青学大30年ぶりラグビー大学選手権へ正念場

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松田 隆🇯🇵 @東京 Tokyo🇯🇵

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青山学院大学大学院法務研究科卒業。1985年から2014年まで日刊スポーツ新聞社に勤務。退職後にフリーランスのジャーナリストとして活動を開始。
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 青山学院大が30年ぶりのラグビー大学選手権出場へ正念場の2戦を迎える。日体大と立教大との対戦を残すが、3トライ差以上をつけて2連勝すれば、出場権をほぼ手中にする。今季は31年ぶりに強豪・筑波大を破って貴重な勝ち点5を手にしており、駅伝に続く大学スポーツの華での大舞台出場が間近に迫っている。

◾️高校日本代表2名が入部

対抗戦Aグループの状況

 箱根駅伝の強豪校として知られるようになった青学大は、ラグビーに関しても強化を図っている。毎年、正月の花園(全国高校ラグビーフットボール大会)の常連校から選手を入部させており、特に2024年度は高校日本代表のFL松崎天晴、SO利守晴の東福岡高校の両選手が入部している(JAPAN RUGBY・高校日本代表メンバー決定 および今後の活動スケジュールのお知らせ)。

 松崎選手は1年生でレギュラーポジションを確保したのは当然として、利守選手はまだ完全には先発メンバーとはなっておらず、逆にそのことが高校日本代表でも定位置確保が容易ではないレベルの高さを示している。

 直近5シーズンの対抗戦Aグループでは昨シーズンから遡って7位、7位、7位、8位、7位と常に入替戦でAグループに残留している状況であった。昨シーズンは1勝6敗で勝ち点5、成蹊大に43-7で勝った以外は全敗、当面のライバルである立教大にも10-28で苦杯を嘗める結果となった。

 ところが今シーズンは9月29日の筑波大戦を30-22で制し、1993年以来31年ぶりに同校からの勝利を挙げた。筑波大はその前に慶應義塾大に勝っており、青学大も慶応義塾大からの勝利が期待されたが、10月27日の試合では10-20で敗れた。

 今期の対抗戦Aグループの大学選手権の出場枠は5。通常は3のところ、昨シーズンの大学選手権決勝が帝京大ー明治大で争われたことから優勝校・準優勝校が所属するリーグの出場校枠が2あるため、5位までに入れば出場権を獲得できる(JAPAN RUGBY・「第 61 回全国大学ラグビーフットボール選手権大会」大会概要)。

 11月11日現在の対抗戦Aグループの状況は3位までの早稲田大、明治大、帝京大は出場権を獲得。残る2枠を4位の筑波大から8位の日体大が争う形になっている。この中で日体大は明らかに実力が劣り、2試合を残して数字の上では可能性は全くないわけではないが絶望と言っていい。また、6位立教大も残りは1試合(青学大)で最大でも勝ち点は18にとどまり、ほぼ絶望と言っていい。

 実質的には4位筑波大(勝ち点19)、5位慶應義塾大(同14)、7位青山学院大(同9)の3校に絞られている。

◾️筑波大戦の勝利の大きさ

写真はイメージ

 4位の筑波大は11月30日の帝京大戦が最終戦で、過去の実績、今シーズンの戦いぶりからして勝利はもちろん、負けても7点以内でのボーナス勝ち点1をもぎ取るのは至難の業。敗戦による勝ち点1を積み上げるのみで最終的な勝ち点は20に終わるものと見られる。

 一方、5位の慶応義塾大は11月23日の早稲田大戦は勝ち点1に終わるのが濃厚であるが、12月1日の日体大戦は3トライ差以上をつけての勝利によるボーナス点1を加えて勝ち点6を取ることは十分に可能で、最終的な勝ち点は21となりそう。

 7位の青山学院大は、11月17日の日体大戦は順当に勝利を収めると思われるが、そこで3トライ差以上をつけて勝ち点1を積み上げられるかが問題となる。ここは筑波大、明治大から3トライを取っている攻撃力をもってすれば、最下位の日体大に3トライ差以上の差をつけるのはそれほど難しくない。おそらく勝ち点6を加えて15とするであろう。

 最後の立教大戦が大学選手権への大一番となり、勝てば勝ち点5を加えて20に到達、慶応義塾大が勝ち点を21に伸ばしていれば、筑波大と並ぶ勝ち点20の5番手。この場合、直接対決で勝っている青山学院大が5位になり大学選手権出場を決める。もし、立教大に3トライ差以上の差をつけて勝てば勝ち点21で慶應義塾大と並ぶ4番手で、直接対決で敗れているため、やはり5位となって大学選手権出場が決まる。出場となれば、1994-1995年シーズン以来30シーズンぶり。これは出場の常連校の筑波大か慶應義塾大のいずれかの進出を阻むということを意味し、対抗戦の勢力図を書き換えるほどのインパクトがある。

◾️対抗戦Aグループのトレンド

 青山学院大は原晋氏を指導者に迎えてから駅伝の強化を始め、2004年度の強化部指定1年目から東京箱根駅伝の出場を実現したのは5年目の2008年度(2009年第85回大会)であった。この時が33年ぶりの箱根出場であった。筆者はたまたま青学大のロースクールに在籍中であったが、同級生と「青学すごいなぁ」「応援しよう」と盛り上がっていたのを思い出す。それ以後、同学は7度の総合優勝を果たし、今や正月の箱根駅伝ではなくてはならない存在になっている。

青山学院大学(写真はイメージ)

 ラグビーも長年、強化を続けてきているが、対抗戦の上位の壁は厚く毎年のように「大学選手権出場」という目標を掲げながら、シーズンの最後は入替戦というパターンが続いていた。しかし、今シーズンは筑波大を下し、慶応義塾大とも差のない戦いを繰り広げ、ようやく一皮剥けた印象がある。

 対抗戦は長く帝・早・明の3強に、筑・慶の中位グループ、青学・立が下位に位置し、最下位は日体大か成蹊大が全敗というパターンが続いていた。ここに来て、帝京大にかつての圧倒的な強さがなくなり、慶応義塾大が筑波大に勝てなくなり(対抗戦2連敗中)、青山学院大・立教大との差が縮まっている状況となっている。

 このトレンドが進めば、青山学院大が中位グループから上位3強に迫る可能性も十分あり、今シーズン大学選手権に出場できれば、さらに有望な新人の獲得も可能になるかもしれない。母校が早明と互角の戦いを演じるようなら、1980年代からラグビー観戦をしていた身としてこれ以上の喜びはない。

 駅伝だけでなく、ラグビーも正月の楽しみとなることを多くの青学大OBが期待しているはず。もちろん筆者もその1人で、今週の日体大戦は現地観戦を検討している。

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