伊藤詩織氏事件の控訴審 波乱を暗示する判決?

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松田 隆🇯🇵 @東京 Tokyo🇯🇵

松田 隆🇯🇵 @東京 Tokyo🇯🇵

青山学院大学大学院法務研究科卒業。1985年から2014年まで日刊スポーツ新聞社に勤務。退職後にフリーランスのジャーナリストとして活動を開始。

 東京地裁は23日、元部下の女性が性行為を強要されたと虚偽申告したことで勤務先を解雇されたとして男性の妻が起こした損害賠償請求を認める判決を出した。この判断枠組みはTBSの元ワシントン支局長の山口敬之氏の裁判を考える上で、示唆に富むものではないだろうか。

■女性が申告「性行為強要」は虚偽と判断

東京高裁の判断はいかに

 共同通信が6月23日に配信した「『性行為強要』は虚偽と認定 社内不倫の女性に賠償命令」によると、男性は元部下の女性と不倫関係にあったという。女性の「性行為を強要された」という虚偽申告が認められ、男性は勤務していた日産自動車を懲戒解雇になったという。

 これに対して男性の妻が元部下の女性に対して不倫の慰謝料と合わせて1000万円の損害賠償を請求し、裁判所は「申告は虚偽だった」と認め、120万円の支払いを認められた。磯崎優裁判官は女性が行為の後に2人で観光に出掛けるなどしていることから「好意的な感情を抱いていたと考えるのが自然で、自由な意思に基づく交際関係と推認できる」と指摘している。

 記事の最後に虚偽申告の慰謝料については、妻は間接的な被害にとどまるから40万円とされたと書いてあり、そうであれば、男性が損害賠償請求をした場合にはさらに認められる可能性があるのではないか。元部下の女性にとっては極めて厳しい判決である。

■性行為の後に観光旅行「自由な意思に基づく交際」

 以下、報道された範囲での判断なので、参考程度に読んでいただきたいのだが、注目すべきは、性行為があったとされる事後の事情(2人で観光旅行等)を斟酌して「自由な意思に基づく交際関係と推認」していることである。

 自由な意思に基づく交際関係があっても、その時は性行為をしたくないと考える可能性はあるが、そのような特殊な事情は認められなかったのであろう。この事件では特定の性行為を取り上げるのではなく、当該男女の全体の関係を俯瞰して、その中の行為の性質を判断しているようである。

■「レイプ」された後にTシャツを借りて「お疲れ様」?

 ここで伊藤詩織氏と山口敬之氏の事件である。これまで私が最も疑問に感じていたのは、両者の性行為があった4月3日以降の伊藤詩織氏の行動である。

 伊藤詩織氏の著書にあれこれと細かい事情が書かれているようであるが、両者の関係をそうしたミクロの目で見るのではなく、大きな流れの中で捉えるべきであろう。両者の話が一致する部分をつなぎ合わせると以下のようになる。

 性行為が行われた後、伊藤詩織氏は山口敬之氏のTシャツを借り、それを着て帰った。3日後に「山口さん、お疲れ様です。」で始まるメールを送り、その中で、自らの就職に関するビザの相談を行なった(参照:lisanhaのPansee Sauvage)。

 レイプした相手の肌着を身につけて帰る女性が、地球上にどれだけいるというのか。それを着るぐらいなら、濡れていようが破れていようが、自分の服を着て帰るのが通常の女性の発想であろう。

 そして、レイプした相手に「お疲れ様です」などとメールを送る女性がいるとは到底思えない。メールの「お疲れ様です」は、時候のあいさつ程度のほとんど意味のない、そして極めてありふれた表現である。それを冒頭に持ってくることは性的関係が生じた後も、両者の基本的な関係性に変化がないことを示しているように感じられる。社会通念に照らせば、両者の関係は仕事をきっかけに接近し、お互いが憎からず感じている中、酒を飲んで一晩の危険な情事になだれ込んだという評価が最もしっくりくる。

■全体の文脈で伊藤氏と山口氏の関係を捉えたい

 一審で伊藤詩織氏の主張が一部認められたのは、山口敬之氏が伊藤詩織氏との間で性的関係を持ったのは、「少なくとも合意があると信じたことに過失がある」と認定し、不法行為(民法709条)が成立すると考えたからと思われる。しかし、事後を含めた一連の行為から両者の関係を見ると、伊藤詩織氏も「そのような関係になってもいい」と認容していた、そのため意識が飛ぶまで飲み続けたと解釈する方が自然に思える。

 今回の東京地裁の判決は、全体の文脈の中で男女の関係性を捉えている。この枠組みで判断するのであれば、山口敬之氏の行為の評価は「両者に黙示の合意はあった」「仮に伊藤氏の合意はなかったとしても、合意があると信じたことは過失とまでは言えない」という判断になる可能性はあると思う。

 伊藤詩織氏は帰宅すると、借りたTシャツをすぐにゴミ箱に叩きつけたなどと書いているようである。これはまさに両者の関係を俯瞰して見られた時に不利になるため、誰も見ていない場所での行為を持ち出してその主張を否定しようとする試みと思われる。

 多くの方に分かっていただきたいのは、伊藤詩織氏が合意していたのか、していなかったのか、本当のところは本人しか分からないということである。そのため、裁判所は外形的事実から合意の有無を推認するしかない。日産自動車事件で、東京地裁はその外形的事実から「性行為は強要されていない」と判断したのである。

 控訴審の東京高裁がどう判断するか。今回の東京地裁の判決が波乱の呼び水となりそうな気がしてならない。

9 thoughts on “伊藤詩織氏事件の控訴審 波乱を暗示する判決?

