不起訴の伊藤詩織氏 山口氏の不起訴を胸に刻め
松田 隆🇯🇵 @東京 Tokyo🇯🇵
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虚偽告訴、名誉毀損の容疑で書類送検されていたジャーナリストの伊藤詩織氏に対し、東京地検は不起訴処分としたと12月25日、一部メディアが報じた。伊藤氏は不起訴に安心した旨をコメント。今回の不起訴を機に、伊藤氏が警視庁に被害届を提出したTBSの元ワシントン支局長も不起訴になったことの持つ重みを感じる必要があると感じさせられる。
■不起訴に「すごく安心」と伊藤詩織氏
伊藤詩織氏の不起訴はBuzzFeedが12月25日アップの瀬谷健介氏の署名記事「書類送検された伊藤詩織さんが『不起訴』。『良かったけれど』と複雑な心境」で報じた。
その中で伊藤氏は以下のようにコメントしている。「今回の不起訴はすごく安心しました。…書類送検される点は、形式上、当たり前だとわかっていても、性被害を受けた当事者としてものすごく恐ろしいと思いました。これからアクションを起こす人に、どれくらい影響が出るんだろうと」とコメントしている。
本人は刑事責任を問われることを恐れていたが、不起訴によって「自分は犯罪者とされることはない、犯罪は犯していないとお墨付きをもらった」と感じているようである。今回の不起訴処分が「起訴猶予処分」(刑事訴訟法248条)であれば話は別だが、告訴された内容を否定していることから、少なくとも同条の「犯人の性格、年齢及び境遇、犯罪の軽重及び情状並びに犯罪後の情況により訴追を必要としないとき」の後半部分には該当しないため、嫌疑不十分での不起訴の可能性が強い。
そうであれば、伊藤氏が喜ぶのも無理はない。個人的にはどうかと思うが。
■山口敬之氏も不起訴であることの重み
ここで伊藤氏を含めメディアがあらためて考えなければいけないのは、TBSの元ワシントン支局長の山口敬之氏も不起訴処分になっているということである。伊藤氏は山口氏に性行為を強要されたとして被害届を警視庁に提出したが、東京地検は不起訴にした。これは嫌疑不十分による不起訴と言われており、こちらも起訴猶予ではないのは確実。
山口氏は取材に対して繰り返し「私は犯罪者ではない」と言っているのは不起訴処分になっているのだから当然のことである。しかも、その不起訴処分は検察審査会で「不起訴相当」とされた。検察審査会を構成する検察審査員は、衆議院議員の選挙権を有する者の中からくじで選定された11人で組織される(検察審査会法4条)。つまり、一般の人であり(同5条、6条)、一般の国民の目線から見て、検察官の不起訴処分を相当と判断されたのであるから、その持つ意味は極めて重い。
この事実を考えた時に、伊藤氏はなぜ、今回の取材に対して「性被害を受けた当事者」などと言えるのか。山口氏に準強姦罪(現在は準強制性交、刑法178条2項)は成立しない、あるいは立証するのは難しいと検察官は判断している。もし伊藤氏が「私は不起訴だから犯罪者ではない」と言うのであれば、山口氏も不起訴だから犯罪者ではない。それを「性被害」などという言葉を使う時点で、その発言は著しく客観性、妥当性を欠いている。
■その言葉、そっくりそのまま伊藤氏に返そう
伊藤氏は書類送検された後、書類送検の事実を伝える山口氏の投稿をそのままコピーペーストして意見を聞いてくるメディアがあったことを明かし、「相手(筆者註:山口氏)からの言葉を聞くことがどれほど当事者(筆者註:伊藤氏)にダメージを与えるのか想像してほしい」ともコメントしている。
彼女がダメージを受けていたというのであれば、それはご愁傷様と言うしかない。しかし、それなら私も言おうではないか。「相手(筆者註:伊藤氏)からの言葉を聞くことがどれほど当事者(筆者註:山口氏)にダメージを与えるのか想像してほしい」。
伊藤氏は不起訴になった事実を尊重してほしいとメディアや社会に求めるのであれば、それは山口氏に対しても求めて然るべきである。それを自分だけ尊重してほしいと言うのであれば、その片務的な扱いを求める理由を説明すべき。実際、山口氏は不起訴処分、不起訴相当の決定を受けた後もなおも犯罪者扱いするメディアに苦しめられている。
伊藤氏がジャーナリストを標榜するのであれば、仮に自身が当事者であったとしても、そうした法の適正な執行、メディアの公正・公平な扱いを心すべきである。
■検察審査会への申し立ての可能性
伊藤氏は不起訴処分となったが、この先、その処分が妥当なのかどうかは検討する価値はあるだろう。検察審査会法では告訴した者が申し立てを行った場合、検察官の公訴を提起しない処分の当否を審査しなければならないと定めている(2条2項)。
