世論調査再開 産経新聞はもう死んでいる

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松田 隆🇯🇵 @東京 Tokyo🇯🇵

松田 隆🇯🇵 @東京 Tokyo🇯🇵

青山学院大学大学院法務研究科卒業。1985年から2014年まで日刊スポーツ新聞社に勤務。退職後にフリーランスのジャーナリストとして活動を開始。

 産経新聞社とFNNが合同世論調査を1月から再開することを15日、発表した。2020年6月に調査の委託先調査員がデータを捏造していたことが発覚し、調査を中止。今回、およそ7か月ぶりに復活させるが、そのような調査を信用する人がいるのだろうか。

■3つの不正防止策は正常に機能するのか

 世論調査再開については、16日付けの産経新聞が詳細を伝えている。それによると3つの不正防止策を実施。

(1)不正を未然に防ぐ

(2)入力データに不正がないかを厳しくチェックする

(3)万が一、不正が発覚した場合には検証できるようにする

 上記を担保するために、以下のような具体的な方策を取るとした。(1)調査実施機関(産經新聞やフジテレビ)に産経新聞社とフジテレビの担当社員が終日、調査を行うコールセンターで立ち合いやモニタリングを行う、(2)調査員と回答者のやりとりを別の調査員が調査結果と照合し、確認する、(3)データや調査員と調査対象者のやりとりを一定期間保管し、不正やミスが出た場合に検証できるようにする。

産経新聞は失った信用を取り戻せるのか

 これを見て、「もう絶対に不正など起こりようがない」と感じる人がどれだけいるのだろうか。有効回答1000を得ようと思ったら、相当数の電話をかける必要があり、それら全てを立ち合いやモニタリングで把握できるはずがない。コールセンターでの調査が終了後にも入力が行えないシステムとは書いておらず、監視されていない時に入力が可能になることが予想される。

 しかも、産経新聞とフジテレビの職員は回答者とのやりとりと調査結果の照合は行わず、別の調査員に行わせるというのである。委託先の人間が契約に反して再委託し、そこの社員が不正入力したのが問題になったのに、その委託先の別の調査員が実際のチェックを行うというのは悪い冗談にしか思えない。

 そしてデータを一定期間保管して、不正やミスがあった場合に検証できるようにするというのであるから、一定期間が過ぎてしまえば検証できないということである。また、データを保管するが、不正やミスがでなければ検証しないように読めるから、不正をしても検証されることなく、一定期間が過ぎれば証拠がなくなってしまうことになる。

 産経新聞もフジテレビもこんな手法で社会から信用されると思っているのだろうか。

■調査14回で不正確認、関連記事を削除

 この電話による世論調査の不正入力は、2019年5月から2020年5月までの調査14回で行われたことが確認されたという。

 その調査に基づく放送と記事が取り消されている。1年間、読者や視聴者を欺き続けていたわけで、報道機関としては許されない行為。委託契約先の「アダムス・コミュニケーション」(本社:東京都)が、契約に反して「日本テレネット」(本社:京都市)と再委託契約を結び、その日本テレネットの社員による不正データを作出していたとのこと。

 一般に産経新聞・読売新聞は保守系、朝日新聞・毎日新聞は左翼系の主張がなされることが多い。メディアも独自色を打ち出さなければいけない事情もあるし、自らの考えを主張するのは勝手である。その内容が論理性を欠くものであれば、そのような媒体は淘汰されていくであろうから、それも経営判断の1つと言えなくもない。

 しかし、記事のベースとなる事実関係については、そうした主張に影響されない、客観的な事実として公表されるべきもので、その前提で読者や視聴者は媒体からの情報を受け入れている。その客観的事実、記事や主張の前提となるデータが捏造されていたのであるから、その媒体の主張の根拠は当然に失われる。根拠のない主張を根拠があるかの如く報じていたメディアが、穴だらけの再発防止策を発表したところで、今後、信じる者がいるとは思えない。データの捏造は、まさに媒体としての自殺行為であることを産経新聞とフジテレビの幹部は理解できているのか。

■せめて自社で世論調査をしたらどうか

 産経新聞はこれまで朝日新聞の慰安婦報道を批判し続けている。朝日新聞が読者を欺き続けていたのは事実だが、産経新聞は朝日新聞を「誤報」「捏造」などと批判できるのか。読者を欺き続けていたのは朝日新聞も産経新聞も同じである。

 産経新聞は「自社の社員ではなく、委託先の捏造」と言うのかもしれないが、不正があることを1年間も気付かないのは重過失と言ってよく、故意と同様に判断されても仕方がない。そうでなくても、1年間も騙されていたことに気付かなかったとしたら、不正を感知する能力のない「間抜けなメディア」ということである。

 もし、読者や視聴者の信頼を回復したいのなら、せめて「今後は自社で世論調査をします」と言ったらどうか。それは人員の関係で難しいのだろうか。そんなことはないと思う。検察のトップと賭け麻雀をしている暇な社員がいるのだから、そうした記者を使えばできるはず。信頼回復したければ、それぐらいのことをすべきであろう。

    "世論調査再開 産経新聞はもう死んでいる"に3件のコメントがあります

    1. トトロ より:

      産経新聞だけではなく、新聞自身が死んでます。
      毎日新聞が、伊藤のインタビュー記事で、キックボクシングしている
      と記載してますが,膝関節をケガして人間がキックボクシングするのは、
      膝関節のケガを悪化させるだけで現実的にありえないことを記事にする事態
      新聞の劣化が進行しています。

    2. MR.CB より:

      》》ジャーナリスト松田様

      小生が個人的にメディアに求めるものは、知られざる真実を追及する姿勢。そして事実を客観的なスタンスで報じることです。安直にメディア側が解説することを望んではいません。分かりやすく記事になっていれば、読者は各々で判断出来ると思っています。
      しかし残念ながら、現実は違っています。メディアも企業であるが故に、顧客である読者や視聴者を囲い込みたくなります。よって刺激的な表現や、場合によっては印象操作も厭わない。なので益々、松田さんの【令和電子瓦版】の出番が多くなるのですね(笑)。

      1. 松田 隆🇯🇵 @東京 Tokyo🇯🇵 松田 隆🇯🇵 @東京 Tokyo🇯🇵 より:

        >>MR.CB様

         身に余るお言葉、ありがとうございます。

         産経新聞にはがっかりですね。もともと、記事の間違いを指摘しても何のレスポンスもなく、もちろん、修正もしない新聞社なので(中はユルユルなんだろうな)と思っていましたが、その通りでしたね。

         主張の前提となる客観的事実が捏造されていたのでは、主張は成立しなくなります。それがメディアにとって致命的であるということの意識が希薄なのだと思います。これから産経新聞の世論調査に関する記事は「調査が正確に行われたのであれば、の話だね」という前提を付けて読むことになります。

         当サイトもご期待に応えられるように頑張りたいと思います。ありがとうございます。

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