伊藤詩織氏成人式で講演 辞退するのが筋

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松田 隆🇯🇵 @東京 Tokyo🇯🇵

松田 隆🇯🇵 @東京 Tokyo🇯🇵

青山学院大学大学院法務研究科卒業。1985年から2014年まで日刊スポーツ新聞社に勤務。退職後にフリーランスのジャーナリストとして活動を開始。

■あまりに軽率 南三陸町の判断

写真はイメージ

 南三陸町が著名なジャーナリストの話を新成人に聞かせたいという思いは決して非難されるべきものではない。これから成人として社会の一員になる若者に、有意義な話を聞かせたいというのは行政として正しい選択だと思う。

 しかし、講師役がどうしても伊藤氏でなければならない事情があるとも思えず、今年は控えてもらい、刑事の問題が片付き、呼ぶに相応しい人物であると思えば、例えば来年呼べばいい。もし、刑事で有責が確定した場合、新成人に対して取り返しのつかないことなるという認識がないことには驚かされる。

 その点を聞いてみると、担当者は歯切れが悪くなった。

松田:刑事で争っていることを知って呼んだわけですよね

オオモリ:それがどうかしましたか。

松田:それが仮に後で有罪になって収監されるという可能性は考えなかったのでしょうか

オオモリ:仮定の話ですから…

松田:呼ぶ段階ではその可能性があるが、それでも構わないということで呼んだということですよね

オオモリ:おっしゃってる意味がよく分かりません。

松田:刑事告訴されているということをご存知だったということは、将来、有罪が確定する可能性があることは認識していましたよね

オオモリ:係争中だという事実だけですよね。

松田:係争中だということは、いずれ結果が出ますよね、どういう形にせよ

オオモリ:我々としてはそれよりも、タイムの方で選んだということです。

松田:それは分かりました。係争中だったことをご存知だったわけで、将来、何らかの形が出るということは分かっていたわけですよね

オオモリ:何らかの結論は出るんでしょうね。

松田:その場合に、全く嫌疑はない、真っ白という可能性もあったわけですよね

■「係争中だとダメなんですか」

 このあたりから、オオモリ氏もまずいと思ったのかもしれない。さらに歯切れが悪くなってくる。もし、伊藤氏が起訴され、有罪になった場合に「その認識がありながら、なぜ、呼んだ」という批判は免れないということを認識したのかもしれない。

オオモリ:あの、係争中だとダメなんですか。

松田:だから、可能性を聞いています

オオモリ:可能性というのは、我々、正確な情報は分かりませんからね。係争中の話ですから。ですから、判断材料はタイムの方を優先したということです。それ以上でも、それ以下でもありません。

松田:係争中であることは認識していたんですよね

オオモリ:それがどうかしたんですか。

松田:係争中であることは何らかの結論が出ることを認識していたわけですよね

オオモリ:それを認識していたかどうかが何かあるんですか。

松田:その認識は、将来何らかの形で確定されることは認識していたわけですよね

オオモリ:どうなんですかね。そこまで深い認識…どうなんですかね。

松田:呼んだのはそちらですよ、何らかの形で確定する認識はあったんですよね

オオモリ:呼んだのはこちらですが、それをお答えする義務ってあるんですかね。

松田:いえ、ありません。ただ、お話をうかがっているだけです、お答えしたくなければ結構です

オオモリ:お答えする義務はないと思いますよ。答える必要ないんじゃないですか。

松田:将来的に有罪が確定した場合、成人やその関係者に対してどう思いますか

オオモリ:その質問に答える義務はないんじゃないですか。

松田:彼女(伊藤氏)を呼んだことは適切であったかどうか、今はどう考えていますか

オオモリ:それもお答えする必要はないんじゃないですかね

■伊藤氏が辞退すべきだった講師役

 南三陸町の生涯学習課には、取材に答えていただいたことに心より感謝申し上げたい。将来ある若者に関することなので、大事な時間をいただいたことはご理解いただきたい。とはいえ、同町の判断はあまりに軽率であるとして、責められるべきと考える。もっとも、それ以前に伊藤氏が辞退すべきであったと思う。自らは刑事責任はないと思っているのかもしれないが、将来のことは不確定であり、さまざまな可能性がある。

