”幽霊写真”で教師をクビ 札幌市教委の無謀
松田 隆🇯🇵 @東京 Tokyo🇯🇵
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当サイトが作成、札幌地裁に提出した調査報告書の内容をお伝えする企画の最終回をお届けする。中3の時に教師にわいせつな行為をされたとして市教委に当該教師の処分を求めた写真家の石田郁子氏が提出した写真には、あるべき場所に影がない”幽霊写真”であった。合成の際に影の存在を失念したのか、一見して不自然なショットとなっている。調査報告書では、以前に連載「免職教師の叫び」で伝えた3DCGソフトを用いての検証をあらためて行った。
◾️3DCGソフト・Shade 3D Ver.23 Standard
当サイトでは石田氏がフジテレビに提供した同氏と元教師の鈴木浩氏(仮名)がオコタンペ湖の展望台で撮影したとされる写真を3DCGソフトを用いて再現し、本来ならあるはずの影がないことを検証し、写真は合成であるとの結論を導き出した(免職教師の叫び(18)オコタンペ湖写真を検証、(19)影なき闇の不在証明)。
今回、鈴木氏の弁護団からこの内容を調査報告書にまとめてほしいとの依頼を受けたことは過去に説明したとおり(”被害女性”フェイク写真の証拠 透けて見えた背景)。免職教師の叫び第19回の内容をそのままを提出すればいいが、2021年8月15日の公開後、新たに判明した事実もあるため、あらためて最新版の3DCGソフト(Shade 3D Ver.23 Standard)を用いて検証した。
2021年にはフジテレビで放送された写真のスクリーンショット(写真②)をベースにしたが、今回は石田氏が市教委に提出した写真①があるため、それを使用。これはフジテレビの写真が正面から撮影したものではなく、写真の下部から撮っているため、写真の上部と下部の大きさ(カメラに近い下部の方が大きい)が異なるためである。
旧オコタンペ湖展望台(現駐車場)の正確な図面を、北海道情報公開条例に基づき空知総合振興局札幌建設管理部(当時は北海道札幌土木現業所)に開示請求して入手。オコタンペ湖の看板が展望台の前を走る道道78号に対してどの程度、角度があるのか(どの方向を向いているのか)を現地調査を含めて確定した。結果、看板は北の方角から40度西向きであることが判明した。
こうして基本的なデータを集めた後は前回と同じ方法で3DCGソフトを作成していく。基本的な手順は以下である。
(1)支柱と影の比率を計算→1:3.71
(2)支柱と影の両先端を結ぶ直角三角形から、太陽高度を確定→15.09度
(3)オコタンペ湖展望台の正確な場所を確定→北緯42.476度、東経141.161度
(4)石田氏が撮影日とする8月18日の同地での太陽高度15.09度の時刻を確定→概ね17時5分
これらのデータをShade 3D Ver.23 Standardに入力すれば、影がどのようにできるかが分かる。
◾️幽霊写真と呼ぶに相応しいショット
このようにして出来上がったのが、調査報告書で用いた数字をそのまま使用するが、写真⑨である。当然のことながら、影の角度や長さは写真①と似たものになっている。そして、看板の前に座る石田氏の右半身(向かって左)には支柱とビーム(横棒)がはっきりと投影されている。このことはほぼ真横からのアングル(写真⑩)でさらにはっきり分かる。
ここで写真①をご覧になっていただきたい。石田氏の右半身は太陽光がまともに照射されており、影が全く確認できない。現場を再現した3D画像にはある影が、石田氏が提出した写真にはない。
もう答えはお分かりであろう。写真①を撮影時、即ちオコタンペ湖展望台で撮影者がシャッターを押した時に、石田氏は看板の前に座っていなかったということである。
その前提で写真①をもう一度見ていただくと、この写真の不自然さが分かる。つまり支柱やビームの影は手前(撮影者の方向)に延びていることから、太陽は支柱と柵の後方にある。ところが、石田氏の右半身に影がなく、向かって左に太陽がある。つまり、太陽光源が2つ確認できる。こうした”幽霊写真”は、オコタンペ湖展望台と石田氏と鈴木氏のツーショット写真を合成したことによってできるのは、これまでに示した証拠からして明らかである。
