台北で人気ブランド?「小室哲哉マンション」 住んでみたいような…
葛西 健二🇯🇵 @台北 Taipei🇹🇼
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近年、台北市周辺にある新北市や桃園市ではタワーマンションの建設ラッシュとなっています。日本ではマンションの名前に洒落た横文字を並べる場合が多いですが、台湾では日本語を使うことが少なくありません。その結果、マンション「小室哲哉」、マンション「夏目漱石」という、日本人には信じ難い名前が登場しています。今回はそんな台湾のマンション命名事情を紹介しましょう。
■台北周辺はタワマン建築ラッシュ
新北市では昨年、130メートル以上のタワーマンションが8棟建設され、現在170メートルの高さを超えるマンション3棟が建設中となっています。写真は新北市中和区に建設中のマンション群です。高さは中規模ですが、台北郊外ではいたるところでこのような風景を目にします。一言で言えば台湾も都市化が進んでいるということでしょう。
日本ではマンション名にたいてい外来語や外国語でつけられます。これは洗練されたイメージ、ブランドをアピールする狙いがあるのでしょう。ネットで検索すればすぐに出てきますが、例えば「●●●ザ・レジデンス」「▲▲▲シーサウスブランファーレ」「モメント×××」といった具合です。
漢字の国台湾では、建物を命名する時には、縁起のいい画数を重視する場合もありますし、「一品」、「帝宝」のように漢字から連想される良いイメージの名前をつける場合もあります。そしてブランド名として日本語の固有名詞がつけられるケースが少なからずあります。これは洗練されたイメージ をアピールするのに日本語の固有名詞が有効ということでしょう。在台日本人としては興味深い部分です。
■マンション名に日本語の固有名詞
マンション名に日本語の固有名詞を使いたくなる気持ちは分からなくはないのですが、どんな固有名詞を選ぶかが問題。(いや、そこは選んじゃダメでしょう!)みたいなものもあります。実際に私が目にしたものには以下のようなものがありました。
★伊東市:台湾でも景勝地、温泉として有名なこの地名を使って避暑地のようなイメージをアピールしているのかもしれません。ただなぜ「市」までつけているのか日本人には理解が難しい部分です。
★六本木:都会的なイメージを狙ったのでしょう。外国人がたくさん住んでいたら、ちょっと笑ってしまいますね。
★小室哲哉:台北にある1990年代に建てられたマンションです。当時の「おしゃれ感」なのでしょう。
★久石譲:ナウシカやトトロの音楽担当、名曲「Summer」の作曲者でも知られています。アニメの音楽担当ということで、台湾でも知る人ぞ知るというのを狙ったのでしょうか。
★夏目漱石:森鴎外と並ぶ日本の近代文学の父と言ってもいい存在。その重厚感を演出しようとしたのかもしれません。
★文藝春秋:日本を代表する出版社。信頼の証でしょうか。
■レディー・ガガ赤坂見附はあり?
伊東市、六本木はまだしも、日本人の名前を(おそらく無断で)つけるのはいかがかと思います。いかに建物のイメージを良くしようと思っても、日本で「高輪マイケル・ジャクソン」ですとか「レディー・ガガ赤坂見附」はあり得ないでしょう。
もっとも小室哲哉さんの場合、21世紀になると5億円がどうとかで結構やらかしていますから、命名者も今になって「やっちまったなぁ」みたいに思っているかもしれません。マンション文藝春秋も、いつも建物の前に記者が張り込んでいそうで、遠慮したいですね。
台湾のマンション命名事情、在台日本人としてはくすぐったいような、笑ってしまうような、おかしな気分で見ています。これも台湾の面白さ、楽しさの一つではあるのでしょうが。