埼玉県知事は条例でK−1開催止められたはず…それなのに「無理です」県庁担当者
松田 隆🇯🇵 @東京 Tokyo🇯🇵
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格闘技イベント「K-1 WORLD GP 2020 JAPAN ~K’SFESTA.3~」が3月22日、埼玉県知事の自粛の要請を無視し、さいたま市のさいたまスーパーアリーナで開催された。3月14日から施行の改正新型インフルエンザ等対策特別措置法による開催停止は無理だが、「さいたまスーパーアリーナ条例」による停止は可能だったはず。大野元裕知事の行動には疑問が残る。
■新型インフルエンザ特措法では止められない
新型コロナウイルスによる感染症の拡大で社会全体が不安と言い知れぬ恐怖に包まれる中、K-1開催が実施された。大野元裕・埼玉県知事は西村康稔経済再生相からの要請も受け主催者に自粛を要請したが受け入れられず「数回にわたり、協力をお願いしてきたが、残念だ」とするコメントした。
政府や地方自治体は現段階で、改正新型インフルエンザ特措法を使って民間団体の興行を強制的に停止させる権限を有していない。同法を適用して停止させる場合には、首相が務める政府対策本部長が新型インフルエンザ等緊急事態宣言を発し(同法32条1項)た上で、都道府県知事が興行場の管理者に会場の使用停止措置の要請(同法45条2項)、指示(同3項)をすることになる。
しかし、今回は緊急事態宣言は発せられておらず、県知事も主催者に自粛のお願いをするしかない。もっとも、これは特措法を用いた場合の話。
大野知事が本気で止めようと思ったら、「さいたまスーパーアリーナ条例」(以下、条例)で開催を止められたはずである。
■さいたまスーパーアリーナ条例で開催停止を
さいたまスーパーアリーナは条例に基づいて運営されている。ここで注目していただきたいのは8条と9条である。
第8条:知事は、スーパーアリーナの利用者の遵守事項を定め、及びスーパーアリーナの管理上必要があるときは、その利用者に対し、その都度適宜な指示をすることができる。
第9条:知事は、利用権利者が次の各号のいずれかに該当するとき、又はスーパーアリーナの管理上特に必要があるときは、当該許可に係る利用の条件を変更し、若しくは利用を停止し、又は当該許可を取り消すことができる。
一 第六条第三項の規定による条件又は前条の規定による遵守事項若しくは指示に違反したとき。
開催当日は新型コロナウイルスの感染拡大が社会に大きな不安を与えていた時期。そのため知事としては8条に基づいて、厳格な感染拡大防止策を指示すべきである。報道によると主催者は①換気を行う、②マスクを着用する、③住所と連絡先を書く、などを実施した。
しかし、①では対策としては不十分であるし、②は数時間に及ぶイベント中、すべての観客がずっとマスクをしている保証などない。③は感染拡大防止策ではなく、感染した場合の事後処理のための措置でしかない。
このように感染拡大防止に万全の準備をしろという指示に従っていないということで、9条1項1号を適用して利用を停止すればいい。
■埼玉県都市整備政策課に聞いた
仮に、この方法で利用停止をした場合、主催者から損害賠償請求される可能性があるし、敗訴するかもしれない。それならそれでいい。県民の生命、健康を守ることが優先事項。金銭を支払えば済む話であるのだから当然の判断であるし、県知事なら腹を括ってやるべきと考える。
この点を埼玉県庁に問い合わせると、都市整備政策課が話を聞いてくれた。
松田:(開催の停止について)緊急事態宣言が出てないから、特措法は使えませんよね。
担当者:そうですね。
松田:そうであれば、スーパーアリーナ条例の8条、9条で止めればいいと思いますが、それをしなかった理由を教えてください。
担当者:そのあたりは(事前に)弁護士に相談してまして、法令に基づいたものがない限り、県としては指示できないということで回答をもらっています。
松田:法令に基づいてるじゃないですか。スーパーアリーナ条例に基づいているじゃないですか。
担当者:条例の上にある法令ですね、そこで根拠がないためにできないと回答をもらっています。
松田:条例の上の法令って何ですか?
担当者:インフルエンザの特別措置法の関係で、そういう非常事態宣言の話が出てきます。
松田:特措法は関係ないでしょ? 特措法だと止められないのは目に見えてるんだから。管理者としてスーパーアリーナ条例が使えなかったということですか?