私見だが、山口氏サイドは申し立てをする可能性はあると思う。仮に検察審査会で審査が行われた場合、検察官による起訴(41条1項2項)や、指定弁護士による起訴(41条の10第1項柱書き)があるかもしれない。山口氏は不起訴相当の議決を得ているが、伊藤氏はそこには至っていない。
そう考えると、伊藤氏はこれで全てが終わったとは思わない方がいい。そして、もし、不起訴で自身の潔白が証明されたと考えるのであれば、それは山口氏も同じであることを肝に銘じ、自らのこれまでの行為を反省すべきであろう。
その通りです。自分だけは許されると思うその感覚がおかしいです。
>>マリステル様
コメントをありがとうございます。おっしゃる通りです。
メディアが率先してやっていますから、嘆かわしい状況と言えます。メディアは自身の存在価値が問われていることに気付いてほしいものです。
いつもありがとうございます。
一体なぜ、伊藤詩織氏は不起訴になったのか、正直全くわかりません。虚偽の証拠も、名誉毀損の証拠もたくさんあるというのに。第一、これほど皆が注目している事件だというのに、報道したのは一社だけではないでしょうか。そこも不思議です。
山口氏が不起訴になったのは見えない政治的な力が働いたからだと言った人がいましたが、今回の伊藤氏の不起訴こそ、不思議な感じがします。具体的に何がとは言えませんが、すっきりしません。
刑事事件として、これで終了というのは、正直納得いきません。私と同じように思っている人は、たくさんいると思います。
山口氏には、ぜひ、検察審査会に訴えていただきたいと思います。
>>名無しの子様
コメントをありがとうございます。報道が無視しているのはどうかな、と思います。
不起訴の理由は分かりませんが、密室での出来事ゆえに、事実認定も難しいというのがあるのかもしれません。ただ、まだ検察審査会がありますから、この先、どうなるか分かりません。検察審査会は一般人で構成されるので、民事の行方も多少は影響するのではないでしょうか。
報道被害という点で、この問題は非常に考えさせられることが多いです。これからもウオッチしていきたいと思います。
この記事ありがとうございます。
応援団が巨大すぎるため、検察は起訴するspine/ど根性・勇気がないだろう、と内心思っていました。
検察審査会、民事控訴審での逆転を期待・応援します。
>>Ai B様
コメントをありがとうございます。
検察はさまざまな証拠や状況を検討して不起訴処分としたのでしょうが、検察審査会がどういう結論を出すか注目しています。山口敬之氏が受けた被害の大きさを思えば、刑事責任を追及する決定がされても驚きません。
黒川検事総長賭けマージャンの件で、検察審査会で起訴相当が出てますので、
この件でも起訴相当が出てもおかしくありません(産経新聞と朝日新聞の記者も起訴)
https://www.asahi.com/articles/ASNDS7HPTNDSUTIL043.html
https://www.yomiuri.co.jp/national/20201224-OYT1T50226/
>>トトロ様
コメントをありがとうございます。
賭け麻雀は、黒川氏と記者3人まとめて起訴してほしいです。賭博罪が成立していると思います。朝日新聞も産経新聞も許してはいけないでしょう。
山口氏の不起訴と伊藤氏の不起訴って意味合いが違うのでは?まぁ、今回伊藤さんが不起訴になったのは良かったけど。ブログ主さんはご不満なのかしら?
>>ボン様
>>山口氏の不起訴と伊藤氏の不起訴って意味合いが違うのでは?
どこがどう違うのですか? ご説明ください。あなたの中で違うと思うから、という思い込みで違うということですか?
民事と刑事は違うっていっても私ら一般庶民の感覚から言えば山口さんは既に一本取られてるって感覚なのよ。そこで刑事告訴って…ただ相手にプレッシャーかけるだけが目的としか思えないのね。山口さんの弁護士も不起訴なんて分かりきってたろうに…大変だよねぇ。
>>ボン様
日本は三審制なのはご存知ですよね? 死刑囚の袴田さんは一審死刑、最高裁でも死刑ですが、再審になりそうな現状ですよ。それが理解できているのなら、民事一審一部請求認容の持つ意味はどの程度か分かりませんか?
>>一般庶民の感覚から言えば山口さんは既に一本取られてるって感覚なのよ
今は司法の場で争われているわけで、一般庶民の感覚は全く結論に関係がありません。
ボン様のお考えでは袴田さんは一本どころか三本取られているから、早く死刑執行すべきだとなります。恐るべき人権軽視と言わざるを得ません。
それから、これはどうなりましたでしょうか。
>>山口氏の不起訴と伊藤氏の不起訴って意味合いが違うのでは?
