伊藤詩織ジャーナリスト書類送検に弁護士「影響なし」

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松田 隆🇯🇵 @東京 Tokyo🇯🇵

松田 隆🇯🇵 @東京 Tokyo🇯🇵

青山学院大学大学院法務研究科卒業。1985年から2014年まで日刊スポーツ新聞社に勤務。退職後にフリーランスのジャーナリストとして活動を開始。

 虚偽告訴及び名誉毀損で書類送検されたという伊藤詩織ジャーナリストが杉田水脈衆議院議員に損害賠償を求め提訴した件で10月28日、担当弁護士が書類送検は民事訴訟に影響がないと当サイトの取材に答えた。一方で8月20日の弁護団の記者会見で一部弁護士が「性犯罪の被害者」と繰り返し語った点については、回答を避けた。

■書類送検事実でも事実でなくても「関係ない」

伊藤詩織ジャーナリストは書類送検されたという(写真はイメージ・有斐閣判例六法より)

 杉田水脈衆議院議員に損害賠償を求め提訴した件では、佃克彦弁護士が担当し、8月20日の記者会見で提訴の趣旨を説明している(参照:伊藤詩織弁護団こそ名誉毀損ではないのか)。杉田水脈議員がツイッターで伊藤ジャーナリストを中傷する投稿に繰り返し「いいね」を押したことで、名誉感情を侵害されたとして損害賠償請求を行ったものである。10月21日に東京地裁で第1回の口頭弁論が行われ、被告の杉田水脈議員は出廷せず請求棄却を求めた。

 ところが、それに先立つ9月28日にTBSの元ワシントン支局長の山口敬之氏による警視庁への告訴にかかる書類及び証拠物が東京地検へ送付(いわゆる書類送検)されていたと、山口敬之氏が明らかにし、10月26日に当サイトや、弁護士ドットコムなど一部メディアが報じたのである。

 仮に書類送検が事実であり起訴ー有罪ということになった場合、伊藤詩織ジャーナリストへ行われたとする中傷は事実と認定される可能性がある。その場合「いいね」を押すことで受けた名誉感情を侵害されたという主張の根拠が揺らぐ可能性が出てくるように思える。

 その点を佃克彦弁護士に電話で聞いたところ「告訴の件は僕は関与していないので、直接は知らないです。それが事実であろうが、事実でなかろうと別に本件には関係ないし、僕は別にもちろん続けますし、何の影響もないです。」との見解であった。

■「言葉尻をとらえるような質問」

 佃弁護士がなぜ「関係ない」「何の影響もない」と考えるのか、その理由は判然としない。訴訟担当として、訴訟を続けていく気持ちは持ち続けているということが言いたかったのかもしれない。それは訴訟担当の弁護士としての考えなのでいいだろう。

 しかし、8月20日の記者会見で山口元一弁護士が確認できるだけで3度「性犯罪の被害者」と伊藤詩織ジャーナリストを表現したことについては、山口敬之氏に対する名誉毀損である疑いが強く、同席した弁護士として責任は全くないとは言えないのではないか。山口敬之氏はその告訴にかかる被疑者とされる伊藤詩織ジャーナリストとの性行為について起訴すらされておらず、しかも検察審査会は「不起訴相当」の判断を下している。その点についても会見に同席した弁護士としてどう考えているのかを聞いた。以下、そのやりとりを記す。

松田:記者会見の時に山口元一弁護士が、しきりに「性犯罪の被害者」ということをおっしゃられ、確認したら3回ほどおっしゃられていました。伊藤詩織さんが性犯罪の被害者だと。これが山口敬之氏が不起訴になって、しかも検察審査会も不起訴相当の決定がある中で、性犯罪の被害者というのは不適切な言葉だと思います。山口敬之氏の名誉を毀損するものではないかと思いまして、同席されていた先生も訂正を求めるようなことをされなかったので、これは(佃)先生もそのような認識に立っていらっしゃるのかなと思い、そこをうかがいたいと思います

佃弁護士(以下、佃):そこというのは?