  1. アバター 山口 秀明 より:

    おはようございます。
    全く、同感です。枝葉末節はどうあれ、客観的に、全体的に見れば同意していますし、詩織氏はその後も山口氏にお願い事をしています。被害者として同情する風潮で流されてはいけないと思います。

    1. 松田 隆🇯🇵 @東京 Tokyo🇯🇵 松田 隆🇯🇵 @東京 Tokyo🇯🇵 より:

      >>山口 秀明様

       コメントをありがとうございます。
       全体的に見る、が大事だと思います。一審はその点、どうだったのかなという疑念を持っています。

       詳細はわからないのですが、普通に考えて二審でひっくり返る事案ではないでしょうか。メディアの山口氏に対する人権侵害は後から絶対に問題にしたいと思っています。

  2. アバター 勇気をもって真実を話そう より:

    伊藤氏は退出するとき山口氏にまたねと言われて会釈してでたと陳述しています。どこの世界に今さっき殺されそうになった相手に会釈して出る人がいるでしょうか。

    1. 松田 隆🇯🇵 @東京 Tokyo🇯🇵 松田 隆🇯🇵 @東京 Tokyo🇯🇵 より:

      >>勇気をもって真実を話そう様

       コメントをありがとうございます。

       それらを含めて、黙示の同意があったと考えるのが普通なのかなと思います。会釈をするような友好的な雰囲気だったのでしょうね。少なくとも殺伐としたものではなかったのは間違いないと思います。

       一審の裁判官が何を考えたのか分かりませんが、次は違う判断が出てもおかしくないと思っています。

  3. アバター 真相が分からない者です より:

    伊藤氏は、プロデューサーとして採用に大きな期待をしたと思います。
    採用の期待があり、告訴すると望む業界にいられないことも考えた。
    数日迷ったが採用は期待できないと悟り告訴したと推測します。

    著書のブラックボックスで、不起訴処分にした検事が、山口氏は本当に悪いと言ったと書いてます。
    検事がこう話したと本に書くことは問題ないか疑問に思います。

    地裁は3人の裁判官の判決で少くとも2人は不本意な性行為と判断したので、
    高裁で覆る可能性は高くないと予想します。

    山口氏の反訴は認められる可能性はあると予想します。

  4. アバター 野崎 より:

    こんばんは

    真相を知るのは当事者のみな訳ですが、ここへ来て伊藤氏の問題点がさらに露呈した状況であると認識します。

    熱心な人達がいるもので伊藤氏に疑問を持ち、その問題点を掘り下げネットに公開しています、さらに山口氏支援サイトまで起ち上げられています。

    レイプの有無にかかわらず伊藤氏には問題があるという事でしょう。

    この問題は個人の性被害の次元ではなく、ある思想性を有する勢力が既存の価値観を変えようとする対社会への攻撃であり伊藤氏はその勢力の一員です。

    その証左の一つとして伊藤氏担当、角田由紀子弁護士が当初、
    伊藤詩織と実名で名乗り出たことは(記者会見)世界を揺るがした慰安婦問題に匹敵する。
    と述べている。

    以下、ウィキより
    >角田弁護士はラディカル、フェミニスト団体ポルノ・買春問題研究会元共同代表。ラディカル・フェミニスト系国際的人権団体イクオリティ・ナウ理事。

    この勢力とは何か? 
    アメリカのポリティカルコレクトネスを表したイラスト。
    自由、平和、と書かれたデモ看板を持った集団が手に手にこん棒を持ち、
    デモクラシーと書かれたデモ看板を持った一人を追いかけている。

    表面、正義を口にしながら、その実態はファシストであることを実によく表したイラストだと思います。
    現在、アメリカで破壊活動を行ているAntifaなる集団、日本にもそれを標榜する集団が現れた、渋谷におけるクルド人道交法違反事件において、
    その実態は以前からある集団であり、普遍的価値、すなわち近代国家を形成する価値観、自由を否定するファシストに他なりません。

    この勢力の存在に、差別は許さない、という流れの中で、『反差別』という差別が暴走する、との表題でスポットライトを当てた、
    ニューズウィーク誌はジャーナリズムとしてその矜持は見事です。

    伊藤氏事件の判決如何に関わらず、この勢力の画策するところを許してはならないと考えます。

    御返信は不要です。

  5. アバター 野崎 より:

    自家撞着に気づいたか? 伊藤詩織氏

    SNSにおける誹謗中傷により自殺したとされる女子プロレスラー木村花氏の問題に対し伊東氏は、
    >私もアクションを起こさなければと思い、急ぎ足で訴訟をスタートすることにした、
    と6月8日記者会見した。

    アクションを起こさなければ、の意味は、誹謗中傷を許さない、そのような社会を作るため、という程の意味だろう。

    提訴は、主に漫画家はすみとしこ氏に対してであり、その他約70万件に及ぶネット上の書き込みをチェックしたという。

    ならば山口氏に対してはどうなのか?

