広末涼子さん夫の会見とパターナリズム

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松田 隆🇯🇵 @東京 Tokyo🇯🇵

松田 隆🇯🇵 @東京 Tokyo🇯🇵

青山学院大学大学院法務研究科卒業。1985年から2014年まで日刊スポーツ新聞社に勤務。退職後にフリーランスのジャーナリストとして活動を開始。

 女優の広末涼子氏の不倫問題について、キャンドル・ジュン氏が6月18日に記者会見を行った。家庭の崩壊の危機に直面する夫の苦悩が明らかにされ、事態の実相が見えてきた。その一方で、会見で様々な事情を明らかにしたことに批判の声も出ている。当サイトでは、キャンドル・ジュン氏の行為はいわゆるパターナリズムであり、現時点では責められるような行為ではないと考える。

◼️2年に1度 精神状態の変化

会見するキャンドル・ジュン氏(oricon画面から)

 キャンドル・ジュン氏の会見は1時間30分以上にも及ぶ長時間のものとなった。自身がおよそ60分間にわたって考えを述べ、その後30分が質疑応答にあてられた。そこでの発言を聞いていると、広末氏が鳥羽氏との道ならぬ恋に身を焦がして、夫や家族を顧みなくなったという一般的に思われていた事情ではないことを思わせる。

 キャンドル・ジュン氏は、広末氏の許されない行為はその精神状態の不安定さによるものと考えていることを明らかにした。以下のように発言している。

(1)週刊文春による報道前から、妻から離婚してほしいと言われていた(6月4日に広末氏が文春の取材を受けるより前)。また、「ジュンさんもこんな私と一緒だと辛いだろうから、離婚した方がいいんじゃない?」とも(別の機会に)言われた。

(2)妻は普段はよき母であるが、普通ではない精神状態に陥る時があり、そうなるとさまざまな人に連絡したり、眠れなくなったりする。

(3)今回もそのような状態になり、やがて妻が夜、出歩くようになった。

 このような精神状態に陥ることは2年に1度程度あり、今回の件も、そうであるという認識であることを明らかにしている。会見の冒頭では「私にとってはよき妻ですし、何よりも子供達にとって最高の母」と最大級の賛辞を送っている。これは妻が倫理観も正常な判断力もなく、ただ、自分の欲望にのみ従って行動するような人間ではないことを強調したものと思われる。つまり、今回の行為は彼女自身の精神面での不安定さが引き起こしたもので、広末涼子という人間が悪い人間であるということではないと言いたいのであろう。

◼️広末涼子氏が泣きながら謝罪

 その上で、離婚を申し入れられた経緯、広末氏らが謝罪文を公開した後の経緯を含め以下のように説明している。

(4)義母(広末涼子氏の実母)から、「子供達がママを心配している。何とかしてほしい。せめて、いつ離婚するのかだけでも言ってほしい」と言われた。

(5)その日の夜、妻から「あなたがいるから、私が眠れない。出て行ってほしい」と言われ、その後、リビングで妻が子供達に「離婚するが、どちらと暮らしたいか」と聞いた。長男と次男は母といることを望み、末っ子の娘は泣くのみ。そこで自身の精神が崩壊し、家を出た。その直後にメディアで騒ぎになった(6月7日の週刊文春電子版の第一報と思われる)。

(6)妻と鳥羽氏が謝罪文を出した6月14日に、妻と電話で話したところ、泣きながら謝ってきた。

(7)結婚(2010年)以来、2年に1度程度で妻の心の安定が崩れること以外は、自慢できる幸せな家族だったと思う。その頃に戻りたい。今後については弁護士や家族と相談していきたい。

 義母が「いつ離婚するのか」と聞いてきたことが事実だとしても、その真意は分からない。娘(広末氏)が真剣に離婚を望んでいるので、それに対する答えを聞きたかったのか、それとも、いつ離婚するかを明言してもらうことで、それを広末氏に伝えて精神面での安定を図ろうとしたのか。

 謝罪文が公開された後、広末涼子氏が泣きながら謝ったという点は、少なくとも、その時点で広末氏はまともな倫理観を持ち合わせていることを示している。それは精神面の不安定さを行為の原因とするキャンドル・ジュン氏の主張とは相容れないかもしれないが、局面が変わってまともな精神状態に戻ったと考える余地もある。

◼️相手がたまたま鳥羽氏だった

 広末氏が出したとされる鳥羽氏へのラブレターは、実はキャンドル・ジュン氏がメディアに渡したのではないかと疑う向きがあるが、その点を本人は明確に否定した。そして、以前にも同じような事案があり、自分自身が相手と直接話をつけたことを明らかにしている。

 そのような過去の経緯があることから、今回の一連の騒動は鳥羽氏との身を焦がすような恋をしたことが原因ではなく、広末氏が精神状態が悪い時にする奔放な行動の際に、たまたまその相手になったという認識であると考えている。

(8)報道がされる前から不倫についてはある程度分かっていた。

(9)妻が出したとされるラブレターについては、妻の行動を止めるために自身がメディアに流したと言われることもあるが、それはない。ただ、手紙の存在は一部は知っていた。

(10)手紙は(妻からの)SOSではないかとも思った。自分自身を制御できない妻が普通の精神状態でそのようなことをするか? 派手な格好をして出ていくか?