担当者:そうですね。
松田:それは、おかしいでね。弁護士さんがそう言いました?
担当者:法令に基づいて相談はしております。
松田:法令にはスーパーアリーナ条例を含め…
担当者:含めて、ですね。
松田:特措法が適用できないから、スーパーアリーナ条例も適用できないということですか?
担当者:そうですね。
松田:えぇ! そんなことないでしょう!
担当者:そのあたりもすべて含めて、相談させてもらってまして。
松田:特措法で出来ないから、スーパーアリーナ条例9条1項1号も適用できませんという話ですか?
担当者:そうですね。
松田:そう言ったの? 弁護士が?
担当者:法令に基づいたものがないと(止める場合に)該当しない、という相談(への回答?)です。
松田:(県が)スーパーアリーナ条例9条1項1号を使いたいんだけど、という相談をしたら「それはダメです」と言われたんですか?
担当者:そうですね。そこについても、ちょっとそこの詳細までは手元にないのですが、ウチの管轄するスーパーアリーナ条例を含めて相談はさせてもらっています。
■なぜ知事は決断しなかったのか…県民の安全を守ってほしい
お忙しい中、電話で応対していただいた担当者の方にはお礼を申し上げたい。
弁護士がどのようなアドバイスをしたのかは分からないが、県知事が「何としても止めたい」「場合によっては損害賠償請求をされても、県民の安全を確保したい」と言えば、弁護士も「じゃあ、条例で止めればどうですか。あとで訴訟で負けるかもしれませんが」ぐらいは言ってくれたかもしれない。
弁護士は法の解釈しかしないから、政治家が責任を持ってやるしかない。あまり参考にならないが、最高裁判決平成3年3月8日を読むことをお勧めしたい。千葉県浦安町(当時)の町長が、河川に無許可で打ち込まれた鉄杭100本を、法律上の根拠なく撤去した事案。この時、最高裁は鉄杭を抜いた行為を「緊急の事態に対処するためにとられたやむを得ない措置」とした。今回の場合と状況はかなり異なるとは思うが、一つの参考にはなるはずである。
大野知事には何としても開催を止めてほしかった。そして、止めることは可能であったと、僕は思う。
私も開催されたことを知って、県有施設なら条例に必ずどうとでも運用できる利用禁止規定があるはずだと思い埼玉県の例規集を調べ、同じ結論に達しました。
あちこちのサイトで大野知事の責任を追及するコメントを残していこうと思っています。
>>元一小役人様
コメントをありがとうございます。
この状況で管理者が利用停止にできないわけがないと思います。それをしなかったのは…バックに何らかの勢力があるのかなと思っています。
安倍内閣が早く緊急事態宣言を出さないと、いけないでしょう。次は3月28日に都内でやるようです。それまでに何とかしてほしいものです。
ここは株式会社さいたまアリーナが指定管理者となっている施設で、知事が直接に許可取消しはできない気がします。条例に指定管理の場合の読み替えも規定されてますね。
>>だらん様
コメントをありがとうございます。
条例の13条の指定管理者のことでしょうが、確かに「直接に許可取消し」はできないのでしょうね、「直接」は。
手続き上、直接できないというだけであって、あまり意味があることではないと感じます。
KAZUYA CHANNEL GX というyou tube番組で紹介されていました。
https://www.youtube.com/watch?v=pJFxa-1gDSE
29:50あたりからです。
閲覧数から見て、少なくとも数万人の人には周知できるはずです。
知事は元外務省の役人のようですが、「官僚のままの政治家=最低の政治家」があふれかえる状況には呆れるほかありません。
>>元一小役人様
YouTube拝見しました。和田憲治さん、僕の記事を読んでくれたようですね。びっくりしました。光栄です。
大野元裕知事は、外務省を辞めた後、かなりエキセントリックな政権批判をしていて、官僚にもこんな人がいるんだなという印象がありました。知事が止めなかったのは支持母体が左派系というのがあり、市民の権利を制約することに抑制的であったというのはあるのかなと思います。
それからK-1という団体のバックに控えているのかどうか分かりませんが、外国(人)の組織との関係も無視できなかったのかもと、これは邪推と呼ばれるレベルかもしれませんが、少し疑っています。
とにかく、KAZUYA CHANNELでこの話が出たのは埼玉県民にとっていいことだったと思います。毎度毎度、枝野氏を当選させている埼玉県民ですからね。
情報をありがとうございました。