君は機車瀑布を見たか 驚きを超越した光景
葛西 健二🇯🇵 @台北 Taipei🇹🇼
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日本では二輪車の新車販売台数が12年ぶりに14万台を突破、新型コロナウイルス禍で密を避ける需要も取り込み好調と聞きます(日刊自動車新聞電子版5月5日付け)。しかし、二輪車は台湾が本場です。訪れた際、街中を走るバイク特にスクーターの多さに驚いた方も少なくないと思います。
■半分以上の人がバイクを所有する台湾
交通部の統計によると台湾国内で登録されている二輪用ナンバープレートは約1400万台分(2021年3月時点、交通部:機動車輛登記數 )。台湾の人口は約2300万人なので、100人につき60台のバイクを保有、半分以上の人がはバイクを所有していることになります。
台湾の二輪免許保有者は約1490万人(2021年3月時点、交通部:領有駕駛執照人數)、国民の10人中6人が二輪免許を保有する「二輪大国」です。日本の二輪保有台数は1000万台(日本自動車工業会 :二輪車保有台数)、人口1億3000万人として100人につき7.7台です。台湾の街中を縦横無尽に走り回るバイクの大部分は150ccまでの比較的低価格な車種です。
私も移動手段は自身保有のスクーターです。台湾は至る所に二輪用駐車スペースが設けられており(基本無料)、駐車スペース探しに悩まされることもありません。また交通が混雑する道路では二輪専用レーンが設けられています。渋滞を気にせずどこへ行くにも便利な「足」として、バイクは台湾の人々の生活に欠かせないアイテムとして重宝されています。
このように屈指のバイク密度を誇る台湾、通勤・退勤時のラッシュアワーには大量のバイクが湧き溢れ道路を覆い尽くします。中でも新北市三重区と台北市を結ぶ台北橋をバイクが埋め尽くす様は「機車瀑布 (バイクの滝)」とも呼ばれ、台北新名所として海外メディアでも紹介されたほどのバイク密集地帯です。陽光に輝く無数のヘルメットと大音量の排気音の圧倒的光景は驚きを通り越して笑い声が出てしまうほどです。
■交通事故の多発 改善へ取締り強化
大量のバイクが車の間を縫うよう走り抜ける台湾、交通マナーはバイク・車ともに決して良いとは言えません。日本と比べて運転の荒い人が多く、交通事故も頻発しています。交通事故件数のうちバイクの関連した事故は18万5000件と半数以上を占めています(総件数34万1000件、2019年度行政院主計總處:國情統計通報)。
行政は交通事故多発を防ぐ為2020年9月1日から取締りを強化、道路交通法の改正により交差点での信号無視や歩行者の横断妨害等に対する罰則が強化されることになりました。結果9月1日からの7日間で約6万件の違反が摘発され、そのうち約8割の4万7000件がバイク・車の信号無視だったということです(中央通訊社 2020年9月25日)。
罰則や取締りが強化されたとはいえ、私はバイクの傍若無人ぶりが減少しているとは思えません。今でもバイクの事故は頻繁に目にしますし、先日バイクで走行中は大通りの交差点から次の交差点の間に3件のバイク事故を目撃、「交通規則を守って安全第一の運転を」と気を引き締めた次第です。
■気軽に免許取得 持ち込みバイクで一発合格
このように台湾では足代わりのバイク、二輪免許は比較的簡単に取得することができます。
台湾の二輪免許は(1)50cc以下 (2)51cc-250cc (3)251cc以上の三種類に分けられます。このうち(1)と(2)の免許取得者が約1450万人と約96%を占めます(2021年3月時点、交通部:領有駕駛執照人數)。
免許取得には筆記試験と技能試験が必要ですが、日本のように講習を受ける必要はありません。直接運転免許試験場へ赴き、筆記+技能試験に合格すればその場で二輪免許が交付されます。技能試験では湾曲コーナーが設けられたコースを半周、途中一時停止や信号がありますが、日本の運転免許試験場のように複雑なものではありません。街の河川敷等には免許試験場と同じコースが設置されたバイク運転練習場があり、好きな時間に技能試験に向けた練習をすることができます。
