免職教師の叫び(18)オコタンペ湖写真を検証

The following two tabs change content below.
松田 隆🇯🇵 @東京 Tokyo🇯🇵

松田 隆🇯🇵 @東京 Tokyo🇯🇵

青山学院大学大学院法務研究科卒業。1985年から2014年まで日刊スポーツ新聞社に勤務。退職後にフリーランスのジャーナリストとして活動を開始。
松田 隆🇯🇵 @東京 Tokyo🇯🇵

最新記事 by 松田 隆🇯🇵 @東京 Tokyo🇯🇵 (全て見る)

 中学・高校時代に元教師の鈴木浩氏(仮名)から性的暴行を受けたとする写真家の石田郁子氏が、オコタンペ湖(千歳市)の展望台で撮影したとする写真の検証を行った。これまで1990年代に撮影された写真や、2001年に実施された整備工事の資料などから撮影年代の特定を行い、その延長上で写真の真偽の判断を試みてきたが確定的な結論は得られていない。今回は撮影時の状況をバーチャル空間上で再現し、写真の真正性について調べた。

■3DCGソフトで現場を再現

写真①フジテレビ画面から

 石田氏が鈴木氏とともにオコタンペ湖の展望台で撮影したとするショット(写真①)は、フジ テレビ系のニュース番組で昨年9月30日に放映され、現在はそれをトリミングしたと思われるものが同局のホームページに掲載されている(参照:性暴力を受けた少女は「交際」と信じた 教師のわいせつはなぜ裁かれなかったか)。

 写真①はネット上で(フェイクではないか)という声は上がっていた。「先生(鈴木氏)の影がない」「先生の足の影が細すぎる」「先生は大きすぎ、石田氏は小さすぎる」など。影の部分はともかく、体の大小については写真自体を歪めて放送したようであり、それが影響している可能性はある。一見して不自然なショットに思えるが、それが直ちに真正性を否定する要素とはなり得ない。

 また、鈴木氏の右足の影が細く、バックの柵の支柱の影ではないかとも思えるが、フィギュアを使った実験では影は長く延びて足の影も細くなっているため決定的な要素ではない(参照・連載(14)先生の影)。

 そのため、今回は現場でどのように影ができるのか、3DCGソフトを用いて現場を再現し、再現されたシーンと写真①とを比較して写真の真正性を確認することとした。使用ソフトは「Shade 3D ver.22 」(株式会社フォーラムエイト)。このソフトを使用したのは、無限遠光源(太陽のように極めて遠い光源)の設定が可能な上、特定の場所、日時の太陽光を再現できるからである(Standard、Professional版のみ)。

■オコタンペ湖展望台を再現

画像A(製作・松田隆)

 まず、現場の工作物の構築から始めた。ビーム(横棒)4本と支柱を制作。この時、写真①や川本一俊氏提供の1999年10月10日撮影のショットを参考に、支柱の高さは110cm程度とし「支柱の高さ:支柱の間隔=2:3」と設定した。

 なお、便宜的にビームは下からビーム①~ビーム④とし、支柱は左から支柱①~支柱⑤とした。ビーム①~ビーム④は等間隔とし、ビーム①と地面の間はビーム間の距離よりも短くした。比率は概ね2:3である。

  また、看板は高さおよそ2mに設定。石田氏の頭部の影に影響すると見られる下のパーツの向かって左部分を写真①の形状を模す形とした。

画像B(製作・松田隆)

 こうして出来上がった3D画像が画像A。これに鈴木氏(身長174cm程度)と石田氏を組み合わせていく。まず、石田氏は看板の向かって左に座っており、頭は看板の下のパーツにかかっている。頭の先端がビーム④とビーム③の間に位置している。看板を支える柱よりは少し前に足が出ているが、正面から見て想像する限り、臀部は看板の後ろに出ていると思われる。

 続いて鈴木氏だが、写真①では分かりにくいが、支柱③の正面に立っている。左肘の下のあたりから支柱③がわずかに見えている。この支柱③の存在は川本一俊氏が提供した1999年の写真では立っている女性の真後ろで存在が確認できない。しかし、石田氏と思われるX氏が提供した写真には写っており、その存在が確認できる。X氏とは写真は許可なく公開しないという約束のために公開はしないが、まずは写真①で支柱③の存在を確認していただきたい。 

画像CとD(製作・松田隆)

 前後の位置関係だが、前述のように石田氏は柵のすぐ前(臀部が看板の後ろ)で、鈴木氏はそこから若干、手前になっている。見た目では1m以下と思われるがそのあたりは微妙である。

 鈴木氏の位置については、写真①ではビーム③の影よりは大きく石田氏寄りで、右足がビーム②の影の上付近にある。後述する推測される太陽高度を設定した時に、ビーム②の影の近辺に右足が来るように設定してある。

  以上のようにして2人を設定した3D画像が画像Bである。やや角度をつけた画像C、真横から見た画像Dも示しておく。

 出来上がったモデルは寸分違わぬ再現とは言わないが、少なくとも影のでき方については実際の状況に近い状態を再現できると言っていいのではないか。

■太陽高度から撮影時間を設定

 光源を入れる前に、日時の設定が必要となる。「Shade 3D ver.22 」の太陽設定を有効にし、場所の緯度経度を入れる。オコタンペ湖展望台は北緯42.8018887度、東経141.2654721度(MapFanから)。それを「Shade 3D ver.22 」に入力すると、北緯42.80189度、東経141.26547度と、小数点以下第6位で四捨五入される。