 「私は無実ですが、この先、どういう状況になるか分かりません。もし、有罪が確定するようなことになれば、新成人の方、南三陸町の方に迷惑がかかります。こちらが完全に嫌疑が晴れ、刑事責任が問われないことが確定した折には、ぜひとも、呼んでいただきたいです」と言うのがジャーナリストを標榜する者の取るべき道だと思う。

 伊藤詩織氏は、なぜ、それができないのか、しなかったのか。

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"伊藤詩織氏成人式で講演 辞退するのが筋"に13件のコメントがあります

  1. 月の桂 より:

    松田様

    タイムリーで、問題提起型の記事を楽しみに拝読しております。

    伊藤詩織氏が、南三陸の成人式で講演をしていたのですか!知りませんでした。
    よくぞ、記事にして下さいました!
    自分が宮城県民だと名乗るのを躊躇いますね。石垣のりこ議員を選出しただけでも恥なのに、書類送検され起訴される可能性があった時期の伊藤氏に成人式での講演依頼をしていたとは…役場の見識を疑います。しかも、送検の事実を知りながら、ナンチャラ100人に選ばれたことを起訴の可能性よりも重要視したとは…呆れます。他に講師がいないわけでもあるまいし。理解不能です。

    私は他県から仙台に転居した者で、純粋な宮城県民ではない為、宮城の人には厳しい面があります。
    宮城県民は、規範意識が極めて低い。
    赤信号でも車が来なければ平気で渡ります。小さな子供が青信号に変わるのを待つ中、いい歳をした大人が悠々と渡ります。この光景を子供達はどう思うだろう。中学でのいじめ自死も繰り返され、いじめを無くそうという意識も低いと感じます。
    悪気は無いのですが、何事も深くは考えない県民のようです。
    松田さんと南三陸の担当者との会話が、それを物語っていますね。

    伊藤氏にジャーナリストとしての自覚があるならば、講師など引き受けるはずがない。
    この方も何も考えないタイプのようですね。
    この人の著書を読んだ際、あまりのお粗末さに驚きました。不起訴の人間の実名を挙げ、証拠も出さず、ろくに取材もせず自分の推測だけで本を出すのがジャーナリストなのかと心底驚きました。ジャーナリストと名乗るのは止めた方がいいですね。恥ずかしいです。

    松田さんのような信念のある真のジャーナリストの記事を読みたいです。

    1. 松田 隆🇯🇵 @東京 Tokyo🇯🇵 松田 隆🇯🇵 @東京 Tokyo🇯🇵 より:

      >>月の桂様

       コメントをありがとうございます。

      >>松田さんのような信念のある真のジャーナリスト

       そんな立派なものではないのですが(笑)。思い切り俗物です。

       それはともかく、南三陸の役場の方には驚きました。途中から「ヤバい」と感じ始めたようで、「答える義務はない」と言い出した感じでした。まさにおっしゃるように

      >>悪気は無いのですが、何事も深くは考えない県民のようです。

       このタイプなのかなと思いました。

       震災で大きな被害を受けた南三陸ですが、今回の件で応援する気が少し萎えてしまったというのがあります。若者のことを思ったのかもしれませんが、若者にとっては一生に一度の大事な時間、行政はそれを理解して人選をすべきだと思います。一連の出来事は行政の怠慢でしょう。復興の大事な時期に、これはないよな、と正直、思います。近年にない残念な出来事でした。

  2. ハリス より:

    まぁ、結果的に不起訴になったんだから呼んでもよかったんじゃないすかね?それに、告訴された人が講演すべきでないっていうなら市民団体が気に入らない政治家を告訴、告発してしまえばその政治家を不当に活動をしばるこにも…例えば安倍さんとか?

