武井俊輔議員の死刑関連ツイートに不信感 反対なら憲法改正を主張しろ
松田 隆🇯🇵 @東京 Tokyo🇯🇵
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2003年の福岡市の一家4人殺害事件の魏巍死刑囚に対し12月26日、福岡拘置所で死刑が執行された。同日、在日フランス大使館から死刑執行に抗議するツイートがなされ、さらに自民党の武井俊輔衆議院議員が同大使館に敬意を示すツイートを行なった。国会議員が死刑制度に反対したり、その主張に一定の理解を示したりするのは自由だが、日本国憲法軽視の姿勢は許されない。”武井ツイート”を検証してみた。
■武井議員「仏大使館に敬意を表します」
問題となった在日フランス大使館のツイートは「…いかなる場所、いかなる状況においても死刑に反対しています。不公平、非人道的かつ犯罪抑止効果がないこの懲罰の世界的な廃止を呼びかけます。」というもの。
これに対し、武井俊輔衆議院議員は「厳しい批判を覚悟で意見を発信した仏大使館に敬意を表します」とした上で「直ちに死刑制度廃止とは言いませんが、不断の議論は必要です。客観的事実として死刑制度維持は世界で少数派であること。ここは日本だ、と思考停止するのではなく、各国がが(原文ママ)どうそれを乗り越えてきたかに思いを致すことは重要なこと」とツイートした。
「直ちに死刑制度廃止とは言わない」とエクスキューズを付けながら「議論は必要」と、死刑廃止に一定の理解を示している。それが武井氏の思想・信条であるのかもしれないが、死刑廃止については、そうした浅薄な議論はやめた方がいい。死刑制度を考える時、日本国憲法について考えることは避けられないからである。
■日本国憲法は死刑の存置を想定し是認
日本が死刑を行う根拠は憲法にある。「生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については公共の福祉に反しない限り、立法その他の国政の上で、最大の尊重を必要とする」(13条後段)、「何人も、法律の定める手続によらなければ、その生命若しくは自由を奪はれ、又はその他の刑罰を科せられない」(31条)の反対解釈がその根拠とされる。最高裁も「憲法は…刑罰として死刑の存置を想定し、これを是認したものと解すべき」(昭和23年3月12日大法廷判決)と判示した。
ところが死刑廃止論を主張する人々は、この点に触れず「憲法は死刑を容認しているが、死刑をしなければいけないわけではない」という理屈を持ち出すことが少なくない。即ち(憲法は死刑を認めているが、法律の段階、あるいは執行の段階で止めてしまえ)という考え。これは一言で言えば「解釈改憲せよ」ということであり、法律や執行段階で憲法の精神を無力化してしまうことを意味する。
■解釈改憲反対を主張した福島みずほ氏が解釈改憲を主張
武井氏は死刑廃止論者ではないのかもしれないが、死刑廃止論者・団体は国内にも少なくない。「死刑廃止を推進する議員連盟」が代表例で福島みずほ参議院議員や、元衆議院議員の亀井静香氏などはメディアに登場して、死刑廃止を訴えていた。それも彼らの政治主張であろうから、信ずるところを主張するのは構わない。しかし、有事法制や集団的自衛権の解釈変更の際に「解釈改憲は許さない」と騒いでいたのは福島みずほ、その人である。自分の主張の時は積極的に解釈改憲を求めるのは、常人には理解できない神経と言うしかない。
刑罰として人の命を奪うか否かは、国家のあり方として根幹の部分。もし、死刑をすべきではないと考えるなら、憲法を改正し、死刑は行わないことを明記し国家・国民としての姿勢を明確にすべきである。死刑廃止論者は日本国憲法改正案を出して国民に問うのが筋で、改正案は以下のようなものでいい。
・13条後段から「生命、」を削除する。
・31条から「生命若しくは」を削除する。
・36条2項を新設し「生命を奪う刑罰はすべて前項の残虐な刑罰にあたり、死刑制度はこれを認めない」とする。
■ハト派の一面を見せたかった?
日本国憲法改正には各議員の総議員の3分の2以上の賛成で国会が発議し、国民投票で過半数の賛成が必要となる。そうすれば死刑は廃止される。国民投票にかけずに、死刑を廃止するのは民意の無視に他ならない。
それをしないのは、死刑容認が8割超という国民世論の前には、死刑廃止の憲法改正など不可能だからであろう。自分たちの主張が民主的な手続きでは実現不可能なため、憲法を無視して法律段階で骨抜きにしようというのは、政治家が口にすべきことではない。
武井俊輔議員が示した死刑反対論への安易な賛意の趣旨の表明は憲法軽視の現れ、民意の無視と見られるリスクがあることは覚悟した方がいい。国家のあり方の根幹に関わる部分については堂々と骨太の議論をすべき。ハト派の一面を見せて良識派を印象付けたかったのか知らないが、選挙民は小手先の手段に惑わされるほど愚かではない。