年11月28日、運動世界 2018年11月24日、中央廣播電台 2018年11月21日)。
■人々の帰属意識と中国の圧力というジレンマ
このように「Chinese Taipei 中華台北」の名称は、台湾の選手が国際大会に参加する時には常に議論の的となる問題です。「台北」という地名が国家代表団の名称として使用されることの是非、選手の代表団に対する帰属意識・国民の代表団に対する愛国心への影響の有無、更には台湾の「南北格差」という社会問題にまで焦点が当てられます (参照:台湾人が「恥さらし」と怒る ”日本人集団食中毒”事件 見えた対日感情と南北問題)。
最近は「一つの中国」の原則を堅持し不穏な動きを見せる中国の圧力や、独立堅守の是非にまで議論が及びます。「Chinese Taipei 中華台北」名称問題は台湾にとって非常に複雑でデリケートな問題だと言えるでしょう。
私には鹿児島での青天白日満地紅旗掲揚やホストタウンの「台湾」表記を見た台湾の人々の「複雑な反応」が、国内での帰属意識と中国や国際組織からの圧力というジレンマに揺れる「Chinese Taipei 中華台北」の存在と重なって映ります。
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なるほど。言われて見れば確かに。
独立派が全員、中華民国の系譜でない為に起こる議論ですね。
国名、国旗が一様でないのも、独立派が一枚岩でない要因の一つ
である訳だ。こりゃデリケートな問題ですね。
スポーツを足掛かりに、これまでのポジションを獲得してきた
苦難の歴史を垣間見た気がします。
日台友好を推進して行くことは勿論大切ですが、清末期から今日に至るまでの
歴史を今一度おさらいしておくのも必要かもしれませんね。
歴史は繰り返す、と言いますが、今後は平和的プロセスを踏んで進んで行く事を
切に願わずにはいられません。
こう思う背景に、中共の暴走があるためですが。
それを抑えるのが、米国の強大な軍事力しかない現実。
日本人は何ができる? 喫緊の課題ですね。
ぷんぷん丸様
いつもありがとうございます。
「中華民国」の国旗問題は
中華台北問題とともにとてもナイーブで複雑なものだと思います。