松田:先生も伊藤詩織さんは性犯罪の被害者とお考えなのかなと

:そういう言葉尻をとらえるような質問をされても、僕はイエスともノーとも答えられないですよ、そんなこと。

松田:その場にいらっしゃって、「それは不適切ではないですか」とおっしゃらなかったのは、そういう認識で弁護団の方がおっしゃられているのかなと思いまして

:別にそんな言葉の端々まで、そんな意を払って聞いてないですから。山口(元一弁護士)さんが何を言ったか。

松田:(佃)先生ご自身は伊藤さんのご担当をされている中で、彼女を性犯罪の被害者だと思ってらっしゃるんですか

:だから、そういう言葉尻をとらえるような質問に対してはイエスともノーとも答えられないと、さっき言いました。

■事態は緊迫の度を増し…

 佃克彦弁護士は法学を学ぶものなら誰でも知っている「石に泳ぐ魚出版差し止め事件」の裁判を担当した高名な法曹である。その法曹が「性犯罪の被害者」という法的な意味を持つ言葉を「意を払って聞いてない」ということがあるのだろうか。私のような凡人でも、すぐに反応したのだが…。

 伊藤詩織ジャーナリストの問題は年内には起訴・不起訴の結論は出るものと思われる。その場合に係属している民事訴訟がどのような展開となるか、事態は緊迫の度を増している。

※伊藤詩織氏の呼称について:通常、書類送検された時点で被疑者であり呼称を「容疑者」とすべきと考えますが、東京地検が書類送検の事実を明らかにせず、確認ができないことから「伊藤詩織ジャーナリスト」とし、適宜、「被疑者とされる」を付します。書類送検の事実が確認できた時点で当サイトでは「容疑者」の呼称に切り替えます。

5 thoughts on “伊藤詩織ジャーナリスト書類送検に弁護士「影響なし」

  1. アバター 名無しの子 より:

    もう、呆れて物も言えません。
    この方々には、弁護士としての誇りというものがないのでしょうか。
    普段、相手の言葉尻を取るような仕事ばかりしているくせに(はすみとしこ氏や杉田議員を訴えたような案件は、まさにそれですね)、自分達は、なんとかごまかし、逃げようとする。伊藤詩織氏に有罪判決が出たら、この弁護士たちにも、有罪判決を出してほしいくらいです。
    いつもながら、大変納得できる、胸がすっきりするような記事を、ありがとうございます!

    1. 松田 隆🇯🇵 @東京 Tokyo🇯🇵 松田 隆🇯🇵 @東京 Tokyo🇯🇵 より:

      >>名無しの子様

       コメントをありがとうございます。

       佃弁護士には、正直、がっかりです。「言論の自由は何でも言っていいということではない」と記者会見で言ってるそばで、あの発言を見逃していたら、全く説得力がありません。

       取材でお世話になった先生ですが、こういう形で記事にするとは、本当に残念と言うしかありません。

  2. アバター クリスマスローズ より:

    初めまして。
    素晴らしい記事ですね。全てに賛同します。

    被疑者とされる伊藤詩織氏の著書ですが、読者を錯覚させるような文体と構成になっています。顔と名前を出して性被害を訴えたのだから書いてあることは真実に違いない…と、善良な市民は疑うこともしないのでしょう。

    人は、自分が信じたいものしか見えないと聞いたことがあります。信じたいものが揺らぐような内容は、無意識に避けてしまうのだそうです。幸いなことに、私は善良な市民ではない為、被害者ビジネスとはこういうものかとあの駄本から学ばせて頂きました。

    送検前に伊藤氏担当の検事がいるのは何故なのでしょうね。何故何故何故のオンパレードです。凡人の私ですらおかしいと思うのですから、詳しい方などは創作だと見抜くでしょう。不起訴になった相手の実名を挙げ、証拠も出さず(無いから出せない)憶測だけで書いた駄作です。既婚者である山口氏にも反省するところはあるでしょうが、そこを責めるのは配偶者であって、我々ではありません。

    「いいね裁判」は、世論の同情を煽り、自分に不都合な発言の封じ込めを目論んだものと解します。誹謗中傷を問題視するならば、伊藤氏自身の山口氏に対する発言はどうなのでしょう。山口氏から薬を盛られただの、暴力を受けただの、言いたい放題の責任は取るべきです。

