ガーシー議員帰国で詰み? UAEに戻るのは困難
松田 隆🇯🇵 @東京 Tokyo🇯🇵
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NHK党のガーシー(本名・東谷義和)議員が3月上旬に帰国、本会議に出席して陳謝に応じるとした文書を提出した。国会への欠席を続け、「議場での陳謝」の懲罰処分を受けたことに対するもの。現在、UAEドバイもしくは米ハワイ州に滞在しているとされているが、帰国した場合、会期中の出国を認めるべきでない。刑事責任追及に向け、捜査当局、議会や政府の積極的な対応を求めたい。
■名誉毀損などで家宅捜索
ガーシー氏は2022年夏の参議院通常選挙に立候補し、比例区で当選した。当時はUAEドバイに出国中で、当選後は一度も国会に出席していない。当初は海外渡航届を提出したものの、参院議院運営委員会の理事会は届に帰国日が記載されていなかったなどの理由から承認せず、帰国と国会出席を求めた(JIJI.COM・ガーシー氏の海外渡航届承認せず 国会出席求める―参院議運委、2023年2月28日閲覧)。
その後もガーシー氏は帰国していない。その理由は「日本に帰ってくると、不当な罪を着せられる恐れがある」(産経新聞電子版・ガーシー氏「不当な罪着せられる恐れ」 参院本会議の欠席理由を提出、2023年2月28日閲覧)というもので、逮捕し勾留されることを恐れての海外逃亡であるとみる向きもある。実際、2023年1月11日には暴力行為等処罰法違反(常習的脅迫)や名誉毀損容疑で同氏の関係先の家宅捜索が行われている(朝日新聞DIGITAL・ガーシー氏の関係先を家宅捜索 著名人らに常習的脅迫、強要容疑など、2023年2月28日閲覧)。
同議員が全く国会に出席しないため、参議院は懲罰を検討。2月22日に「議場での陳謝」を科すことを決定したというのがここまでの簡単な経緯である。そもそもガーシー氏が出国したのは、詐欺容疑での逮捕から逃れるためとも言われている。
それとは別の容疑での家宅捜索も受けており、不当な罪を着せられる恐れを主張するなら、法廷で堂々と主張すればいい。海外で身柄拘束を逃れていても、公訴時効は停止される(刑事訴訟法250条2項)ため刑罰を免れることはできないことは分かっているはず。理解に苦しむ行動である。
■国会議員の不逮捕特権
今回、帰国して議場で陳謝するのは、拒否すれば除名処分とされるのを防ぐためと思われる。除名されれば国会議員としての地位を失い、年間にして2000万円以上の収入を手放すことになってしまう。それを防ぐための帰国と、おそらく多くの人が思っている。
ガーシー議員には不逮捕特権があり、一時的に帰国しても捜査当局から身柄拘束されないと高を括っているのかもしれない。
憲法50条【議員の不逮捕特権】
両議院の議員は、法律の定める場合を除いては、国会の会期中逮捕されず、会期前に逮捕された議員は、その議院の要求があれば、会期中これを釈放しなければならない。
この「法律の定める場合」とは具体的には国会法33条で規定されており、現行犯と院の許諾がある場合には例外的に逮捕される。ガーシー氏が帰国してこれまで問題になっている犯罪とは別に現行犯で逮捕されることはあっても、問題になっている犯罪があるとしたら、既に成立しているので現行犯逮捕はあり得ない。そうなると、院の許諾がある場合に限って逮捕が可能になるが、捜査当局が帰国後に任意の取調べを行うなどで容疑を固めて逮捕状を請求、ガーシー氏が議場で陳謝した後にすぐに参議院に逮捕の許諾を求めた上で逮捕という可能性は考えられなくもない。
しかし、その点は憲法上で認められた権利を制約するのであるから、捜査当局にも慎重な姿勢が求められる。国会に出席しようと帰国した議員の出席する機会を奪う逮捕となれば、院の許諾が得られない可能性は考えなければならない。
家宅捜索はしたものの取り調べはしていない状況、おそらくガーシー氏も任意の聴取には応じないのに逮捕状を請求し、参院に許諾を求めれば国会議員の特権を軽視する恣意的な法運用との批判は覚悟しなければならない。
今国会の会期は150日間で、6月21日まで。その間は簡単には手出しができないという捜査当局の事情を考え、ガーシー氏は帰国して陳謝に応じるものと考えられる。
■国家権力を甘く身すぎていないか
NHK党の立花孝志党首は帰国後に海外逃亡をしない意思の表明として、旅券(パスポート)を失効させるなどの手段を明らかにしたとされるが、ガーシー議員がそれに従う保証などない。
もし、ガーシー議員が不逮捕特権で身柄拘束を逃れ、会期内は国にとどまり除名処分を逃れ、頃合いを見計らって会期終了前に出国し、公訴時効の停止で刑事責任追及を阻止する。そのようなことを考えているとすれば、国家権力を甘く見過ぎである。
