朝日社説はカメレオン 自縄自縛の罠
松田 隆🇯🇵 @東京 Tokyo🇯🇵
最新記事 by 松田 隆🇯🇵 @東京 Tokyo🇯🇵 (全て見る)
- スポーツ紙過去最大の12.4%減 廃刊ラッシュ間近 - 2024年12月24日
- 献体の前でVサイン医師「楽しくやってます」 - 2024年12月24日
- 武田塾の倫理観欠如 ”生徒見せもの動画”にダンマリ - 2024年12月23日
全国民に一律10万円を給付する経済対策についての朝日新聞の社説が迷走している。「政府を批判する」というスタンスを取り続け、無理な主張を繰り返したために自縄自縛に陥っていく構図が見て取れる。
■3月の時点では政府案と朝日案が一致
朝日新聞の社説では、現金給付に関する政策のスタンスが変遷を続けている。それを図示したのが(図1)である。社説のメイン主張は赤地で示しているが、時系列に沿って左から右へ移動し、この1か月で左端から右端へと移ったことが分かる。
順を追って見てみよう。まず左端は「困っている家庭に重点配分(30万円)する」という政策である。右端は「一律10万円給付」である。便宜的に重点配分を「1」、一律給付を「2」とした。
3月の時点では政府は新型コロナウイルスによる感染症拡大で収入が減少した家庭に30万円を給付する案、つまり「1案」を進めていた。これに対して、朝日新聞は基本的には賛成であった。「すべての国民に一律に配るよりも、影響の大きい人へ重点配分できるようにしたい。」(3月24日付け)、「いま大切なのは総額ではなく、困っている人々に確実に、支援の手を差し伸べることだ。」(3月31日付け)と政府案(=1案)を支持していた。
ところが政府案の支給対象が20%の家庭になる見通しとなると、4月9日付けで「一律に給付する必要はないだろう。しかし今回は対象を絞りすぎたのではないか。」(4月9日付け)と立ち位置を微妙に変更。これは「1案」から「1+案」にシフトしたと言っていい。朝日新聞的視点からすれば、ここで政府案と訣別できたのである。
■一律10万円にスイッチから始まる朝日の迷走
4月16日、安倍晋三首相が国民に一律10万円を給付する考えを明らかにした。政府として「1案」から「2案」への劇的な転換を図ったのである。その時点で「1+案」だった朝日新聞が取ったのは「2ー案」に移行することである。基本的には「1+案」がベストと考えているようであるが、政策決定した後、それを覆す主張をして給付が遅れることがあってはまずいと考えたのかもしれない。
「シンプルな方式にすることで、素早く行き渡るのであれば、助けとなることは間違いない。」と「2案」に賛意を示したものの、さすがに一時期の主張と180度異なることを支持するのは気が引けたのであろう。不公平感を減らすための政策、つまり一律給付を弱める政策を主張した。「不公平感を解消するうえでも、今回の給付を所得税の課税対象とし、年末調整や確定申告で一部を取り戻すことも検討してほしい。」(ともに4月18日付け)。
これによって、「1+案」から「2ー案」へと若干、右にシフトするに留めたと言っていい。もっとも「1+案」と「2ー案」は「困っている人に給付し、困っていない人には支給を控える」というもので、発想としては大差ない。要は限定給付か一律給付か、どちらからアプローチするのかという違いに過ぎない。
■麻生財務相「受け取らない人も…」
政府案が「2案」、朝日案が「2ー案」になって落ち着いたと思ったら、今度は困っていない人が辞退したり、給付を受けた後で寄付するなどの動きが活発になってきた。極め付けは麻生太郎財務相の「富裕層の方々、こういった非常時に受け取らない人もいるんじゃないですかね」という発言である。
これらの動き、発言はまさに「2案」をベースにしながら「2ー案」の要素を取り込むものである。つまり、行政の側から朝日新聞が考える「2ー案」に寄ってきたと言っていい。これに対し、朝日新聞は以下のように述べた。
「『みんなで乗り越えていく』という首相の言葉を額面通りに受け止めれば、一律の給付にも理があるだろう。」(4月24日付け)。
これは微妙な言い回しであるが「2案」の正当性を言うものである。その上で「『富裕層が受け取るのは望ましくない』というのであれば、今回の給付を課税対象として取り戻すことなどを、制度として考えるべきである。辞退や寄付に期待するのは筋違いだ。」(同日付け)と麻生財務相の「2ー案」に反対しているのである。
ここから先が本題である。
【2ページ目へ続く】
おはようございます。
この間、友人と一律10万の話になって、友人曰く、一律は良くない困った人に給付をと政府の政策を批判していました。その人は自民党の国会議員の秘書を経験した人です。私が安倍総理は国民の荒んだ心に一律10万円で、少しは和んで欲しいとの思いなのでは!と言うと分かってくれましたが、寄付を求めるのも可笑しいし、10万円を何かに使って、皆で乗り越えようって気持ちになる事が大事だと思います。それから保障の話になるのではないでしょうか。
私は大いに使います。
>>山口 秀明様
コメントをありがとうございます。
朝日の社説を読んでいると、朝日新聞もベストは困っている人に30万円で、政府案より対象を広げるというもののようです。
ただ、一律10万円支給で国民一丸となって…というのも一理あるように思います。そこは色々と考え方があるのでしょう。
僕も外食を中心に10万円を使って、国家の経済に少しでも寄与したいと思います。