”パパ活”吉川議員 5000字超の論点隠し

The following two tabs change content below.
松田 隆🇯🇵 @東京 Tokyo🇯🇵

松田 隆🇯🇵 @東京 Tokyo🇯🇵

青山学院大学大学院法務研究科卒業。1985年から2014年まで日刊スポーツ新聞社に勤務。退職後にフリーランスのジャーナリストとして活動を開始。
松田 隆🇯🇵 @東京 Tokyo🇯🇵

最新記事 by 松田 隆🇯🇵 @東京 Tokyo🇯🇵 (全て見る)

 18歳の女性に飲酒をすすめ、ホテルでわいせつな行為をしたなどと報じられて自民党を離党した吉川赳衆院議員が15日、自らのブログで見解を発表した。5000文字を超える釈明は問題の前提を勝手に設定することで最も都合の悪い部分には答えない古典的な論点ずらし、論点隠しの手法が取られている。「どこまで見苦しい男なのか」という感想しかもてない人が多いのではないか。

■損害賠償請求提起へ

吉川たけるオフィシャルブログより。いまだに自民党のマークが…

 吉川議員は18歳の女子大生と焼肉店で飲食した際に飲酒をさせ、さらに高級ホテルに入室しわいせつな行為に及び、現金4万円を渡したとされる(NEWSポストセブン・【全文公開】岸田派ホープ吉川赳・衆議院議員、18歳女子大生とパパ活飲酒 「俺、18歳に興味あるわ」「胸を見せて」高級ホテルで何があったのか)。

 6月9日の報道を受け、2日後の11日に吉川議員は自民党を離党。説明を求める周囲の声を無視して雲隠れ状態となり、7月15日になって自らのブログ(猛る政治!猛る日本! 吉川たけるオフィシャルブログ)で釈明の文章を公開した。

 問題の文章は全文5211文字という長文。そのポイントを箇条書きにすると以下のようになる。

(1)十分に氏素性を把握していない女性とふたりきりで飲食をともにするような振舞いは、軽率な行動であったと反省している。

(2)自分に対する叱責は主として①「飲酒不可能な年齢であることを認識しながら共に飲酒した」、②「パパ活をした」という2点と認識している。

(3)当該女性が飲酒不可能な年齢の方であるとは認識していなかった。酒席で働く女性は年齢等を正確に述べないことは多く、「大学1年」「18歳」という発言も「そういう設定なのね」と受け止めた。本当に大学1年であったなら、飲酒を制止すべきであるが、その認識はなかった。今でも本当に18歳かどうか分からない。

(4)当該女性から同伴を頼まれていたので、同伴の誘いをして、焼肉店の個室で待ち合わせた。

(5)食事後、当該女性のクラブに行こうとしたら「何故か女性の方から『今日は休みます』と、お店は休んで、ふたりで時間を過ごすことを希望」(原文)した。そのため、店で得られる給与を補填すべきと考え4万円をその場で渡した。

(6)自らの身の処し方を判断する前に2点確認したいことがある。それは当該女性が真実18歳であったかどうか。もう1点は週刊ポストの取材手法は、非難対象となる事象に自ら加担し、目論見通り発生した事象を非難するものであり、社会通念上許容し得ないため、損害賠償を求めて訴訟を提起する。

※以上、猛る政治!猛る日本! 吉川たけるオフィシャルブログの記事「この度の週刊誌報道に関して」(7月15日18時10分公開)から。

■ホテルの一室での行為

 この記事で問題となるのは(2)。吉川議員が自ら叱責されている点を①「飲酒不可能な年齢であることを認識しながら共に飲酒した」、②「パパ活をした」ということに限定している点である。

 ①については、年齢が確認できない、②については、4万円を支払ったのは、女性が男性から金銭的支援を受けることを目的に交際をするために支払ったものではなく、女性が自分と一緒にいることを望み、仕事を休むことになったのでその分を補填するためのものであるから、世間で言われるような「パパ活」ではない、と言っている。

 この説明で、吉川議員は最も重要な部分の説明を避けている。それは2人でホテルの部屋に入り、わいせつな行為に及んだのか否かという点である。NEWSポストセブンの報道では当該女性の話として、以下のように説明されている。

 「4万円のお小遣いをいただいて、バーに行くだけだからって…。バーだったはずがホテルの部屋で飲むと言われて。…

 「ルームサービスでお酒を頼んだあと、すぐに吉川さんにベッドで服を脱がされて…。私、経験がなかったから、怖くて過呼吸になってしまい。経験がないからと何度も拒否をしたら、『胸を見せて』と言われて、吉川さんは私を見て自慰行為を始めて…。

