台湾に響いた和久田麻由子アナの”4文字”

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葛西 健二🇯🇵 @台北 Taipei🇹🇼

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京都産業大学外国語学部中国語学科、淡江大学(中華民国=台湾)日本語文学学科大学院修士課程卒業。1998年11月に台湾に渡り、様々な角度から台湾をウオッチしている。
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 23日に行われた東京五輪の開会式でチャイニーズ・タイペイが五十音順で実質「台湾」呼称で入場行進をしたことは、台湾でも大きな話題になっています。五十音順の「タ」と「チ」について言及するメディアもあったほどです。

■オリンピック方式「中華台北」

台湾で紹介された和久田麻由子アナ(TVBS画面から)

 台湾がオリンピック等各種国際競技に参加する際に、選手団は「中華台北 チャイニーズタイペイChinese Taipei」という名称と中華五輪委員会旗を用います。これは「一つの中国」の原則を堅持する中国との関係から1984年以降用いられる「奧運模式 (オリンピック方式)」と呼ばれる参加方式です。

 当初、選手団の入場順は日本語で国・地域名を表記した五十音順で実施されました。事前に発表された大会公式サイトのリストに従うと、「中華台北 チャイニーズタイペイ Chinese Taipei」は「チ」で入場、チェコ共和国に続く107番目として記されています(日刊スポーツ電子版:開会式の入場順は50音順 先頭ギリシャ、開催国日本は206番目)。

 しかし当日の入場で中華台北代表団は大韓民国の次、タジキスタンの前の104番目で入場しました。つまり「タ」として入場したのです。さらにNHKの和久田麻由子アナウンサーは中華台北代表団でも「台湾です」と紹介、最後まで「チャイニーズ・タイペイ」とは呼びませんでした(参照:東京五輪開会式 ”禁断”の台湾名で入場行進)。

 「台湾」としての入場と日本の公共放送での「台湾」の紹介に、台湾国内では代表団の入場終了直後からTwitterを中心にこの話題で沸騰。ほぼ並行して台湾各メディアもこぞって(国民党寄りのメディアとして知られこの種の話題を積極的に報じない中国時報でさえも)この件を速報として大きく報道しました。

NHK王牌女主播正名「台灣」 進場順位提前是日本暖心之舉東森新聞) NHK看板女性アナウンサー正名「台湾」で 入場順位の繰り上げも日本の心のこもった行い

正名台灣! NHK以「台灣」介紹我國代表隊進場民視) 正名の台湾!NHK「台湾」として我が国の代表団入場を紹介

是タ 不是チ 禮遇正名台灣自由時報) 「チ」ではなく「タ」で 正名台湾として 礼を以て迎えられる

中華隊進場NHK主播喊:台湾です 網友:今晚最感動4個字中国時報) 中華台北入場 NHK実況はっきりと述べる:台湾です  ネットユーザー:今晩最も感動した四文字

■五十音マジックは「緻密な外交戦略」

台湾選手団の入場行進直後、NHKの「台湾」紹介が報じられた(2021年7月23日 台湾Yahooニュース トップ画面から)

 大手メディアは「台湾」として選手団を迎えた日本の計らいを喜びとともに好意的に伝えています。また自由時報は 、外国人に馴染みが薄い五十音順を用い「中華台北 チャイニーズタイペイ」を「チ」ではなく「タ」の音に加えたことをについて「這種極度細膩的外交戰略很有日本風  (極度に緻密な外交戦略はいかにも日本的だ)」と評価 (自由時報 2021年7月24日付)しています。ネットでは、SNSや掲示板を中心に多数の声が寄せられています。

台灣就是台灣,是我的國家 (台湾は台湾、これがまさに私の国だ)

這是今天晚上最感動的4個字! (今夜最も感動した4文字(台湾です)だ!)

日本太有才了 (日本才能ありすぎ)

日本不僅用言語幫我們正名,也用行動幫我們正名了。 (日本は言葉で正しく名を伝えただけでなく、行動でも我々の名を正しく扱ってくれた。)

台灣隊加油! (台湾選手団頑張れ!)

 このように称賛や喜びの声が多い中、以下のような声もありました。

已習慣有用「中華台北」~ (ずっと「中華台北」を使うのに慣れているからなあ~)

中華隊加油! (中華隊(中華台北代表団の意)頑張れ!)

 呼び慣れた団名のままでよい、という意見も数多く見られました。更には以下のような冷静な意見も見受けられました。

我們正名不是台灣而是中華民國 (正しくは台湾ではなく中華民国だ)

不就是個地名而已又不是國名有什麼好提的 (地名であって国名ではないよ、そんなに騒ぐことか)

介紹我們只用地名,這樣有什麼好開心的 (地名で紹介されただけだろう、嬉しいかい)

 正式国号「中華民国」であるのに、「台湾」が国の「正名」として報じられていることに異議を唱える声も多くありました(コメントはFacebook台湾Yahooニュース批踢踢實業坊から)。

■名称問題はアイデンティティの置き場所

 国際競技出場時の台湾代表団名称については台湾国内でも度々議論が起きています。2018年には代表団名変更を国際オリンピック委員会へ申請するかの国民投票にまで発展しました(反対票が賛成票を100万票近く上回り否決)。

 名称問題は自身のアイデンティティの置き場所といった帰属意識の問題にも関わっており、さらに国内の南北格差社会の問題も絡んでくるため、非常に繊細で複雑です(参照:中華台北も青天白日満地紅旗も「何だかなぁ…」)。

 外省系、内省系、客家系、先住民、様々なルーツの人々が暮らすのが台湾です。長年自国を代表する選手団である「中華台北」が国家の「正名」として「台湾」と呼ばれたこと、これを喜び報じる台湾メディアの姿勢に異議を唱える人が多くいることも当然と言えるでしょう。

■隣国開催に台湾の人々も熱いまなざし

 MISIAさんの国歌斉唱、王貞治氏が登場した聖火リレー、ピクトグラムのパフォーマンスなど、開会式は台湾に様々な話題を提供してくれました。

 遠い外国ではなく隣国の首都での開催に、台湾の人々も熱いまなざしを注ぎ、自国代表選手に声援を送っています。期間中はどんな名勝負が生まれるのか。期間中、台北から熱い声援を送りたいと思います。

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