フェイクニュース? 望月衣塑子記者が誤情報拡散
松田 隆🇯🇵 @東京 Tokyo🇯🇵
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東京新聞の望月衣塑子記者が10日、受刑者の人権に関する記事を引用し、虚偽の説明をXに投稿した。刑事訴訟法では受刑者は子供を1歳まで刑務所内で養育することが認められているものの、その規定はほとんど運用されていないというが、そもそも同法にはそのような規定はない。故意か偶然かは分からないが事実と異なる虚偽の拡散という行為から、新聞記者としての資質に問題があると言わざるを得ない。
◾️刑務所内で子育て
望月記者の問題の投稿は、自社の東京新聞の記事(「手錠されたまま出産」女性受刑者を襲う異様な措置 国際基準からズレた日本の刑務所の人権意識)を引用する形でのポスト。記事は女性受刑者が手錠をかけられたまま出産せざるを得ない状況を手紙で内縁の夫に伝え、その夫が刑務所側などに働きかけたことで、女性は手錠なしで男児を出産することができたという事案を紹介している。
この事実が、上川陽子法相(当時)の指示に基づき、法務省が出産時は手錠をしない取り扱いとするという通達につながったと紹介している。
こうした運用が国際基準からズレており、関係者の刑務所内での人権意識が希薄であるという主張へと繋げている。これに対して、望月記者の投稿の一部を抜粋して紹介する。
刑訴法では、出産後一年までは、刑務所内で赤ちゃんを養育する権利が認められているが、日本では、法務省がこのことの周知を徹底していない。…
◆刑事訴訟法は「1歳まで養育」も認めている
…たとえば、刑事訴訟法の規定で、出産時には刑の執行を一時的に停止できる。また、出産後の女性受刑者は子どもを1歳まで養育することが認められている。だが実際には、そうした規定はほとんど運用されていないという。
(2024年2月10日午後0時41分投稿)
◾️刑訴法に存在しない規程
出産時に受刑者に手錠をするなという主張そのものをどうかと感じる人が少なくないように思う。「だったら捕まるようなことをするな」という一言で終わる気がするが、それは東京新聞や望月記者の考え方なので、それ以上は言わないこととする。
問題は望月記者が新聞記者で、かつ、法学部出身でありながら法律上あり得ないことを書いていることである。
→刑訴法では、出産後一年までは、刑務所内で赤ちゃんを養育する権利が認められている
→◆刑事訴訟法は「1歳まで養育」も認めている
投稿の以上の点に注目していただきたい。筆者は見た瞬間に「えっ!?」と発した後、絶句してしまった。理由は簡単、刑訴法に刑の執行中に子を養育していいなどという規定は存在しないからである。
刑務所内で子を養育していいという規定があるのは、「刑事収容施設及び被収容者等の処遇に関する法律」である。関連する条文を示す。
【刑事収容施設及び被収容者等の処遇に関する法律66条】
1 刑事施設の長は、女子の被収容者がその子を刑事施設内で養育したい旨の申出をした場合において、相当と認めるときは、その子が一歳に達するまで、これを許すことができる。
2 刑事施設の長は、被収容者が、前項の規定により養育され一歳に達した子について、引き続いて刑事施設内で養育したい旨の申出をした場合において、その被収容者の心身の状況に照らして、又はその子を養育する上で、特に必要があるときは、引き続き六月間に限り、これを許すことができる。
元になる東京新聞は同法を紹介しないまま執行停止を定めた条項(刑訴法)に続けて書いているため、望月記者は刑務所内で子育てができるというのも刑訴法が根拠という錯誤に陥ったのかもしれない。ご丁寧にポストの中に小見出しで「◆刑事訴訟法は『1歳まで養育』も認めている」としている。
法学部出身なら、まず条文にあたるべきと思う。前提事実と条文の確認という記者として当たり前のことをせずにXで情報発信、まさに今、話題のフェイクニュースの拡散を行なっていると言われても仕方がない。「単なる勘違い、大袈裟な」と言われるかもしれないが、当該ポストは刑事施設において司法試験にも出題される重要な法規である刑事訴訟法に規定されたことが守られていないという誤った認識を読む者に与え、政府や権力に対して必要以上の不信感をもたせるという点において、極めて重大な影響を社会に及ぼしかねない。同記者の日頃の言動から、その効果を狙って虚偽の事実(フェイクニュース)を故意に拡散したのではないかという疑いも払拭できず、看過できない事態である。
