宮迫博之・たむらけんじ、吉本芸人の2人を分けた”生き様”の違い

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松田 隆🇯🇵 @東京 Tokyo🇯🇵

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青山学院大学大学院法務研究科卒業。1985年から2014年まで日刊スポーツ新聞社に勤務。退職後にフリーランスのジャーナリストとして活動を開始。
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 吉本興業が所属タレントの宮迫博之さんとの契約を解消(民法でいう解除であろう)したと、2019年7月19日、発表した。闇営業の件と、新たに明らかになった金塊強奪犯との”ギャラ飲み”が明らかになり、吉本興業としてもこれ以上、会社のイメージを落とすわけにはいかなかったのであろう。この事件について最も感じるのは芸人の危機管理の重要性である。吉本興業の宮迫博之さんと、たむらけんじ(田村健司)さんの危機管理の差がその後の2人の人生を決定付けていることに感慨を抱かざるを得ない。

■ノーギャラで闇営業は合理性欠く説明、すぐに嘘は破綻

たむらけんじさんが経営する「焼肉たむら」

 宮迫博之さんはご存知のように闇営業の件でバッシングを浴びた時に、その非難をかわそうと考えたのか、同じ闇営業をしていた芸人とともに「ギャラはもらっていない」と虚偽の事実を述べた。しかし、ノーギャラでリスクのある闇営業をすることなど考えられず、その嘘はすぐに破綻する。

 一方、たむらけんじさんは2008年に自身が経営する焼肉店で食中毒が発生した時、謝罪会見をして、すべては自分の責任であると頭を下げた。2017年7月に取材をさせていただいた時に、その話をすると、たむらさんはこう話してくれた。

 「僕は絶対あそこで何を聞かれても知らないことは知らない、知ってることはすべて話すということと、あとは絶対に部下のせいにしない、全ての責任は自分にあるということを本当にそう思ってたから、それを伝えることだけ決めて、あの場にいました。だから、よく会見などで『嘘ついてるなぁ』っていうのが、あるじゃないですか。そういうのを見ると『何で嘘つくんやろう』と思います」。

 その上で僕が「あそこで、世間の信用を得たんじゃないかなと思っています」と言うと、こう答えてくれた。

 「ああー、あそこで終わらなくてはよかったですよね。普通ならあそこで終わってたかもしれない。あそこで僕が嘘ついたり、保身に走ってたら、もしかしたら終わってたかもしれないですね」。

 闇営業の件でたむらさんは6月24日のMBSテレビの情報番組「ミント!」でコメントを求められた時に「一番は嘘をついたこと。嘘ついたらあかん」と涙を流したと報じられた。

■生き様の違いが危機管理の差に出たか

 日本社会は嘘に対して、とりわけ厳しい。一度嘘をつくと、その後ずっと「あいつは嘘つき」という評判が付いて回る。嘘で窮地を脱しようとした宮迫さんは解雇同然の契約解除となり、真摯に真実だけを述べて謝罪し、全ての責任を負ったたむらさんは、芸能界でも、飲食業でも一線で活躍している。

 これが人生だ。人生であるべきだ。

 危機に際しては、日頃、当人がどういう生き様をしているかが現れると思う。芸能人も政治家も、学校の先生も警察官もジャーナリストも、社会で生きていくために大事なのは「信用」。宮迫さんとたむらさんの危機管理の違いは、我々に多くのことを教えてくれる。

 「誠実たれ」という言葉の重みを、今、感じている。

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