 これらが事実であれば、手渡した4万円はこうした性的行為の対価として支払われたと考える以外にない。吉川議員が「仕事を休んだ分を補填」と本当に考えていたとしても、そのような行為を行うために仕事を休むのであるから、当然、その対価に含まれる。それはまさに報じられるような「パパ活」に他ならない。

 吉川議員は説明責任を果たすというのであれば、ホテルに行って部屋に入ったのか、言われるようなわいせつな行為を行ったのかをはっきりさせるべき。伝えられるような行為があったのなら、4万円はその対価であるとみなされても仕方なく、さまざまな責任は免れない。

 記者会見をしないのは、その点を聞かれるからであろう。そこで「そのような行為はなかった」と言えば、逆に週刊ポスト側が訴訟においてその真実性を争ってくることが予想され、自らの虚偽が白日の下に晒されてしまう可能性がある。そのため、取材の手法に問題があるという形で不法行為に基づく損害賠償請求にして、ホテルでの出来事については争点とならないようにしたと考えられる。

■記者会見に応じない理由

吉川議員は焼き肉を楽しんだ後にホテルに行ったとされる

 吉川議員が記者会見に応じないのは、おそらくこのような事情があるからではないか。ブログで一方的に言いっ放しにして「説明責任を果たした」という体裁を整えたというのが実情と思われる。

 そもそも、同伴を約束したクラブの女性従業員が「お店は休んで、ふたりで時間を過ごすことを希望されたのです。」というのも不自然であるし、焼肉店で飲食後に2人の時間を希望した女性が、ホテルの部屋に入ってから性交を拒否するというのも不自然。また、クラブ側も同伴の事実は把握しているであろうし、同伴は店の売上に直結するため、途中で出勤せずに個人的に”パパ活”に切り替えるような行為を容認するとも思えない。何から何まで不自然な言い訳に終始していると、多くの国民は感じるのではないかと思う。

 当該女性が18歳なのか、それとも飲酒が法的に可能な20歳以上なのかは、もはや、それほど問題とはされていない。それよりも妻子ある男性が、クラブの女性に対価を支払ってわいせつな行為を行ったこと、それは売買春であって、そのようなことを国会議員がやっていたのであれば大問題であり、職を辞するのは当然である。

■安倍晋三元首相の名前まで出し

写真はイメージ

 このような古典的な論点隠しで責任逃れを狙っているとしか思えない記事と言っていいが、それ以外にも見苦しい点は目につく。

 「あくまでもこれは私自身の問題でありますのに、あたかも党の問題のように取り上げられ、また、様々な政治的思惑から利用され、そしてマスコミが沸騰することにより参議院選挙にさえ影響を及ぼすことが容易に想像されました。」(同記事)

 このように自民党に迷惑をかけたくないということで沈黙を守っていた理由を説明するが、本人は既に自民党を離党している身。それなのに、ブログのトップ写真には今でも自民党のマークが掲載されている。トップ写真は簡単に編集できるのであるから、離党した時点で自民党のマークを外すのが筋。そうしなければ、この見苦しい釈明が、自民党の代議士によって行われたのかと誤解する読者も出てくるかもしれない。

 安倍晋三元首相が凶弾に斃れたことも説明が遅れた理由として挙げているが、名前を出された安倍氏関係者、自民党としても迷惑なだけ。一般の国民からすれば「安倍氏の名前をお前ごときが出すな」という感想を持つのではないか。

 吉川議員がそのようなことにも気付けないとしたら、絶望的なまでの議員としての資質の欠如と言うしかない。

"”パパ活”吉川議員 5000字超の論点隠し"に2件のコメントがあります

  1. ZS より:

    ウハウハ特権・ウハウハ優遇・ウハウハ歳費 誰が手放すかよ!と腹では言ってるんだな。
    ガーシーとかいう先の選挙でれいわから出て当選してるけど、こいつ公約が国会には登院しない。仕事しないと公言して当選。こいつの歳費は投票した奴が惠んでやれよな。
    吉川も投票した奴が歳費の代わりにパパ活費として惠んでやれや。

  2. サト より:

    本当に酷い言い訳、アホの極みここにありですね!!!ニュースに取り上げる価値もない。
    ただの変人。

ZS へ返信する コメントをキャンセル

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です