    伊藤氏の書類送検をメディアが報じないことも不可思議です。山口氏のことは大々的に報じたのに、あまりにアンフェアです。
    伊藤氏が起訴され、全うな裁きを受けることを切に望みます。人を陥れての成功を許してはなりません。

    山口氏の名誉回復を心から祈っています。

    1. 松田 隆🇯🇵 @東京 Tokyo🇯🇵 松田 隆🇯🇵 @東京 Tokyo🇯🇵 より:

      >>クリスマスローズ様

       コメントをありがとうございます。そして、ご賛同いただけて光栄です。

       「いいね」裁判などについては、伊藤詩織ジャーナリストの背後にいる団体の影を感じます。彼女自身、コントロールできない力が働いていると思います。

       伊藤詩織ジャーナリストが書類送検されたという報道は、僕が知る限り弁護士ドットコムだけです。主要メディアが沈黙している理由は、メディアにいた身としては、理由は分かる気がしますが、そのあたりはまた別の機会に記事を書きたいと思っています。

       この事件も年末にかけてが大きな山になりそうで注目しています。また、ご覧になっていただければと思います。よろしくお願いいたします。

  3. アバター 野崎 より:

    こんばんは

    プロたる弁護士が理解していないはずはない、明確なる人権侵害である。

    いわゆるレッテル張り、印象操作である。
    この手法は東京新聞望月記者のテクニックに同じである。

    望月記者は事実誤認ではなく明確に虚報であることを認識して官房長官記者会見で質問する。
    一度や二度ではない、官邸より東京新聞に対し抗議があり東京新聞は謝罪した。

    望月記者はツィッターにても同じ手法を用い事実無根が指摘されても削除はせず放置したままである。

    記者会見、ツィッターを見たものは、その事実があったかの認識、印象を持つ、それが狙いだ。

    同じ手法といってよいテレビ番組が昨日あった、NHKの川崎市のヘイトスピーチ条例に関しての番組だ。

    川崎では人種差別、在日に対して定期的にヘイトスピーチが叫ばれる集会が行われている、その印象が刷り込まれる構成であった。

    NHKの狡猾さは、

    実際の集会では何を問題とし何を訴えているか、どのような言葉、表現があるかはまったくふれない。
    川崎市の調査ではヘイトに該当する言葉、表現は無かった。

    NHKは集会に対し反差別側から集会参加者につめより罵詈雑言が浴びせられていたことは報じない。
    川崎市長は反対派の人達の言動も酷いといった。

    そして集会参加者に対し暴力が振るわれ刑事告訴された。
    その為駅前集会は囲いの中で警察監視のもとで開催されているのだ。

    ニューズウィーク誌が報じた、反差別という差別が暴走する、の記事の通りだ。

    以前から在日の問題を指摘するデモや行動は暴力、罵詈雑言にさらされて来たのだ。
    入れ墨をした男組なる者達、しばき隊なる組織はその代表であった、デモ参加者は解散後、後をつけられ囲まれたりもした。

    中指立てて、桜井、ブタ、死ね! と叫ぶ香山リカ氏もお仲間だ。
    (お仲間によるとこれはヘイトではないとのこと、私がいうところのアングリースピーチであると)

    NHKは川崎の条例が全国に広まることを期待することを出演者に語らせ、NHKはそれを支持する旨の番組構成であった。

    この弁護士、伊藤詩織氏の背後にいる勢力はこ奴らの仲間だ。
    その証左は、過去の放送、天皇を裁いた、女性国際戦犯法廷、そのネットワークとNHKの関係だ、それは連綿として今も続いており、それが昨日の番組だと考えて良い。

    先のコメントで、こ奴らをファシストとしたが決して大げさであるとは思わない。

    蟻の一穴ということを心すべきだ。
    アメリカでは公にトランプ支持とは言えないと、いうところの同調圧力を通り越しテロられる危惧もあるという。

    言論、表現の自由を委縮させてはならない。

    御返信は不要です。

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