(11)以前にも同じようなことがあり、妻に分からないように相手と示談をした。相手は妻が異常だと思って、とどまってくれる人だったと思う。

(12)(1)の「離婚した方がいいんじゃない?」と言われたのは、心が不安定な時期ゆえの発言と思っていた。(鳥羽氏との関係によるのではないかとの問いに)たまたま相手が彼だったということにしか思っていない。(以上、TBS NEWS DIG・【ノーカット】広末涼子さんの夫 キャンドル・ジュンさんが会見「荷物をまとめて家を出ました」

◼️古市憲寿氏や堀江貴文氏の発言

 一連の報道の前から義母も離婚を望んでいるかのような発言があったことから、広末氏が耐えられないような事情があり、それをキャンドル・ジュン氏は認識していない、あるいは認識しているが隠している可能性も否定できない。今回はあくまでもキャンドル・ジュン氏による一方だけの主張であることは忘れるべきではない。

 とはいえ、キャンドル・ジュン氏の会見での話を聞く限りでは、人気女優を妻に迎えた華やかな生活とは裏腹に、不安定な精神状態が定期的に発生し、その対応に苦しむ夫・父親としての姿が浮かび上がる。

 ここまで表に出てきた事情だけで考えると、キャンドル・ジュン氏は少なくとも一方的に責められるような立場ではない。例えば社会学者の古市憲寿氏は「気になったのは、広末涼子さんのプライバシーを結構踏み込んだ形で話していましたけど、あれはどこまで広末さんの了解を取っていたものだったのか?」「この会見で広末家のことを赤裸々にしゃべってしまったことが、どういう影響を及ぼすのかってことに対して、どこまで自覚的だったのかということが、ちょっと気になりましたね」などと、話している(スポーツ報知電子版・キャンドル・ジュン氏の赤裸々会見に古市憲寿氏「どこまで広末さんの了解を取っていたものだったのか?」)。

 要は広末涼子氏が精神的に不安定な部分があり、そうした点は究極のプライバシーに属することであって、どのような状況でも本人の了解なしに話すべきではないという考えなのであろう。そういう考え方も出来るが、キャンドル・ジュン氏にすれば「自身の欲望に任せ、家族もかえりみずに行動している倫理観なき女優」という評価が定着することを避けるため、一連の行為は精神面の不安定さが原因であって、本来の人間性とは別ということを説明するために行ったと考えられ、あくまでも広末氏本人の今後のことも考慮した上での行動と思われる。

 いわばパターナリスティックな行為であって、本人の了承がないという一事をもって批判できるような問題ではない。また、本人の了承を求めても、本人はもちろん事務所も了解しないことは容易に想像がつく。

◼️カウンセリングや医療サポートの必要性

広末涼子氏(同氏マネージャー名のインスタグラムから)

 同様に実業家の堀江貴文氏は、自身のYouTubeチャンネルの中で「広末涼子に離婚を切り出されたと。そしたらもうそれ、全暴露してやれっていうようなですね、利用の仕方というのが素晴らしい…」と話している(堀江貴文 ホリエモン・広末涼子さんの不倫騒動とキャンドル・ジュンさんの記者会見についてお話しします)。

 今回の会見を見てキャンドル・ジュン氏が不倫をされた腹いせに暴露してやれと考えるのは、あまりに穿った見方のように思う。堀江氏が本気でそう感じたのであれば、人間として決定的に欠けるものがあるように感じる。

 そんな古市氏も堀江氏も、そして我々も1年もすれば、今回の件は忘れ去っている可能性はある。しかし、広末氏やキャンドル・ジュン氏、そしてその3人のお子さんにとってはこの先何年も何十年もこの時の出来事に苦しめられるに違いない。

 母親が倫理観の欠けたモンスターのような性癖であるかのように思われ、あるいは父親が「広末涼子の旦那って以外に、全然セールスポイントないわけですから。」(前出・堀江貴文氏)などと言われたことが、彼らのこれからの人生にどれだけ傷として残るかを考えた方がいい。多くの人にとってはよくあるゴシップ記事の1つに過ぎなくても、当事者にとっては一生を左右するような出来事である。

 そうした視点から見ると、少なくともキャンドル・ジュン氏の会見は一方的に責められるような性格のものではないはず。

 この先、広末氏が離婚を望むなら、それはそれで仕方がない。ただし、もし、精神面の不安定さによって行動がおかしくなることが事実であるなら、離婚の成否にかかわらずカウンセリングや医療的サポートを受けた方がいいように思う。それを等閑にしてきたことの延長線上に今があると考えることが必要と思う。

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