中田敦彦氏のYou Tube大学 中国の国旗と国連軍の認識を間違ってませんか?
松田 隆🇯🇵 @東京 Tokyo🇯🇵
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タレントの中田敦彦氏のYou Tube大学が人気を集めている。現代の世界を分かりやすく解説してくれるもので、一般人の知的好奇心を満たしてくれるものである。しかし、その内容については疑問を感じる部分が少なくない。
■中華人民共和国は戦後の1949年に建国
1月14日にアップされた「第二次世界大戦後の現代世界史」というのを見て、思わず目を疑ってしまった。写真にある通り、第二次世界大戦の戦勝国が国際連合の常任理事国になっているのは誰もが知っている通りだが、「第二次世界大戦の戦勝国」の中国について中華人民共和国の国旗が掲げてある。中華人民共和国は1949年建国であり、第二次世界大戦時には存在していなかった。
5つの国旗が現在の国連常任理事国を示しているのであれば中国の国旗は問題ないが、そうであると横にあるソ連という国は地球上に存在しないから、整合性を欠くことになる。
■第二次大戦の戦勝国は中華民国=現台湾政府
一応、申し上げておくと第二次世界大戦の戦勝国は中華民国、現在の台湾政府であり国連創設時からの常任理事国であった。「国民党政府(台湾)=中国」とされていたのである。それが1971年にいわゆるアルバニア決議が可決されたことで「中華人民共和国=中国」であるとされ、五星紅旗の北京政府が中国として国連の常任理事国となった。同時に中華民国(台湾政府)は国連からの脱退を宣言したのである。
そうなると第二次世界大戦の(主な)戦勝国のところには台湾の青天白日旗とソ連の国旗を、現在の国連常任理事国には中華人民共和国の五星紅旗とロシア国旗を置くのが正解であろう。
■常設ではない国連軍
もう一つ気になったのは「(国際連合には)国連軍というのができたんだ。武力行使、実力行使ができるよ、ということ…国連軍もいますからピースフル」という表現。国連軍をあたかも常設軍隊のように語っているが、過去に正式な国連軍は組織されたことはない。
「国連軍は、安保理と加盟国との間の特別協定に基づき各加盟国によって提供される兵力からなり(43条)、軍事参謀委員会の指揮・命令の下に活動を行うことになる(47条)。…現在に至るまで憲章上予定された国連軍(本来の国連軍)におる軍事的措置の発動例はない。」(現代国際法 栗林忠男 慶應義塾大学出版会、p513 ※43条・47条は国連憲章)。
朝鮮戦争では朝鮮国連軍が国連旗の使用を許可されたが、上記の憲章上の国連軍とは異なっているのは、よく知られているところであろう。
我々も世界史で国際連盟と国際連合の大きな違いの1つに武力行使の手段の有無を教わるが、法的に手段を有していることと、常設されていることとは明確に異なる。そのあたりはしっかりと論じないといけない。
■”大学”ならもう少し緻密に
個人的には中田敦彦氏は好きなタレントである。芸能以外の活動としてYou Tube大学を開催しているのはいいことだと思うし、実際に興味深い内容になっている。しかし、一般的な知識を伝える番組であれば、もう少し緻密にやった方がいいと思う。