太陽光発電規制で悪質業者の排除を
石井 孝明🇯🇵 @東京 Tokyo🇯🇵
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太陽光発電所の乱開発を巡るトラブルが後を絶たない。ようやく2019年ごろから自治体による太陽光条例を制定するなど、開発の規制を強化している。しかし、すでに景観の破壊は深刻で、大規模開発は終わっており、取り組みは無駄になってしまうだろう。適切な規制はないか。(元記事は&ENERGY・広がる太陽光発電の規制条例-悪質業者は防げるか?)
◆悪質ブローカー、反社の影
静岡県某市の山間部メガソーラーの建設現場を見たことがある。斜面に切り拓かれたものを韓国企業が買った。しかし住民の反対運動と、自治体が急遽作った環境条例、そして河川の改修を伴うため市長が許可を出さないことが重なり、開発が止まってしまった。その転売歴を調べた地元地方議員の資料を見た。各地で物件を作っては売って逃げる悪質ブローカーの名前があった。韓国系ということで、右派の人々がこの開発を騒ぎにした。しかし事情をよく知らない外国人が騙されて問題物件をつかまされたように思った。日本人にも悪い奴がいる。
関東の某県某市の太陽光発電所予定地を取材したことがある。産業廃棄物の不法投棄で摘発された過去がある会社が名前を変えて開発しようとした。暴力団のフロント企業と噂されていた。地元の有志が警察の介入を頼み、隣接地の販売を止めた。すると、その業者は去っていった。「何があるか分からない。怖かった」と、地元の人は振り返っていた。
再エネは、固定価格買取制度(FIT)による高価な発電した電力の20年の長期買い入れで、開発を誘った。その補助金は22年に総額4兆2000億円の巨額だ。それを目指してさまざまな人が参入する。そして中には怪しい人たちがいる。
1990年代まで、山林に産業廃棄物を捨てる産廃事業者が日本各所で問題になり、中には暴力団などに関わる企業もあった。しかし、警察や行政の摘発や監視、規制強化でかなり問題は減った。この某県の案件で地元の人は話していた。「産廃で悪さをした連中が、「同じ仕組みで入ってきた。黙って土地を借り、時には脅し、ゴミの代わりに太陽光パネルを置こうとした」。2012年のFIT導入前に、太陽光発電は「簡単にできるので広がりが早い」と期待された。ところがそれが裏目に出てしまった。
◆全国175自治体が条例-実効性には疑問
環境エネルギー政策研究所が、2022年4月の「再生可能エネルギー発電設備の適正な導入及び管理のあり方に関する検討会」(経産省。資源エネルギー庁)で公表された「太陽光発電の地域トラブルと調和・規制条例、 今後の適正な促進に向けて」によると、今年2月までに、太陽光発電の反対運動が起きた自治体は報道調査で163になる。同省によれば、同月までに全国で都道府県が5、市町村が175の規制条例を作った。全国47都道府県・1718市町村の総数を考えると、9割近くが未対応の状況だ。
そして制定したとしても、効果はどれほどのあるか疑問だ。市町村レベルでは、条例で厳しい規制をなかなかできない。いくつかの条例を見たが、「事業所から100メートル以内の住民への説明義務」などにとどまっている。
その中で山梨県の条例の厳しさが目立つ。国土利用計画法で山林とされる地域での開発の原則禁止を決めている。長崎幸太郎同県知事の主導による条例とされる。長崎知事はエネルギーフォーラム1月号のインタビューで次のように述べていた。「この条例に違反した建設に関しては法的措置も辞さない毅然とした態度で臨みます。最高裁まで徹底的にやり合う覚悟です。そういった事態も想定して条例は入念に設計しています」。
しかしこの条例の施行は2019年だ。もうすでに大規模な太陽光の開発は一巡している。この条例は「これから作られる」太陽光発電所が想定されている。過去の案件への遡及適用は想定していない。財産権の侵害になってしまうためだろう。
太陽光発電で利益を得る人が地元にはいる。そのために設置をできなくさせるなどの厳しい条例は作りづらい。山梨県北杜市では市による設置不許可の事例が2019年に条例が制定された後にないこと、利害が絡むために市が規制に一丸となれないこと、太陽光事業者による暴力事件が起きていることは、&ENERGY記事「北杜市、太陽光での恫喝・暴力事件-住民の恐怖をとめよ」で述べた。そして反社会勢力や悪質業者が、再エネ事業に入ってきた時に、こうした条例だけは止められない。
◆再エネ、太陽光の健全な発展のために何が必要か
一つ救いなのは、F I Tでの価格を太陽光で急速に下げたため、新たに太陽光発電に参入する事業者は2022年時点では少なくなっていることだ。大規模な開発は一巡し、環境破壊の問題案件が各所にある。
それよりこれからの問題は、既にできている太陽光発電による環境破壊の復旧や是正だ。そしてF I T施行で10年が経過した。20年のF I T適用期間が終わる発電所がまもなく次々と出てくる。その際に、事業をやめた太陽光発電所を放置するかもしれない。そして大量のパネルの廃棄物が出るかもしれない。その処理をどうするかという問題がある。そうした対応は、ほとんど手付かずだ。行政はこうした社会問題への対応が常に遅れてしまう。
私は、再エネの拡大を応援している。環境を名目にしたその一律の禁止は良くない。ただし今のような乱開発と環境破壊が社会問題になるのは、再エネ、太陽光の未来を傷つける。
開発地域の周辺住民の同意、また環境の復旧義務などの形で、太陽光を含めた再エネ事業全体に規制をかけられないだろうか。ドイツの再エネ開発では法律で、切った木の数だけ植樹する義務があると聞いた。
そして事業者の自省と自主規制が必要だ。規制団体による業界の自治というのは、いろいろな形で工夫されている。行政が全ての事業者に対応できない。地域でのビジネスを相互監視し、悪質な事業者、反社会勢力を締め出す仕組みを作る。そうしたものが何もない太陽光、再エネであっていい。
※元記事は石井孝明氏のサイト「&ENERGY」に掲載された「広がる太陽光発電の規制条例-悪質業者は防げるか?」 タイトルをはじめ、一部表現を改めた部分があります。
>再エネ、太陽光の健全な発展のために何が必要か
そもそも、太陽光発電は“再生可能エネルギー” で は な い (太陽は再生しない、燃えて消耗するだけ)のに、この辺りから既に『変な利権』の匂いがする。
再エネは日本の国土環境や気候に不適だと思う。
そもそも再エネが額面通りの成果を挙げられるのであれば、第三セクターの介入を招くまでもなく、大手電力会社が大々的に着手しているはず。
なぜ電力会社が再エネに進出しないのか、ちょっと考えればわかることだろう。
勿論京セラなどの企業と共同で技術研究は行っている。
しかし設備の初期投資や後の維持費がかかる割には火力発電と原子力発電の発電量減をカバーできるほどの力がなく、施設の耐用年数が短く廃棄処分も難しい。
ライフラインを受け持つ公的機関のような立場がある反面、それ以前に電力会社は一応営利目的の民間企業。電力会社もバカじゃない。こんな業界に参入するのは割に合わない。