まず、簡単に出国できるかどうかが問題となる。仮に会期中に出国するなどの動きを見せた場合、海外渡航届を出しても前回同様、参議院からは許諾されない。許諾はなくても強制力は有しないので出国は可能と思われるが、その場合、旅券の返納を命じられる可能性はある。
ガーシー議員が現在保持している旅券は一般旅券(旅券法2条2号)で間違いないと思われる。国会議員が公務で渡航する場合、公用旅券(同1号)が発給されるが、同議員は公務でドバイやハワイ州に滞在しているわけではない。そうなると、外務大臣から返納命令を受ける可能性がある。
旅券法19条【返納】
外務大臣又は領事官は、次に掲げる場合において、旅券を返納させる必要があると認めるときは、旅券の名義人に対して、期限を付けて、旅券の返納を命ずることができる。
2 一般旅券の名義人が、当該一般旅券の交付の後に、第十三条第一項各号のいずれかに該当するに至つた場合
同法13条に旅券の発給の制限について定められている。つまり、ここに該当すれば、外務大臣は返納を命ずることができるのである。そちらの条文も見てみよう。
13条【一般旅券の発給等の制限】
外務大臣又は領事官は、一般旅券の発給又は渡航先の追加を受けようとする者が次の各号のいずれかに該当する場合には、一般旅券の発給又は渡航先の追加をしないことができる。
2 死刑、無期若しくは長期二年以上の刑に当たる罪につき訴追されている者又はこれらの罪を犯した疑いにより逮捕状、勾引状、勾留状状若しくは鑑定留置状が発せられている旨が関係機関から外務大臣に通報されている者
7 前各号に掲げる者を除くほか、外務大臣において、著しく、かつ、直接に日本国の利益又は公安を害する行為を行うおそれがあると認めるに足りる相当の理由がある者
13条2号は長期2年以上の刑にあたる罪での逮捕状を条件としているが、伝えられている名誉毀損罪(刑法230条)は長期3年の懲役若しくは禁錮なので、これに該当する。国会議員の不逮捕特権があっても捜査当局は会期中に逮捕状を請求できる。その上で院に逮捕許諾を求めるかどうかは、捜査側が状況を見て決めることである。
もし、ガーシー議員が出国の姿勢を見せたら捜査当局は逮捕状を請求し、外務大臣に同法13条1項2号に該当するとして、同法19条1項2号に基づきガーシー議員の旅券の発給制限を求めると考えられる。そうなるとガーシー議員は出国できない。それを受け、捜査当局は会期中なら院に逮捕許諾を求め、会期終了間際なら、会期終了後に逮捕状を執行すればいい。
■陳謝後直ちに出国の場合
仮にガーシー議員が議場で陳謝した直後に出国しようとした場合はどうか。その場合も同様に逮捕状請求がなされるかもしれない。その場合も上記のように同法13条1項2号、19条1項2号で出国を止めることは可能。
もう1つ考えられるのは、出国すれば国会を欠席することになるため、そのような行為は同法13条1項7号の「著しく、かつ、直接に日本国の利益を害する行為を行うおそれがあると認めるに足りる相当の理由」になるという解釈が成立し得ることである。
国会に欠席を続けたことで処罰を受け陳謝した者が、再び同じ処罰を受ける行為(出国)をするわけで、これは選挙で選ばれた議員が職責を放棄するものであって、日本国の利益を害する行為であると判断できる。
いずれにせよ、ガーシー議員は帰国したら会期中の出国は難しい。国会議員になってさえしまえば、刑事責任を追及されず、年間2000万円以上を支給される事態がこの先5年(参院議員の任期は6年)以上続けば、国民の議会に対する信頼は大きく傷つく。
以上のことから、ガーシー議員が再出国してUAEに戻れる可能性は決して高くない。主権者である国民としては、国会議員がさまざまな特権を利用して刑事責任を免れることを許すべきではない。捜査当局、外務大臣は全力でガーシー議員の国外逃亡を許さないように努力を求めたい。
一般社団法人コラボ問題関連の質問趣意書を東谷が出したという体裁で、いかにも仕事はしてますというポーズを取っているが、これは浜田議員の仕事を東谷名義に当て嵌めているだけで、恐らくは立花の指示でしょうね。
基本が浜田議員の仕事なので内容には問題はないだろうが、東谷といういかがわしい人間の半ばパフォーマンスのために本件を利用されるのは、本気で本件を追っている暇空氏や自民党の東京都議、川崎市議なにより浜田議員にとって果たしていいことなんでしょうかね?
国会がガーシーをどう処罰しようがいいんだけど、
議会に来ないからが理由に謝らせるなら、他の議会に来ない議員も謝らせないとね。小沢一郎とか。
ガーシーを呼んで謝らせるを決めた議員には↑も聞いてみたい。