内藤ゆうや氏32歳 世田谷区長選再挑戦に手応え

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松田 隆🇯🇵 @東京 Tokyo🇯🇵

松田 隆🇯🇵 @東京 Tokyo🇯🇵

青山学院大学大学院法務研究科卒業。1985年から2014年まで日刊スポーツ新聞社に勤務。退職後にフリーランスのジャーナリストとして活動を開始。

【2027世田谷区長への道(3)】

 元財務官僚で、2023年の東京都世田谷区長選挙に立候補し、現職の保坂展人区長に敗れた内藤勇耶(ゆうや)氏(32)が、2027年の区長選に向けて動き出している。昨年12月から区内でミニ集会を開き、10日に1度程度のペースで地元住民の声に耳を傾けている。世田谷区政は、元社民党衆院議員の保坂氏が4期目を迎えている。前回、自民党と日本維新の会の推薦を受けて戦った内藤氏に対し、保守層から期待する声も出ている。

◾️区内でミニ集会

ミニ集会で参加者に語りかける内藤氏(撮影・松田隆)

 内藤氏が開催する集会には1回で10~20人程度が参加する。職業も立場も様々で、区政に関する様々な声が寄せられる。内藤氏は参加者の話を一つ一つ聞き、自らの見解や考えられる対策を示す。場合によっては参加者に連絡先を聞き、その後の対応にあたることもある。

 「相談に来られる区民の皆様は、お困りごとを抱えていたり、現在の区政に違和感を感じている方が多いのだと思います」と分析する。

 同時に、自らが考える世田谷区政についても説明している。安価な住居を供給するための政策、財源確保のための政策、治安悪化を防ぐための政策、区内で不足している特別養護老人ホームをめぐる政策などをパンフレットにまとめ、参加者に示している。

 集会を続ける中で、特に区内で問題になっていることがわかってきた。

 「参加された方からお話を伺うと、世田谷区で現在特に課題となっているのは、違法民泊と空き家の問題です。外国人と思われる方が深夜に騒ぐといった違法民泊の被害が、繁華街だけでなく住宅街でも起きており、非常に困っているという声を聞きます。また、世田谷区は空き家が多く、ハクビシンが住み着いて屋根裏で死骸の腐敗臭がするなどの害獣駆除を求める声もあります。どの回でも必ず話題に上がるのは、この二つの問題です。」

 地道に区民と対話を続けないと分からない問題であろう。それだけでも集会を行うことに価値が見出せる。

◾️4年越しの再挑戦

 前回の2023年4月の世田谷区長選挙では、内藤氏は財務省を退職して間もなく、十分な準備期間を確保できないまま選挙戦に臨んだ印象がある。自民党と日本維新の会の推薦を受けた内藤氏は14万7361票を獲得したものの、18万6553票を獲得した現職の保坂氏に3万9192票差で敗れた。

前回の区長選挙での内藤氏(2023年撮影・松田隆)

 落選すれば、政治家は「ただの人」である。東京大学法学部を卒業後に財務省へ入ったエリート中のエリートである内藤氏も、選挙後は生活のために配達員として働き始めた。その後、教育ベンチャー企業に就職したが、その会社が倒産。現在は大学生や専門学校生を対象とした起業家教育事業を手がけている(内藤氏配布のパンフレットから)。

 その一方で、YouTubeを使った情報発信(内藤ゆうやの事実検証チャンネル)にも力を入れ、自らの考えを社会に向けて発信してきた。私生活では、この間に東京大学時代のゼミの後輩だった女性と結婚している。

 落選から3年余り。捲土重来を期して地道な活動を続ける中で、本人も徐々に手応えを感じている。

 「最近は声をかけられることが非常に多くなりました。YouTubeの登録者数も2万人を超え、『動画を見ている』と声をかけられたり、ポスターを貼っていると車を止めて応援してくださる方も出始めています。今回は昨年12月から活動を開始しており、前回よりも声を聞くことが増えているので、走り切るしかないと思っています。」

◾️違法民泊に危機感

 地元・世田谷で暮らしながら活動する内藤氏が、特に強い危機感を示しているのが前出の違法民泊問題である。

 「三軒茶屋や下高井戸、烏山、二子玉川など、区内全域に(違法民泊が)広がっています。これまで第1種住居専用地域では平日の民泊が禁止されていましたが、7月27日の区議会で世田谷区はこれを緩和し、平日も営業可能にするという報告がありました。日本全体の潮流が民泊を規制する方向に向かっている中で、世田谷は緩和に向かっており、区民の恐怖感に寄り添えていない区長だと感じます。」

 内藤氏は、民泊問題を単なる生活環境上の問題として捉えているわけではない。現在の保坂区政が掲げる多様性のあり方そのものにも疑問を投げかける。「保坂区長の行き過ぎた多様性の推進がネックになっていると考えています。23区の区長のうち21人が民泊反対の陳情に賛同する中で、世田谷の保坂さんと杉並の岸本(さとこ)さんだけが賛同しませんでした。根底には外国人であっても優遇してしまう姿勢があると感じますが、我々住民からすれば言葉の通じない人がオーナーの民泊には恐怖を覚えます。世田谷区では川口市のような問題は起きていませんが、民泊に関しては区内全域に広がっており、非常に深刻な状況です。」

 内藤氏にとって、違法民泊をはじめとする外国人をめぐる問題は、2027年の区長選に向けた重要な課題の一つである。

 保坂氏は元社民党の国会議員である。一方の内藤氏は前回、自民党と日本維新の会の推薦を受けた。両者の政治的な立ち位置には明確な違いがある。違法民泊をめぐる両者の姿勢の根底には、イデオロギーの違いもあるように見える。

 その意味では、もっと保守色を前面に出して戦う方法もあるように思えるが、内藤氏は首長選挙であることも踏まえ、慎重な姿勢を見せる。

 「使い分けが大事だと思っています。私自身は保守本流を自認しており、インターネット上の言論では保守色を強く打ち出していますが、チラシや新聞折り込みなどでは表現をマイルドにしています。区長はすべての区民のトップリーダーであるべきであり、特定の人たちだけのリーダーであってはならないからです。メインは保守ですが、ウイングは広げたいと考えています」と、いたずらにイデオロギー対立を煽るような手法はとらず、淡々と政策で違いを出す方向性を打ち出しているようである。

◾️「簡単な戦いではない」

参加者の案内役もこなす内藤氏(撮影・松田隆)

 次回の世田谷区長選挙は2027年4月に行われる予定である。投開票まで残された期間は約7カ月。内藤氏は、その間に前回の3万9192票差を逆転しなければならない。

 4年越しとなる区長選への挑戦であり、前回に続く敗北は許されない。その危機感を胸にしつつも、勝利への道筋を見据えている。

 「簡単な戦いではないと認識していますが、前回は2か月の活動であの票差まで詰められました。今回はその4倍の期間活動できるため、良い戦いができると考えています。ただ、世田谷区は毎年人口の約8%から9%が入れ替わる自治体であり、4年前の選挙に行かなかった方や新たな区民が4分の1程度を占めます。保坂区長を知らない区民も多いため、4年前よりは戦いやすいかもしれません。」

 4年越しの再挑戦は、すでに始まっている。

(第4回に続く)

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