    1. 匿名 より:

      刑事告訴な

  3. 野崎 より:

    望月記者の映画公演に際し伊藤氏がスピーチを行った。

    これにより望月記者は山口氏をレイプ犯であると広く社会に喧伝したのである。
    南三陸町も同じであり成人式を利用し若者たちに山口氏はレイプ犯であると認知させようとした。

    山口氏伊藤氏両名は係争中であり共に社会から疑惑を持たれているのである。
    両名に支持者、とりわけ伊藤氏には組織的支援者が存在することは伊藤氏が世に名を知らしめた発端において認識、周知されている。
    この事を南三陸町が知らぬことはあり得ない。(有り得ない根拠は以下。)

    この状態において伊藤氏に講演させることは伊藤氏支持に他ならない。

    タイム誌に掲載されたことが講演依頼の根拠であるとは詭弁である。
    タイム誌が伊藤氏を選んだ理由は何か?(記事未読です。)
    以下推測。
    レイプ被害にも屈することなく実名で戦い社会正義を希求する女性、(とかなんとかだろう)

    南三陸町は伊藤氏が選ばれた意味合を理解している、かつ刑事告訴を知っている、つまりことの経緯、問題を把握しているのでる。

    南三陸町は確信犯である。
    確信犯という言葉は近年誤用され、自己の行為が犯罪であると認識している者、として使われている感がある。

    本来は、自己の行為が違法であり又社会通念上否定されるべき行為であっても自己の価値観、信念において正しいと確信し実行する者のことである。

    南三陸町は誤用の方の確信犯である。

    松田さんもホントはわかってる~!
    でも立場情言えない又記事にも確定的な事は言えないのである。

    御返信は不要です。

    1. 松田 隆🇯🇵 @東京 Tokyo🇯🇵 松田 隆🇯🇵 @東京 Tokyo🇯🇵 より:

      >>野崎様

       コメントをありがとうございます。

       行政が有罪が確定して実刑を受ける可能性がある人間を講師として呼ぶというのが、普通ではあり得ないですね。若者の一生の思い出となるセレモニーで、その人選は若者たちに一生残る負のイメージを与えることになります。

       大人として失格だと思います。

       僕は日本の公務員は優秀だと思っていますが、いまだにこのレベルの人が公務員をやっているのだと思うと残念でなりません。極めて初歩的なことなのですが。

  4. 野崎 より:

    ハリスさん

    >まぁ、結果的に不起訴になったんだから

    刑事では山口氏は不起訴 にもかかわらず伊藤氏は一方的な主張を上梓した。
    この問題は外国人記者クラブで指摘されたが伊藤氏は答えなかった。
    判決が確定してから出版すべきではと?

    民事は係争中です。

    >告訴された人が講演すべきでないっていうなら
    その様な事は主張してはいないですよ。

    >市民団体が気に入らない政治家を告訴、告発してしまえばその政治家を不当に活動をしばるこにも…例えば安倍さんとか?

    あり得ないでしょう、あったとしたら逆に誣告で歌え返される。
    政治家が身に覚えがないのならば反訴するでしょうしその間活動、講演等も何ら問題は無い。
    クロとなったとしたら責任を取るでしょう。その場合でも責任の問題によっては活動,講演等は何ら制限されない。

    有罪となった政治家、田中角栄が存命なら、そして講演をするというなら金をはらってでも、相当な金額でも是非とも危機に行きたい。10万円だと考える、、、

    問題は成人式での講演だということです。
    自由意志で講演者を選択できない、一方的に聞かされたということです。

  5. ハリス より:

    刑事告訴、告発された人にも色んなパターンがあるから単純に比較できないってことですかね?すみません。特に何か特定の立場に立ってコメントしたわけではないのです。

  6. 野崎 より:

    ハリスさん

    何もすみませんなどと、恐縮します。

    >特に何か特定の立場に立ってコメントしたわけではないのです。

    山口伊藤両氏の問題は、両名個人の問題というよりすでに別次元の問題となっていると考えています、それは伊藤氏の背後にいる支援勢力により、です。望月記者もその一人。

    かれらの目指すところ又ダブスタにはヒジョ~に立腹しており、よって反応してしますのであります。

    伊藤氏の民事勝訴後、男女の交わりには女性の合意が必要だ~!と支援勢力の中から声が上りました。

    で、その後、広義に彼らの仲間である日本学術会議が女性の合意の必要性を提言しました。
    で、その次に、NHKが今度(NHKも仲間~!伊藤氏を何度も番組に起用している)
    女性の合意必要性を題材にしたドラマを放送すると、