 さらに真北の確定。これはGoogle マップでストリートビューを利用して周囲を見ると、看板を正面にして右方向およそ28.5度が真北となっており、360度から28.5度を減じた331.5度と入力する。

 問題は撮影時間。写真①がいつ撮影されたのかは分からない。人物の服装からして夏のように思えるが、人物が合成されている可能性を考えると、夏以外に撮影した可能性もないわけではない。

 ただ、石田氏は服装から高校3年の頃の夏に撮影したものとしてフジテレビに提供していると考え、夏休みの8月1日として、太陽高度から時間を逆算することとした。日付が合っていなくても、太陽の高度を正確に再現できれば同じ影ができるので問題ない。

写真② tamuu氏がフジテレビが放送した画像を修正(同氏提供)

 太陽高度を測るために参考となるのは支柱②とその影である。支柱②の影は再現実験から鈴木氏の右足から伸びている影であることは間違いなく、その比率を調べると、支柱②の高さ:支柱②の影の長さ=1:4.13程度になっている。支柱②の影は写真①では先端部分が切れているので、概略その程度と思っていただきたい。

  もっとも写真①はテレビ放送時に歪んだ形で紹介されているとされる。映像関連の仕事をしているというTwitterのアカウント「tamuu」氏が歪んだものを修正(変形の歪み遠近法を適用とのこと)してくれた画像が写真②で、それによると支柱②の高さ:支柱②の影の長さ=1:4程度になっている。

 そうなると支柱②を1とすると、影の長さは4~4.13の間と思っていい。この場合、直角を挟む2辺が1:4と1:4.13の直角三角形の斜辺と、影に相当する辺(支柱に見立てた辺ではない方の辺)が作る角度(本件では最も狭い角度)θが太陽高度となる。「Ke!san」というサイトで数値を入れるとθが求められる(Ke!san・直角三角形)。

 それによると、1:4の時はθ1=14.03度、1:4.13の時はθ2=13.61度となる。つまり太陽高度は14.03度~13.61度となる。これを石田氏が主張していると考えていい1996年(フジテレビのネット記載の高校3年の頃→実際は大学1年)の夏、例えば8月1日だと何時頃になるかを求める。これも先程の「Ke!san」を利用すると簡単に出る。(Ke!san・太陽高度(一日の変化)

 8月1日の太陽高度は17時30分に14.13度、17時45分に11.46度となっており、もし、8月1日に撮影されたものであれば、17:30~17:45の15分間にシャッターが押されたことになる。1分間に0.178度低くなると考えれば17時31分には13.952度、同32分には13.774度。修正された写真の数値に近く、元の写真からもそれほど離れない高度と思われる17時32分を設定することとした。もちろん、その前後の時刻も再現して比較していく。

■真実照らすオコタンペ湖の夕日

 こうして1996年8月1日17時32分に太陽を設定し、作られたモデルに太陽光を照射させてみた。オコタンペ湖の夕日が真実を照らす瞬間である。

 石田氏の写真はフェイクか、それとも真正か。詳細は次回に。

第19回に続く)

第1回に戻る)

3 thoughts on “免職教師の叫び(18)オコタンペ湖写真を検証

  1. アバター 月の桂 より:

    科学捜査の域に入って来ましたね。
    写真がフェイクだと証明出来たら、今後、どのような展開になるんでしょうね。

    市教委に提出された鈴木氏が石田氏の両親宛に出したとされる手紙は手書きでしょうか。手紙の筆跡鑑定は無理なのでしょうか。ご両親が健在であれば、直接聞きたいところですが。*別記事のコメントに、鈴木氏が石田氏の「母親宛」に出した手紙と誤記しましたが、「両親宛」です。

  2. アバター 真実 より:

    紹介されていたフジ テレビのサイトの記事の中で、

    知人からの性被害はそれが「犯罪」だと気づくまでに時間がかかることもある。
    ときには数十年かかるというケースはこれまで多く報告されている。

    この文章とほぼ同じ文章を現在民事裁判の原告も書いていた。
    その支援団体の声明文でも、左翼系雑誌の記事の中でも見た。
    誰か(有名弁護士)が、この考え方を本に著していて、これをなぞっているようだ。

    私が一番違和感を感じたのが、上記の部分。
    なぜ、数十年もたって、訴訟を起こすことになったのか、
    そこまで怒りが持続していることが不思議で仕方ない。
    通り魔的犯行ならトラウマになることは理解できる。
    彼らは、被害者(とする)側に、いくらかの同意がある場合に(一緒にお酒を飲みにいったりする関係の中で)、上記文章を記載する。
    この支援団体らは、被害者側の気持ちを無視しているのか、
    自分らの都合のよいように、脚色しているように思える。

    1. アバター 月の桂 より:

      真実 様

      性犯罪の加害者は知り合いであることが多く、特に被害者がそれを犯罪であると認識出来ない年齢の場合、時間が経過してから気付くこともあるかと思います。石田氏も偶然傍聴した裁判で、自分の過去の被害に気づいたということですし。ずっと怒りを持ち続けたというより、被害に気付いたから罰したい気持ちになったのでしょう。それが、真実ならばですが…。
      意地悪な見方をすれば、石田氏はこの状況を利用したように感じます。教員による性犯罪が問題化していますし、「これ、使える」と思ったのか…。
      支援側にとっても「被害者」は活動する上で有益な存在です。被害実態の有無は些細なことで、被害申告さえあれば良しなのでしょうね。写真家やジャーナリストのような「顔と名前を売りたい人間」にも、支援組織は有難い存在。双方が協力しあって、互いの利益を得ているように思え許し難いです。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。