浜尾朱美さん旅立たれて1年 ドバイ土産見ると思い出す

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松田 隆🇯🇵 @東京 Tokyo🇯🇵

松田 隆🇯🇵 @東京 Tokyo🇯🇵

青山学院大学大学院法務研究科卒業。1985年から2014年まで日刊スポーツ新聞社に勤務。退職後にフリーランスのジャーナリストとして活動を開始。

 キャスター、エッセイストの浜尾朱美さんが昨年9月14日に亡くなられてから、まもなく1年になる。僕の30代で最も思い出深い人、まだまだ頑張ってほしい人だっただけに寂しさは1年経っても変わることはない。

■UAEドバイ取材の前に打ち合わせ

いただいた小物入れ

 僕の部屋には浜尾朱美さんからいただいたUAEドバイのお土産がある。現地で売っている小物入れらしいが、作りもしっかりしており、今でも重宝して使っている。

 恐らく1999年~2001年頃、NEWS23(TBS系)のキャスターを卒業して1年か2年ぐらい後だったと思う。彼女が雑誌の取材でUAEドバイに出向くことになった。

 現地の競馬についてレポートするもので、有名人で競馬に詳しいということで白羽の矢が立ったと聞く。カラー特集のため、ビジュアル的な面も考慮されたものと思う。

 出発前に浜尾朱美さんから連絡をいただき、会社の近くの喫茶店か何かで話をしたと思う。競馬好きとはいえドバイの競馬はほとんど見たことがなく、基本的な情報を知りたいというのと、どういうコンセプトで書けばいいのかという相談であった。

 僕もドバイには出張したことがないのでネットなどを通じて知っている限りの情報を集め、手渡すことにした。ドバイのシェイク・モハメド殿下が競馬の世界で大きな影響を持っていること、その有力馬や、ドバイワールドカップがいつ始まって、日本の馬は過去に何頭出走して、といった当たり前の情報である。

■「困ったらアッラーアクバルと言えばいいんですよ」

 記事のコンセプトについては「感じるままに、レポートしてはいかがでしょうか。競馬担当記者ではなく、浜尾さんに書いてほしいということは、素人目線で論じるのを期待しているのだと思います。砂漠と石油しかないというイメージの中東で、こんなに競馬が盛んなんだというのも素人の方には新鮮だと思います」という話をした記憶がある。

 しかし、どうにも不安そうな浜尾さんは「大丈夫かなぁ」と言うので、「困った時はアッラーアクバル(Allahu Akbar)と言えば大丈夫ですよ」と言ったところ、彼女は何も言わずに苦笑。その直後に、日刊スポーツのコラムで「マツダ記者に相談したら、『困ったらアッラーアクバルと言えばいいんですよ』と言われた。気楽でいいわよね、まったく」みたいな書き方をされた(笑)。原稿のオチに使っていただけるのであれば、それはそれで少しはお役に立てたのかもしれないが。

■”勘違い系”の編集者に怒りの浜尾朱美さん

外観が中東っぽいのがいい

 浜尾さんが帰国後に書いた雑誌の原稿は、担当の若い編集者がトンチンカンな要求を言ってきたらしく、浜尾さんが珍しく激怒されていた。「松田さん、どう思う?」と、出版社に出した原稿を僕に見せたのだが、悪くない原稿だった。そのまま掲載しても何の問題もないレベル。なぜ文句を言ってきたのか分からないが、”勘違い系”の編集者で、何か言わないと気が済まないタイプだったのかもしれない。

 「とりあえず、相手が要求している通りに、こう直したらいかがですか」と言うしかなく、浜尾さんも多少書き直したようだったが、ほとんどそのまま掲載されていた。

 その時にいただいたドバイの小物入れ。あれから15年ほど経ったが、いただいた小物入れを見ると、当時のことを思い出す。

 浜尾さんに「松田さん、いい原稿書いてる?」と言われるように、これからも仕事を頑張ろうと思う。

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