志村けんさん中国語Wiki改変騒動「台湾肺炎で死亡」で台・中が小競り合い

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葛西 健二🇯🇵 @台北 Taipei🇹🇼

葛西 健二🇯🇵 @台北 Taipei🇹🇼

京都産業大学外国語学部中国語学科、淡江大学(中華民国=台湾)日本語文学学科大学院修士課程卒業。1998年11月に台湾に渡り、様々な角度から台湾をウオッチしている。

 ザ・ドリフターズのメンバーでコメディアンの志村けんさんが3月29日に亡くなりました。台湾でも人気のある志村さんの死は大きく報じられています。しかし、人気者ゆえに中国語wikipediaを巡って台湾と中国のユーザーが改変合戦する騒動があり、日本人にとって何ともやるせない思いをさせられました。

■台湾でも大人気の志村けんさん「8點!全員集合」

志村けんさん死去を報じる台湾のテレビ(台視新聞、TVBS新聞台画面から)

 志村けんさんの台湾での人気は高く、40代以上の人にとっては特別な存在です。以前、台湾では日本のテレビ番組を録画したものが販売・レンタルされており、「8時だョ! 全員集合」は「8點!全員集合」、「志村けんのだいじょうぶだぁ」は「志村大爆笑」と名付けられレンタルビデオ店では大人気だったということです。

 そのため、台湾メディアは志村さんの突然の死を「喜劇之王」「喜劇之神」の急逝として30日朝からトップニュースで報じています。ネット上には志村さんへの追悼のコメントが多数並びました。日本でも同じような状況だったと聞きましたが、台湾でも新型コロナウイルスの感染源の中国に対する怒りは収まりません。

中共病毒禍害世界禍害人類 (中国ウイルス禍は世界と人類を害する)

不要再帶走太多重要的人了 大陸這次真的很該死 害了多少人?! (これ以上大切な人を連れて行かないで。中国今回は本当にくたばれ。何人を犠牲にするんだ?)

中共出來負責吧  (中国は責任を取れ)

 このようにかなり過激な内容となっています。

■志村けんさん台湾肺炎で死亡? 武漢肺炎と書き換え

志村けんさん中国語Wikiで「台湾肺炎」(右)と書かれた後、「武漢肺炎」「CHO」と修正(葛西健二氏提供)

 こうして台湾のネットが熱くなっている時に、その上からガソリンを撒くような出来事が起きました。中国のネットユーザーが、志村けんさんの中国語版Wikipediaに「台湾肺炎に感染入院 死去」と書き加えたというのです。

 これを見た台湾のユーザーが激昂したのは当然です。すぐに「台湾肺炎」を「武漢肺炎」と書き換えました。しかし、それでは気が収まらなかったのでしょう、さらに「注意使用CHO正確稱謂 (WHOのWをChinaのCに置き換え皮肉った)CHOの定める正確な名称を使用すること」という一文を付け加えました。

 こうした改変騒動を経てようやく「2019冠狀病毒病 COVID-19」と 「WHO」の正式呼称に差し替えられました。この件は台湾メディアでもニュースとして取り上げられました。

■あまりに低レベルな争い 確証なしに報じるメディア

 私はこの出来事を見て(なんて低レベルで幼稚なのか)と、とても悲しくなりました。このような低レベルの書き換え合戦は故人への冒瀆に他なりません。一部の人たちが行ったことだとしても、台湾と中国の争いがこのような形で現れてしまうのは志村さんを愛する日本人として、とても悲しく残念なことです。

 また、画像があるとはいえ、ネットの情報でしかありません。しかも情報の出所が台湾独立を掲げる政治色の強いSNSグループ「只是堵藍」で、その後の流れを掲載したのが台湾民進党の立法議員王定于氏のSNSサイトであることから、実際、裏でどのようなことがあったのかは不明です。自作自演とは言いませんが、もしかしたら政治的な思惑があったのかもしれません。

 それなのに、それを話題として提供するマスコミは煽るような見出しをつけ、ネットの内容をあたかも絶対的な真実であるかのごとく報道するのですから、いかがなものかと思います。しっかりと確証を得てから報道すべきではと常々感じている台湾メディアへの不信感や違和感をあらためて感じました。

■日本と台湾の文化交流に大きな貢献をした志村けんさん

 志村けんさんは「喜劇之王」として、私たちの共通の「アイドル」として、日本と台湾の文化交流に非常に大きな貢献をされました。台湾ではこの訃報に接し、多くの人がその急逝に衝撃を受け、悲しんでいます。

 志村けんさんの逝去に心より哀悼の意を表し、台北よりご冥福をお祈りいたします。

合掌

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