    合意の必要性問題の評価は別にして彼らは呼応し合うのです。
    一犬虚に吠え万犬これに応ず、の状況をを作らんとする。慰安婦問題と同じです。
    かれらはあることを目論んでいます、それは米国大統領選挙に見られるものと同じです。

    あんたの認識は相当おかしい、の評価はあまんじて受けます。

    ハリスさんの素直さに驚いていますし感動さえ覚えています、本当です。
    他所で伊藤氏、その背景に関しをコメントすると罵詈雑言が返ってきます。

    ハリスさんと応答できてうれしく思っています!(^^)!

    失礼しました。

  7. 月の桂 より:

    ハリス様

    いろんなパターンがあるというより、成人式の講演を依頼するなら人選は慎重にしなければならないということです。不起訴とはいえ、伊藤氏は今後、強制起訴になる可能性もあるわけです。そんな人を講師に呼ぶ感覚は理解不能ですし、講演料は税金からの支出です。不適切な人選であり、若い方々にも失礼だと思います。
    担当者は、ナンチャラ100人に選ばれたことが、講師依頼する理由だと言っています。
    選ばれた理由を知ってのことでしょうから、それは南三陸町が、伊藤氏を性犯罪被害者だと認めたことになります。不起訴の山口氏を犯罪者だと言ってるようなものです。
    事の重大さを考えない宮城の田舎の公務員は、この程度だってことです。

    記事へのコメントは様々だと思います。
    ハリスさんの考えも間違いではないし、謝ることではないですよ。

  8. 名無しの子 より:

    松田様、今回もありがとうございます!
    松田様の見解は誠に同意いたします。
    ところで、少し別の角度からも書かせていただきます。伊藤氏がゲストにふさわしくないのは、もちろん当たり前だと思います。でももう一つ、重要な問題があります。関東は、緊急事態宣言中であったということ。
    私は関東在住ではありませんので、詳しくはわからないのですが、少なくとも、県をまたいでの移動、多人数での集会は、禁止でしたよね。南三陸町も、よくそんな時に、関東から(伊藤氏の正式な住所はわかりませんが、南三陸町にとって、地元ではないことは明らか)呼んだなぁと。クラスタが発生したら、どう責任とるつもりかと。
    役所なのに、国が定めた緊急事態宣言も守らず、そして、虚偽告訴罪で検察審査会待ちの伊藤氏を招いたことの責任は、問われて然るべきでしょう。
    私は前に、あるテレビ局にメールしたことがあります。なぜ、疑いの晴れていない伊藤氏を使うのかと。すると「個別のニュースの取り上げ方の基準等の判断については、お答えしておりません」とのこと。あまりにそっけない回答に、唖然としました。今回の南三陸町の回答を彷彿とさせるものがありました。
    ただ、あまりにもかわいそうなのは、若者たち。できれば、コロナが収まったら、成人式のような会合を、もう一度設けてあげてほしいなと、少し思ったりしています。新成人の方々には、こんなことにくじけず、頑張ってほしいものですね。

    1. 松田 隆🇯🇵 @東京 Tokyo🇯🇵 松田 隆🇯🇵 @東京 Tokyo🇯🇵 より:

      >>名無しの子様

       コメントをありがとうございます。

       確かに緊急事態宣言下ではありましたが、発出前に依頼していたとしたら、感染拡大防止策をとればいいのかなという気はします。

       それよりも、有罪の可能性があって、書類送検されている段階で成人式に呼ぶというのが論外だと思います。行政として、あまりに不見識と僕は思います。

      1. 名無しの子 より:

        そうですね。
        ただ、伊藤詩織氏が「自分は係争中の身ですので」などの断り理由が言いにくい時は、「緊急事態宣言中なので」と、いくらでも断り理由にすることはできたと思います。それは、南三陸町がキャンセルする時も同じこと。引き返す機会も理由もいくらでもあったのに、実行してしまった事が、情けないなぁと思います。残念ですね。返信は大丈夫ですよ。

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