東京五輪開会式 ”禁断”の台湾名で入場行進

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松田 隆🇯🇵 @東京 Tokyo🇯🇵

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青山学院大学大学院法務研究科卒業。1985年から2014年まで日刊スポーツ新聞社に勤務。退職後にフリーランスのジャーナリストとして活動を開始。
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 東京五輪の開会式が23日夜行われた。無観客で行われたが、会場となる国立競技場(東京都新宿区)には五輪気分を味わいたいという思いから、多くの人が訪れ、競技場の外から写真撮影する姿が見られた。入場更新は五十音順で行われたが、中華台北(チャイニーズタイペイ)が「台湾」としての順番で出てきた。

■バリケード越しにカメラ

開会式当日、国立競技場周辺に集まる人々(撮影・松田隆)

 東京五輪が1年遅れで開幕した。最高気温34度まで上昇した都心部だが、猛暑の時間帯にもかかわらず国立競技場の周辺には多くの人が集まっていた。競技場の周辺はバリケードが設けられ、一般の人は近づけないようになっているがバリケード越しにスマートフォンで競技場を撮影する人が見受けられた。

 最寄の国立競技場駅では通路に描かれた五輪のロゴの前で記念撮影をする外国人も目についた。

 新型コロナウイルス禍にあって開催反対の声も強く、どこまで盛り上がるのか不安に感じている人は少なくないと思うが、会場周辺は徐々にだが五輪の熱気が出ているように感じられた。

■大韓民国ーチャイニーズ・タイペイータジキスタンの不思議

 開会式のメインである入場行進は日本の五十音順で行われたが、そこで気になる出来事があった。

 五十音順のため、アイスランド、アイルランド…という並びである。日本人しか理解できないと思われる順番での入場順にどんな意味があるのか分からないが、日本で行う五輪だから英語のアルファベティカルオーダーは用いないというのはそれはそれでいいのかもしれない。

 東京五輪公式サイトの「全ての出場チーム」を見ると、おおよその順番が分かる。五十音順になっている並びの一部は以下のようになっていた。

・大韓民国ータジキスタンータンザニア連合共和国ーチェコ共和国ーチャイニーズ・タイペイーチャドー中央アフリカ共和国

 当然、このように登場すると思っていたところ、実際には以下のように登場した。

・大韓民国ーチャイニーズ・タイペイータジキスタン

 ここだけ「ダーチータ」という並びになっているのである。一体、これはどういうことか。チャイニーズ・タイペイが入場する際には「Chinese Taipei」と3回アナウンスされているのにタジキスタンの前に来ているから、ここだけ五十音順が崩れている。

 ところが、実況するNHKでは、女性アナはこう紹介した。「台湾です。バドミントン女子シングルスの載資㯋(さい・しえい)選手は長年トップの座に君臨し続けています。…」。

 アナウンサーは最後まで「チャイニーズ・タイペイ」とは呼ばず、「台湾」と紹介した。そうなると、入場行進の五十音順の謎も解ける。

 つまり、大韓民国ー台湾ータジキスタン、という順番で行進したのである。

■2つの中国、1つの中国・1つの台湾もダメ

開会式当日の国立競技場(撮影・松田隆)

 台湾と中国の五輪参加問題は非常にデリケートな部分であり、参加する際の名称をめぐって交渉が続けられてきた。1984年の冬季サラエボ大会、夏季ロサンゼルス大会から両国が参加することになったが、台湾については「チャイニーズ・タイペイ」名義での参加。国旗である青天白日満地紅旗を使用せず、チャイニーズタイペイ五輪委員会旗が用いられているのはご存知の通りである。

 正式国号の中華民国は中華人民共和国が認めない「2つの中国」に繋がるために使用できず、「台湾」の名称も中国と台湾が並び立つ形となり「1つの中国」を否定するために用いられないというのが一般的な解釈である。

 そのような原則、これはもっぱら中華人民共和国に都合のいい原則であるが、それに従えば五十音順の入場は「大韓民国ータジキスタンータンザニア連合共和国ーチェコ共和国ーチャイニーズ・タイペイ…」となる。

 ところが東京五輪の開会式では事実上「台湾」名での参加としたのである。これを決定したのが東京五輪組織委員会なのか、日本政府なのか分からないが、何とも大胆、中国に対する挑戦とも言っていい方法に思える。

■政治的な開幕 波乱の予感

 入場行進の後の聖火リレーには中華民国(台湾)籍の王貞治氏も登場。北京政府を刺激するような演出が続く。

 これから競技が本格的にスタートするが、最終聖火ランナーが何かと政治的なメッセージを発することが多い大坂なおみ選手であるという部分も含め、政治的な色彩の濃い開幕。大会の波乱を予感させる開会式と言えそうである。

    "東京五輪開会式 ”禁断”の台湾名で入場行進"に1件のコメントがあります

    1. ケン より:

      松田さん 正直、驚きました。かなり明確なメッセージですね。ある程度の覚悟が必要な時代が来るかも…。

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