どこがどう違うのでしょうか、ご説明ください。よろしくお願いします。
答えたつもりだったけど不足だったかな?もう少し具体的な理由をあげるとすれば、山口さんと伊藤さんの主張等を比較してどちらが信用できるかって事ね。蛇足だけど、控訴審でひっくり返る可能性は低いよ?法律勉強してきたあなたなら分かるはずなんだが。
>>ボン様
おそらく裁判官でもない、一般人であろうあなたが、双方の主張を比較して信用できるかが根拠なわけですか。それは根拠とは呼べません。しかも控訴審の結果が分かるなら、裁判をする必要がありません。
そして、不起訴の意味合いが違うというのは、法的な話ではなく、自分で一方があやしいと思うからですか(苦笑)。合理的、論理的な話ができる方ではないみたいですね。
厳しいようですが、あなたのような場合、普通はこう判断されます。
「自分の思い込みを客観的事実と思い込む人」、あるいは「主観と客観の区別をつけられない人」、「妄想と現実の境界が曖昧になっている人」。
袴田さんの件も答えられないようですし、もうコメントは結構ですよ。妄想はご自分のSNS等で好きなだけ書いてください。
ご苦労様でした。
とても公平で論理的な記事をありがとうございました。山口さん側による検察審査会に申し立てを期待します。
検察も検察審査会も起訴しなかった虚偽濃厚な事象で、一人の男性の人権が今も侵害され続け救済されない現実・・・日本の司法にもまだ正義は残っていると信じたい。
>>スッパまん様
コメントをありがとうございます。お褒めいただき、光栄です。
山口氏サイドは申し立てをしてくると予想しています。この先はまだ流動的な要素が強いのではないでしょうか。それなのにメディアの扱いは本当に残念です。一部報道は結論ありきで論じているようで、メディアとしての存在意義が問われると感じます。
あなたとて、裁判官ではない一般人でしょう?それはさておき控訴審って一からやり直しってわけではないのはあなたもご存じでしょう?ひっくり返すには新たな証拠がないと厳しいでしょう。控訴審も山口さんの負けが濃厚でしょうね。
>>ボン様
>>控訴審って一からやり直しってわけではないのはあなたもご存じでしょう?ひっくり返すには新たな証拠がないと厳しいでしょう。
これは控訴審で立証からやり直すことになりましたよ。関連のHPにたくさん出ているから、よく見てください。論理的な話ができない上に、事実確認も怠っているのではお話になりません。これ以上続けると、「伊藤詩織さんの応援をしている人はこのレベルか」と思われて、伊藤詩織さんもあなたの存在を迷惑に感じると思いますよ。
続きはご自分のSNSでどうぞ。
“もし伊藤氏が「私は不起訴だから犯罪者ではない」と言うのであれば、山口氏も不起訴だから犯罪者ではない”
心の底から同意です(笑)。
>>通りすがりの者です様
コメントをありがとうございます。
同意いただき、感謝、感謝です。
僕は当たり前のことしか書いてないのですが、この当たり前のことを書く人が少ないというのが今のメディアの問題点だと思います。
松田さんの小気味よい反論に痺れてます。
予断を排し、キチンと調べて居られるので、とても参考になります。
今年一年、色々と勉強になりました。来年もご活躍をお祈りしております。
>>山口 秀明様
コメントをありがとうございます。当たり前のことを書いているだけなのですが、メディアはこの単純な理屈を理解できないのか、しようとしないのか…。
松本サリン事件でメディアは報道による人権侵害を強く批判されたのに、その経験が全く活かされていません。売れればいい、人と違ったことを言う勇気がない、単純に法律を知らない、さまざまな理由があるとは思いますが、報道被害にあう人からすればたまったものではないでしょう。
メディアこそが改革されなければと思っています。
伊藤起訴を期待していましたが、残念です。
自称被害者は、1人の男性を社会から抹殺し
虚偽満載な本を出版し大儲け。
自身への批判は誹謗中傷だとし、提訴をちらつかせ言論弾圧。ホテルからスタスタ出てくる動画や著書の内容から虚偽が疑われ、世論も変わりはじめました。
今回、不起訴にはなりましたが、伊藤に対する世間の目は更に厳しくなると思います。
山口氏の冤罪が晴れる日を信じています。
>>クリスマスローズ様
コメントをありがとうございます。
いただいたコメントを拝見すると、伊藤詩織氏への批判がようやく世間で声になってきたことを実感します。1年前はメディアの私刑のような報道が続いていましたから、隔世の感があります。
不起訴になったのはどうかと思いますが、おそらく山口氏は検察審査会に申し立てをするでしょうから、そこで冷静な議論がされることを祈るばかりです。
メディアも少しは自分たちの愚かさに気付いてくれることを望んでいます。