取材の舞台裏(17)死刑判決で主文後回しの実情

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松田 隆🇯🇵 @東京 Tokyo🇯🇵

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青山学院大学大学院法務研究科卒業。1985年から2014年まで日刊スポーツ新聞社に勤務。退職後にフリーランスのジャーナリストとして活動を開始。
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 死刑判決で主文が後回しになることが多いのはよく知られている。そのあたりの実情を現役の弁護士に聞き、自分なりの見解をまとめた。弁護士ドットコムでの公開は2017年11月14日(「主文後回し」裁判所の狙いとは…死刑に限らず「無期懲役」の場合も)。

◼️主文を後回しにする理由

 そもそものきっかけは2017年11月7日に京都地裁であった判決の速報で、主文言い渡しの前にNHKが早とちりして「死刑です!」と報じた事件にある。

 結果として報じられた死刑については”あたり”だったのだが、主文言い渡し前に「死刑です!」は根拠のない報道なのは明らかである。その後のNHKの説明では判決理由中の「死刑の合憲性」という言葉を主文と取り違えたとのこと。

 僕は紙媒体にいたわけだが、紙媒体の人間はそんなことは意識する必要もない。電波媒体は速報性が極めて重要なので、それなりに勉強をしなければいけないということだろう。

 ネットなら間違えた部分を書き換えることは可能であって、大手媒体でもたまにそのような例を見かける。新聞は訂正するなら後から訂正記事が必要であるし、テレビもそれなりにアフターフォローをしなければならない。ネットよりは大掛かりになるのは間違いない。

◼️ちょっといい視点だったと自慢したい気分

 内容としては弁護士との一問一答で、後は僕の見解という構成。ロースクールで勉強するごく初歩的な話だけなのだが、それで一般のユーザーの中には「へー」と思ってくれる方もいるように思う。それなりにロースクールで学んだことも役に立っていることを実感させられた。

 「裁判所が自ら宣告した内容に拘束される(変更、訂正ができなくなる)のは判決言い渡しのための公判期日が終了するまで(最判昭和51年11月4日)」というのに触れた部分は、目にしたことがある人は少ないのではないかと思う。

 そのあたりはいい視点だったのではないかと、ちょっとだけ思っている。

    "取材の舞台裏(17)死刑判決で主文後回しの実情"に1件のコメントがあります

    1. 月の桂 より:

      「へー」と思いました。
      今回のような「知識(←特に法律)を増やせる系の記事」は大歓迎です。勉強になります。

      NHKさん、それは報道機関として致命的なミスではありませんか!!
      「訂正してお詫び致します」レベルの話ではありませんね。報道には速さも求めますが、正確さはそれ以上に重要です。

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