この刑事収容施設及び被収容者等の処遇に関する法律66条の規定を見てわかるように、刑務所内での子の養育については刑務所の所長の広範な裁量に服するものと解釈できる。そもそも生まれた赤ん坊が刑務所の中で育てられることを望む親族は少ないであろうし、受刑者も「刑務所で生まれ育った子」という一生残るキャリアを子供に残したくないと考えるのが通常の思考であろう。
そうした事情を考えれば、刑務所の所長も「赤ちゃんのためにも、外で育てる人がいるなら、そうしてあげた方がいいのでは」と、パターナリズムに基づいて認めない方向に考えが進むのは無理からぬところである。そうした事情をどこまで考えて「1歳まで養育」できるんだと主張しているのか。全く理解に苦しむポストである。
◾️刑訴法の規定と混同か
一応、刑訴法についてもふれておく。同法には妊娠、出産、子供の養育のために自由刑の執行を停止できる規定は存在する。望月記者は、今回のポストでそれと混同しているのかもしれない(下記、同法482条参考)。法学部出身なら同法に刑の執行に関する規定があることを当然に知っていると思われるが、同時に(刑務所内の細かい規定まではないはず)というイメージを備えているものと思う。そこで違和感を覚えないことが不思議でならない。
【刑事訴訟法482条】
拘禁刑又は拘留の言渡を受けた者について次に掲げる事由があるときは、刑の言渡しをした裁判所に対応する検察庁の検察官又は刑の言渡しを受けた者の現在地を管轄する地方検察庁の検察官の指揮によつて執行を停止することができる。
…
3 受胎後百五十日以上であるとき。
4 出産後六十日を経過しないとき。
…
7 子又は孫が幼年で、他にこれを保護する親族がないとき。
これは任意的執行停止であり、「1号から4号までの事由は、受刑者の心身の状態が刑の執行に適さない場合を規定したものであり、6号、7号は近親者の保護・扶養を受刑者が担わざるを得ない場合を規定したものである。…これらは解釈の余地が大きい規定であり、比較的広い裁量権が検察官に委ねられているといってよい。」(新・コンメンタール刑事訴訟法第2版 後藤昭・白取祐司編 日本評論社 p1127)と説明される。
要は矯正施設における刑の執行という重要な目的があるため、受刑者が権利として絶対的に認められるという性質のものではないということである。
この規定をもとに受刑者に執行停止の請求権があると考えるかどうかについて「執行事務規程29条(筆者註・現30条)が『刑の言渡しを受けた者又はその関係人』からの上申を受けて停止の適否について審査することを想定していることからすれば、厳密な意味での請求権とまではいえなくても受刑者はその関係人には執行停止の申立権があると解するべきである。」(同 )と、権利があると言うことはできるよというレベルであって、権利としてはそれほど強力なものではないことは理解できる。
◾️恥を知りなさい
望月記者が受刑者の人権についてどのような考えを持ち、主張をするのも自由である。我が国では表現の自由は保障されており、主張そのものが禁じられることはないと言っていい。そして、事実の間違いは誰にでもあるため、ただ一人、望月記者にのみ神の如き万全を求めるという気もない。
しかし、主張の前提となる重要な事実関係の間違いは防ぐことはできる。まず、条文を確認し、その解釈について基本書にあたることぐらい、慶應義塾大学法学部出身で東京新聞の記者なら容易にできるはずであるし、また、やらなければならない。結果としてフェイクニュースを拡散し、コメント欄を閉じていることから誤りの指摘を受けることもなく、誤情報が延々とバーチャル空間に広がっていくことをどう思っているのか。
望月記者は少しは自分のやっていることを恥ずべきことと認識した方がいい。
望月遊軍記者(多分「好き勝手できる」ポジションってことなのでしょう)は、能登半島震災のXで、
自衛隊含め震災・災害時のシュミレーションはやっていなかったのだろうか。救助の展開の遅さが(以下略)
と吠えておられました。
趣味レーションはやっていないでしょう。シミュレーション simulation はやっていたと思うのですが……
シミュレーション・ゲームの初心者が、時々いい間違え「趣味レーション」と言っていました。望月遊軍記者はそんなもんです。
一緒にしたら、前途ある中学生のゲーム初心者が気の毒ですが。