東京五輪潰しに動いた蓮舫氏 都知事選へ

The following two tabs change content below.
松田 隆🇯🇵 @東京 Tokyo🇯🇵

松田 隆🇯🇵 @東京 Tokyo🇯🇵

青山学院大学大学院法務研究科卒業。1985年から2014年まで日刊スポーツ新聞社に勤務。退職後にフリーランスのジャーナリストとして活動を開始。
松田 隆🇯🇵 @東京 Tokyo🇯🇵

最新記事 by 松田 隆🇯🇵 @東京 Tokyo🇯🇵 (全て見る)

 立憲民主党の蓮舫参議院議員(56)が27日、今夏の東京都知事選(6月20日告示、7月7日投開票)への立候補を表明した。現職の小池百合子知事への強力な対抗馬となる見込み。とはいえ東京五輪開催をめぐる一連の動きを見ると、政治家として、とりわけ都知事としての資質に決定的に欠けているように思える。

◾️ビジョンより批判から入る姿勢

立候補を表明した蓮舫氏(立憲民主党チャンネル画面から)

 蓮舫氏は27日に党本部で立候補の会見を行い、「自民党政治の延命に手を貸す小池都政をリセットする。その先頭に立つのが私の使命だ」などと出馬の理由を語った。その内容は延々と小池都政を批判するものであった。

 「7つのゼロ公約はどこに行った、どれもゼロにはなっていない」という批判を皮切りに、都内に在住する18歳以下の子どもに対し、1人あたり月額5,000円を支給する事業(018サポート)が選挙前年から始まったこと、都庁外壁のプロジェクションマッピング実施で都知事の露出が増えたこと、昨秋に東京防災ブックが8年ぶりにリニューアルされ、都内の全戸に配布したこと、防災ブックには都知事の顔写真が入ったメッセージが添付されていること等を取り上げ「公金を使った事前の選挙活動と思えてしまうのは私だけではないと思います。」などと語った。

 さらに、「思えば都政改革よりも、国政進出のために希望の党をつくられました。それは結果的に国会における野党を分断しました。それは結果的に自民党を利しています。」と、都知事選とは直接関係がないと思われる個人的な恨みのようなことまで持ち出している(以上、立憲民主党・蓮舫参院議員記者会見 から)。

 自身の政策に関しては後日発表されるようであるが、これから都知事になろうという人間が、「東京都をこう導きたい」とビジョンを語るのではなく、現職の批判に終始するのは驚くばかりである。都知事選には20人以上が立候補するとされ、仮に蓮舫氏の言うことを「もっともだ」と思って小池都知事への投票を取りやめたとしても、残る19人以上の候補の誰に投票すればいいのか有権者には判断できない。

 それならば、安芸高田市長の石丸伸二氏が掲げた人口減少社会が進む中、「東京の過密を解消することで世界で最も住みやすいまちにできる」「東京の発展、地方の発展、即ち日本の発展」ということの方がまだ将来のビジョンを示せている分、マシであるように思う(ニコニコニュース・石丸伸二・安芸高田市長が東京都知事選挙に出馬表明 記者会見)。

 蓮舫氏の立候補宣言の会見で明らかになったのは、こうした自身のビジョンよりも、相手の批判が先という創造性の欠如で、前向きな姿勢が見えないという点で首長になろうとする者にとって決定的な資質の欠如を思わせる。

◾️東京五輪潰しに全力の過去

 蓮舫氏を語る上で忘れてはいけないのが、東京五輪に最後まで反対していた事実である。東京で開催される五輪を中止せよと当時の菅義偉首相に迫った蓮舫氏が、3年後に東京都知事選に出馬するというのは悪い冗談としか思えない。

 1年延期が決まった東京五輪について、なおもコロナ禍が収束しない現状を踏まえて「IOC(国際五輪委員会)は日本国民の命を守る立場ではないんですよ。IOCから中止を言うってことはないんですよ。…だから、この危機的な状況の中で、総理大臣がせめて、中止・延期も含めて相談の機会を設けたら如何ですかと提案しているんです」と参院予算委で迫ったのは2021年5月10日、東京五輪開幕の2か月ほど前のことである(参照・蓮舫議員「インド人来るな」1年前「中韓入れろ」)。

 そして開会式が行われた同年7月23日には出場する選手に健闘を祈りながら、なおも五輪開催に反対する以下のツイートを投稿した。

今夜、五輪開会式。

1年延期を乗り越え挑戦する選手の皆さんの健闘を心から願います

が、この感染拡大の状況で五輪強行することは反対です。直前の関係者の解任騒動にこのニュースは、組織としてのガバナンスも極めて内向きと指摘せざるを得ません。

(2021年7月23日午前8時16分投稿

 当時、五輪を開催することは危険な状況であるという認識で開催に反対していたのであろう。それなら出場選手には「危険ですから参加しないでください。棄権してください」と呼びかけるのが筋。

 そうしないのは「結局、五輪の開催に反対という政治的な動きをする中、本当に中止されたら選手に恨まれるから、『選手はがんばれ』と言っている、その程度の考えしかないように思われる。」(参照・蓮舫議員 今日五輪中止決定なら賛成?)という当サイトの指摘は、今、読み返しても正鵠を射ているように思える。

◾️北京冬季五輪には批判封印

 これから首都の舵取りを行おうとする者が、東京の名前を失墜させかねない五輪直前での中止を求めていた事実は忘れるべきではない。その上、東京五輪から7か月後に行われた北京冬季五輪に関しては、開催中止を求めた事実は認められない。北京冬季五輪前は変異株のオミクロン株の発生が認められ、世界的な感染が改めて懸念されている時期であった。

 2020年、当時の安倍首相がアスリートファーストを理由に東京五輪の1年延期を決めた時に、蓮舫氏は以下のようにツイートしている。

なにがアスリートファーストなんだろう。すべてが精神論で後手後手じゃない?

(2020年3月23日投稿

 蓮舫氏はアスリートファーストではなかったのか。東京五輪ではアスリートファーストを理由の1つとして開催中止を迫り、北京冬季五輪では沈黙したのはなぜなのか。東京五輪と同じように無観客で行うことを北京政府に言うことすらできなかったのか。

蓮舫氏は五輪中止に最後までこだわった(資料写真)

 2つの五輪をめぐる蓮舫氏の言動には理解に苦しむ部分が少なくない。有権者(筆者も都民としてその1人である)は、東京を貶めようとした政治家が都知事選に立候補するという事実を忘れるべきではない。

 北京冬季五輪では新疆ウイグル自治区でのジェノサイド、人権侵害を理由に米・英・加・豪が公式使節団を派遣しないことを発表した。人権を重視するなら、蓮舫氏も日本政府もそれにならうべきと主張すればよかったと思うが、そうしたことを主張した形跡も認められない(以上、参照・蓮舫氏 北京は良い五輪で東京は悪い五輪?)。

 こうした蓮舫氏の二重基準、東京を愛しているとは思えない言動が多くの人の不信感を募らせる要因となっていることに、本人は気付いている様子はない。

◾️1100万人有権者が判断

 蓮舫氏が都知事に相応しいかそうでないかは、1100万人を超える有権者が判断を下す。都民の皆さんには、候補者が明らかにしない過去の言動にも注意を払って、各候補者の政治的背景を正しく理解することを求めたい。

 もちろん筆者も各候補者の主張を聞き、どのような人間であり、東京をどのように導こうとしているのかを判断して貴重な1票を投じる考えである。同じ青山学院大学で学んだ者として、都民から後ろ指を差されるような言動は控えていただきたいと切に願っている。

    コメントを残す

    メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です