私は台湾の運転免許試験場で250cc以下の二輪免許を取得しました。免許試験場の技能試験で使用するバイクは各自持込みです。私は知人の運転するバイクに載せて貰い運転免許試験場へ、そのバイクで技能試験に臨んだのですが、とても驚いたのは、持込み用のバイクを自ら運転して運転免許試験場へ来場する試験参加者が大部分だったということです。
バイク免許取得前にバイクを運転して来場が「あり得ない」と驚いたのですが、運転免許試験場側もお咎め無し、そして全員一発合格、その場で免許を取得して皆さっさと自前のバイクで立ち去る。このいい加減さに「道理で台湾はバイクの運転がいい加減なのだ」とおかしな部分で納得がいきました (10年以上前の事なので今は厳しくなっているかもしれません)。
■補助金制度で電動バイクの増加 排ガス規制と騒音対策
大量のバイクによるエンジン騒音と排出される大量のガスによる空気汚染は長らく台湾社会を悩ませてきました。駆動音が小さく排出ガスのない電動バイクは2013年前後から台湾市場に登場しましたが、当初は販売価格の高さや駆動時間及び充電の問題から売れ行きは芳しくありませんでした。
その後2016年に政府は電動バイクの購入・買い換えに対する補助金支給措置を打ち出します。これによって2014年の生産量は約5000台ほどであった電動バイクは、2018年には生産量9万台に達しました。年間成長率は81.8%という高水準です。2020年5月時点で電動バイクを従来のガソリン式バイクから買い換えた場合、最高で1万4000元(約5万円)の補助金が支給されます。
従来型バイクメーカーの電動バイク市場への参加もあり、電動バイクの価格も以前に比べ安くなり、約6万元から新車が購入できます。ここに補助金を算入すると従来型バイクの半額程度で電動バイクを入手することができます。また電動バイクのバッテリー交換ステーションも台湾全島で2000箇所に増え、電動バイクのインフラも順調に拡充されています。
■誰もが使える国民の「足」に
台湾では二輪以外に車椅子使用者や身体の不自由な人でも運転できる三輪バイクも販売、利用されています。また市内の二輪駐車スペースには必ずこのような三輪バイク専用スペースも設けられています。
誰もが使える台湾社会の「足」として活躍するコミューター、バイク。台湾の皆さんには交通ルールを守り安全第一で乗って欲しいものです。
記事中の写真、まるで東京マラソンのスタート前風景ですね。
この密具合、日本のメディアお得意の、「圧縮効果」に因るもの
では無いと思いますが。
確かに、以前台北に旅行した時、バイクの多さに驚きました。
流石にこんなに多くは無かったですが、信号待ちのあと、青信号での
一斉スタートは壮観でしたし、その流れがずっと続いていた印象です。
免許取得前に、試験場へバイクで行く。
おおらかで良いですね。日本人からすれば、有り得ねぇ、ってなりますが。
こういう所が、伸び代と言うか、熱気と言うか、荒っぽさと言うか、
エネルギーとして当てられる要因かもしれませんね。
ネット検索すると、台湾は電動バイクの先進国のようですね。
知りませんでした。
6万元だと、20万円強ぐらいでしょうか。安くは無いですねぇ。
今後の環境対策としては、電動バイクの推進は有効だと思いますが、
補助金、もう少し上乗せして欲しい、の声がありそうな・・・。
ぷんぷん丸様
補助金アップすれば私も買い換えます。
もう少し上乗せして欲しいです。
2010年まで◯DA関係で台中/台南と日本を行き来してました。
台湾には自動車メーカーは無いのですがKYMCOというスクーター
メインの二輪メーカーはあります。
スクーター用のアルミホイールとかチューンパーツ、ドレスアップの
お店もあったりで当時はへーへーへーって感じでした。
借りてるトコの近くには大潤発(RTMart)があったので
3人乗り4人乗りの子連れスクーターもよく見ましたよww
foxgolfzulu様
台湾はスクーター大国ですね。
今でも週末の家族四人でスクーター移動は
よく目にします。路上駐輪スペースも飛躍的に増え、
便利な移動手段として活躍しています。