レコ大受賞者 2009年新聞社は早めに知っていた

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松田 隆🇯🇵 @東京 Tokyo🇯🇵

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青山学院大学大学院法務研究科卒業。1985年から2014年まで日刊スポーツ新聞社に勤務。退職後にフリーランスのジャーナリストとして活動を開始。
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 第62回日本レコード大賞の発表会が12月30日、新国立劇場(東京都渋谷区)で開かれ、大賞にLiSAさんの「炎(ほむら)」が選出された。報道機関は大賞受賞者を早めに知っているのでは、というのはよく言われる話。実際に新聞社で記事を公開していた身として言えるのは、少なくとも10年ほど前までは発表の3、4時間前に知っていることは間違いないということである。

■番組開始後の時間帯に「大賞は●●●●」

YouTube第62回 輝く!日本レコード大賞の画面から

 僕自身、日本レコード大賞に関する報道に携わった経験はある。日刊スポーツ新聞社の電子メディア局(現情報センター メディア戦略グループ)勤務の時期(2003年~2009年)、自社作成の原稿はもちろん、共同通信から配信される記事も文末に(共同)のクレジットを入れて公開しており、レコード大賞の記事もアップした。

 2009年までの数年は年末も勤務し、共同通信から送られる原稿も必ず目を通していた。レコード大賞はそれなりに注目度が高かったため、ページビューを稼ぐためには重要な記事である。しかし、毎年、番組が始まると、その直後ぐらいに共同通信から「大賞は●●●●に決まった」という原稿が入るようになっていた。もちろん、その記事は解禁時間が決まっており、番組終了が午後10時25分頃であれば、午後10時30分に設定されている感じだった。

 その場合、日刊スポーツの記事公開システムの中に共同通信からの配信記事をセット。記事の見出し部分に(●●解禁午後10時30分●●)と入れて間違ってアップしないようにしておき、解禁時間が来ると同時にアップするようにしていた。記事には自動的にタイムスタンプがつく。午後10時29分というスタンプがつくと共同通信から「協定破り」とクレームがつく可能性があるため、秒針を見ながら慎重に作業をしていた。

■番組内で大賞発表 速報は朝日新聞のみ

 EXILEが2連覇を達成した2009年だったと思う(あるいはその1、2年前)。夕方ぐらいに共同通信から受賞者の記事が来て、受賞者が決まったという記事をセットしておいた。やがて番組内で大賞受賞者を発表(午後10時過ぎぐらいだと思う)。すると、朝日新聞のサイトが速報で「レコ大は●●●●」とアップしたのである。

 事情をご存知の方なら分かるだろうが、朝日新聞は共同通信の記事配信を受けていない。そのため、テレビ番組を視聴して取材という形で気兼ねなく記事を公開できる。もちろん、日刊スポーツでもテレビ番組を視聴しており、それを見て一報をアップすることはできる。

 しかし、仮に自分でアップした場合、午後10時10分などという記事解禁前のスタンプがつき、共同通信からあらぬ誤解を受けないとも限らない。上司に「どうします? こっち(自社)で書いてアップしますか?」と聞いたところ、(後で面倒になるかもしれないから、やめておこう)といった返答だったように思う。

 他のスポーツ新聞のサイトも同様に動きはなく、午後10時30分に一斉に記事が公開されるという状況だったと記憶している。

 こうしてレコ大の受賞者の速報では朝日新聞のサイトが10分か20分程度、独占スクープ状況だったという笑えない結末になった。

■2014年スポニチが受賞と同時に記事配信

 2014年、スポーツニッポン(スポニチ)が大賞受賞と同時刻に受賞したニュースをYahoo!に配信し、(事前に大賞受賞者を知っていたのではないか)と話題になった(サイゾー「視聴者・審査員不在の賞レース『日本レコード大賞』”聖域化”への苦言」)。

 この時点で僕は日刊スポーツを退職していたので、詳細な事情は分からない。ただ、少なくとも共同通信からの配信で結果は数時間前に把握していたと思う。

 もちろん、それ以前にも知っていた可能性はある。芸能を担当する文化部に在籍していた上司の下で働いていたことがあるが、レコ大の放送の数日前から「大賞は●●●●だよ」と話を聞かされ、実際にその通りになった。その上司によれば芸能担当記者がソースで(全部、こんなの決まってるよ)という話であったが、真相は不明である。

 僕がレコ大の報道に携わったのは2009年までのため、現在はどうなっているか分からない。ただ、少なくとも一時期、事前に受賞者が分かっているという状況があったのは確かで、そのような選考過程の不透明さを思わせる事態が賞の権威を貶めているように思う。週刊文春で大賞受賞が買収によるものであったとする報道もなされた(2016年11月3日号)。

 いずれにせよ、家族揃って大晦日にドキドキしながら見たレコード大賞は、遠い遠い昭和の記憶になっていることは間違いない。

2 thoughts on “レコ大受賞者 2009年新聞社は早めに知っていた

  1. アバター 誤報の嵐 より:

    松田さんあけましておめでとうございます。
    今年も独自に切り口で一般紙にはない視点の記事、期待してます。
    さて松田さん古巣の日刊スポーツですが、新年早々やらかしてますね。
    芸能スクープ連発のはずの
    ・河北麻友子結婚
    ・チュート徳井結婚
    ・オリラジ藤森結婚
    何と3つとも完全否定。ここまでの誤報連発ってあり得るんでしょうかね。もはや報道機関の体を成していないのではと。

    1. 松田 隆🇯🇵 @東京 Tokyo🇯🇵 松田 隆🇯🇵 @東京 Tokyo🇯🇵 より:

      >>誤報の嵐様

       コメントをありがとうございます。

       本当にひどいニュースですね。「元日紙面だから、派手にやろうよ」という力が加わったのは間違いないでしょう。記事を書きましたので、ご覧になっていただければと思います。

       こんなことをしていると、日刊スポーツが消え去る日は遠くないと感じます。

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