    刑事で不起訴、さらに民事で係争中の山口氏を一方的にレイプ犯とし、事前にBBCのインタビューを周到に準備し、そして記者会見を行った。
    結果、山口氏に誹謗中傷は殺到した。

    この問題は外国人記者クラブで指摘された。
    伊藤氏が自らと同じとするレイプ被害者キャサリン、ジェーン、フィッシャー氏との相違である。

    キャサリン氏の場合、レイプ犯は刑が確定している。
    そして後、書籍化した、キャサリン氏は書籍化までに心理を整えるに13年の時を要したとしている。

    日本外国特派員協会会長のKhaldon Azhari氏による質問、
    山口氏の判決が確定してから記者会見を行うべきとの質問を伊藤氏は通訳と共にはぐらかし答えなかった。

    伊藤氏は書籍化も行っている。

    伊藤氏は自分を支持する者達の誹謗中傷は許し、
    自分を支持しいない者達の誹謗中傷は許さない、ということか?

    提訴すれば上記の問題が露呈することに気づいたのか?

    又伊藤氏等は女性の人権など何ら問題にしていない。

    伊藤氏の弁護士、ヒューマンライツナウの伊藤和子氏は、連続レイプ犯、フォトジャーナリスト広河隆一と長年懇意な関係であり、広河の被害者からの相談を握りつぶし、広河との関係を表す情報をHPから凡て削除し、その後何らの動きも無い。

    フォトジャーナリストであるとする伊東詩織氏が著名なフォトジャーナリスト広河隆一を知らぬわけがない又この問題を知らぬはずがない。

    以下は弁護士伊藤和子の申し開きである、伊藤詩織氏のケースといかに異なるかである、伊藤氏らは女性の人権など何ら問題にしていない。

    >広河隆一氏に関する報道について

    週刊文春に昨日、広河隆一氏によって性被害にあった方々の告発に関わる記事が掲載されました。
    国際的な人権にかかわるフォトジャーナリストとして著名な広河氏の今回の報道内容は
    極めてショッキングな内容であり、報道内容が事実であれば深刻な女性に対する人権侵害であると考えます。
    同氏は「心からお詫び」し、デイズジャパン代表取締役等の職務を解任されたと発表しています。
    当団体は、過去に広河氏を講師に迎えた講演会開催、広河氏の写真提供による展示会の開催等を行った経緯があり、
    知らなかったとはいえ大変残念に感じております。
    性暴力は許されるものではなく、ヒューマンライツ・ナウは、#MeTooをサポートし、
    今後も勇気を出して声をあげた人々に寄り添う活動を展開してまいります。
    そして、女性が性的に搾取されることなく、夢を実現できる社会の実現に向けて
    これからも力を尽くしていきたいと思います。
    ※ なお、ヒューマンライツ・ナウ関係者は被害者の一部の方から記事が掲載される直前に、告発に関わる相談を受けていました。
    性被害の告発は、報道直後に二次被害が発生することが多々あり、告発をされた当事者に社会的名声がある場合、その業績を強調して匿名で名乗り出た被害者の信ぴょう性を疑問視したり、被害者を傷つけることがあります。
    そうした材料を提供するのは適切ではないと判断し、同氏に関する記載を非表示にする扱いを取りました
    今後の対応については団体内で協議のうえ決定いたします。
    >ヒューマンライツ・ナウ事務局長 伊藤和子

    伊藤詩織氏に対し、上記の矛盾を問いただしたい、同じく、伊藤和子弁護士にも。

    御返信は不要です。

  6. アバター 野崎 より:

    コピペに失敗しました(>_<)、以下を補足します。

    伊藤氏は自分を支持する者達の誹謗中傷は許し、
    自分を支持しいない者達の誹謗中傷は許さない、ということか?

    以下補足⇓⇓⇓
    はすみとしこ氏が受けている誹謗中傷に対してははどうなのか?

    山口氏をレイプ犯であるとし、レイプ―シーンを漫画化し公開した小林よしのり氏と、はすみとしこ氏のイラストとの相違は何なんなのか?

    伊藤氏は小林よしのり氏に山口氏に対する慰謝料の支払いを促すべきだろう。

    伊藤氏らの目的は、言論、表現の自由の封殺であり、自分たちに都合の良い言論空間の実現である、それは実質的ファシズムである。

    なお、はすみ氏に対し名誉棄損であり500万支払えという伊藤氏の弁護士からの通知は木村花氏の自殺以前に届いたとのことである。

    はすみ氏に6月27日の時点で未だ訴状は届いていないとのこと。

    提訴すれば上記の問題が露呈することに気づいたのか?

    御返信は不要です。

  7. アバター 匿名 より:

    「お疲れ様です」って、山口氏からしたら性行為のことかと思っても仕方ない?

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