この事実を連載(19)影なき闇の不在証明で明らかにした後、当サイトでは2021年8月16日、石田郁子氏に彼女の弁護士を通じて取材を申し込み説明を求めた。翌17日に弁護士から戻ってきた回答は「石田さんに確認したところ、現在多忙のため今回は遠慮いたします、とのことでした。」であった(参照・免職教師の叫び(20)沈黙する石田郁子氏)。
◾️フェイク写真以外は全て真正なのか
調査報告書では既に明らかにした背景が透けて写っていること(参照・”被害女性”フェイク写真の証拠 透けて見えた背景)、人物の周囲に合成した際の痕跡と思われる黒い領域があること(参照・偽造の痕跡くっきり フジ放送フェイク写真)などに加え、この”幽霊写真”の検証をまとめて調査報告書とした。
当サイトは、石田氏が鈴木氏の免職を求めて”幽霊写真”と言える写真①を市教委に提出したと結論づけた。これに対して札幌市教委がどのような反論をしてくるかは分からないが、考えられるのは「写真は合成されたものだとしても、そのことが直ちに鈴木氏がわいせつな行為をしていないことの証明とならない」という主張である。
そうした言い分は論理的には成立するのかもしれないが、そうであれば「相手を免職に追い込むためにフェイク写真を作成・提出した人が、そこだけ虚偽を申告し、それ以外は全て真実を語ったと考える根拠は何か」と鈴木氏サイドから聞かれた場合にどう答えるかである。
石田氏は札幌市と鈴木氏に対して損害賠償を求めた裁判で、5つの性的被害を受けたと主張している。(鈴木氏のアパートで告白されてキスされた)に始まり、(小樽市の塩谷丸山に登り、山頂付近で口腔性交をした)というAVのような行為である(免職教師の叫び(4)疑わしい元教え子の主張)。ところが、この5つの行為について鈴木氏は全てアリバイを主張し、当日、行為に及ぶどころか会ってもいないとする(免職教師の叫び(5)まるでAV元教え子の証言)。
写真はフェイクであるが、残る5つは鈴木氏がアリバイの存在を示して否認しているにもかかわらず真実を語っていると判断するのはいかにも苦しい。それで免職にした市教委の判断は無謀と言っていいように思う。実際、当該損害賠償請求では原告(石田氏)の弁護士は写真①を証拠提出していない。石田氏が交際と思わされて性的被害を受けていたと主張する唯一と言っていい物証を提出しないことは軽く見るべきではない。
◾️真実追求の一助に
これまでの3本の記事を含め、以上が、筆者(松田隆)が作成・提出した調査報告書の主な内容である。これに加え、同報告書を補充する調査報告書②も同時に提出した。調査報告書が客観的事実のみを記したのに対して調査報告書②では、それに対する私見も加えた。
1つ紹介したいのは、オコタンペ湖展望台での写真で石田氏が看板の前で座っていることの不自然さである。写真①で明らかなように、看板の「オコタンペ湖」の文字は独特の趣があり、普通であれば座らずに頭の近くにこのユニークな文字が入るように立って撮影する。
ところが、石田氏は看板の前に座っている。そもそも2人の写真は大通り公園で撮影されたものと鈴木氏は話している。大通公園には多くの花壇があり、撮影する際に立ってしまうと、背丈の低い花が足元に来てしまい、美しい写真を撮る上では得策ではない。しゃがみ込んで背景に花が来るようにするのが美しい撮り方である。
石田氏がしゃがんでいるのはそうした事情があるのではないかという観測を加えた。もちろん、これは筆者の憶測でしかない。ただ、想像していただきたい。写真①のような風景で女性がツーショット写真を撮る場合、特徴的な看板の前で石田氏が写っているようにしゃがむ人は少ないのではないか。
こうした事実を摘示した調査報告書を札幌地裁はどのように判断するのか。真実追求の一助になればという思いを胸に、筆者は今後の裁判の行方を見守っていく考えである。
(この項おわり)
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