朝日にこそファクトチェック 3年前の虚偽記事
松田 隆🇯🇵 @東京 Tokyo🇯🇵
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偽情報対策のファクトチェック機関「日本ファクトチェックセンター(JFC)」が10月1日に設立される。編集長は元朝日新聞記者で、BuzzFeed Japanの編集長も務めた古田大輔氏。その下に朝日新聞出身の2人のエディターが付く体制で、報道機関は対象外とする。当サイトでは3年前に朝日新聞の記事をファクトチェックしたことがあるが、全く事実と異なることが明らかにした。報道機関こそをファクトチェックすべきなのに、日本ファクトチェックセンターに存在意義があるのか疑問が残る。
■報道機関のチェックはしない?
日本ファクトチェックセンターは、アルプス システム インテグレーション株式会社取締役の中山明氏が会長を務めるセーファーインターネット協会が立ち上げる組織。JFCのホームページによると「非営利で運営され、インターネット上の不確かな情報を中心に、証拠に基づいて真偽を確かめる」(同センターHP・JFCについて)ことなどを目的とするという。
チェック対象は基本的にはSNSなどで配信されている情報で、報道機関の記事は対象外。その理由について「運営委員会事務局長を務める吉田奨氏は、『報道機関はそもそも自身で事実を確認して報道することが使命であり、そこは報道機関自身に委ねる』」(Impress Watch・「日本ファクトチェックセンター」設立。Googleが150万ドル)と説明された。
SNSで個人が掲載した写真や事実をファクトチェックすることに意味がないとまでは言わない。しかし、SNSは報道ではなく、報道のような写真や動画、記事の外形であっても個人が正確な報道を心がけて情報を提供しているわけではないことは、見る者も当然の前提としている。
その有象無象の情報をいちいち「これは本物」「これは偽物」と言うことに、それほど意味はない。それよりも、多くの人が「真実に違いない」と信じる報道機関の情報こそをファクトチェックすべき。間違った報道によって多くの人をミスリードし、その結果、国民に被害が及ぶのを事前に防ぐという意味で、報道機関の情報こそファクトチェックの必要がある。朝日新聞の慰安婦報道が早い時期にファクトチェックされていたら、その後の歴史は変わっていたはず。
それを『報道機関はそもそも自身で事実を確認して報道することが使命であり、そこは報道機関自身に委ねる』とする時点で、この試みは成功しないと思われる。治安を守る警察官が犯罪など犯すはずがないと思うかも知れないが、警察官による犯罪は実際には発生している。しかし、警察官による犯罪が疑われてもJFCの言い分では「警察官は正義を守ることが使命であり、そこは警察官自身に委ねる」と捜査をしないことを宣言するに等しく、その非合理性は言うまでもない。
■時間の無駄でしかない検証
実際にJFCのホームページを見ると、ファクトチェックの検証例がいくつか掲載されている。たとえば「『エリザベス女王が食べ物を投げ与える』は別人の動画」、あるいは「『台風で駅が浸水しても陽気なスウェーデンの人々』は本物」など。
他のサイトを見て、それが真実であるか虚偽であるかを検証しているのである。前者のエリザベス女王の虚偽の動画の検証はまだいいとしても、後者のスウェーデンの人々の動画の信憑性については、疑問が残る。
これは台風で駅が浸水し、そこでスウェーデン人と思われる人が浮き輪を使って水に浮かんで楽しんでいるという動画。この真偽について、ツイッターで異なるユーザーが同じ場所で撮ったと見られる別アングルの画像や動画の存在を真実の根拠の1つとしている。しかし、その別アングルの画像や動画がフェイクの可能性を検証した形跡はない。
また、「地元メディア『The Local』にも『豪雨による洪水後、鉄道駅の地下道で泳ぐスウェーデン人たち』という記事が出ており、ビジネス・インサイダーの記事もある。」(JFCホームページ・「台風で駅が浸水しても陽気なスウェーデンの人々」は本物)としているが、その記事があるからといって、その動画が真正である保証はない。その記事を見て、虚偽の動画をつくった可能性を検証せずに本物とするのは不十分と思える。ファクトチェックと胸を張って言えるレベルの検証ではない。
しかし、問題は他にもある。より大事なことは、そもそも、鉄道駅の地下道で泳ぐスウェーデン人の動画が真実なのか虚偽なのかなど、日本人にとってはどうでもいいということ。仮に虚偽という結論だったとして、それによって世論がミスリードされるというものではなく、また、ミスリードされたからといって何か問題が生じるわけではない。要はどうでもいいことをあれこれ言っているだけであり、検証も、その検証を読むことも時間の無駄と言い得る。
■朝日新聞の記事をファクトチェックした3年前
結局、これらの検証を見る限りではJFCは検証する必要のないSNSの記事を検証し、検証しなければならない報道機関の検証をしない、役に立たない団体であると言っていい。
この後、さまざまな検証をするのであろうが、朝日新聞の報道に反するような記事や写真、動画を探し出し、ファクトチェックを名目に朝日新聞への批判を緩和させる目的で活動する可能性はある。たとえば、9月28日に公開された「『沖縄県知事選3ヶ月前から那覇市だけでも100人以上人口増』は不正確」という検証は沖縄県知事選の公正さ、玉城デニー知事の正当性を強調する政治目的を有しているように見えなくもない。
実は当サイトでは3年前に朝日新聞の記事をファクトチェックしている。2019年8月23日に公開された「対立泥沼化、韓国人客が激減 観光地『いつまで続く』」という記事である。これは当時、日韓関係がこじれ、韓国人が日本行きを次々と取りやめ、福岡県柳川市の観光船「どんこ舟」の8月の韓国人客がゼロになったというもの。
韓国人客がどんなに減っても1組ぐらいはいそうなもので、その点、朝日新聞の記事にはどこか「虚偽の匂い」がする。そこで、実際に取材を受けた会社に電話で問い合わせたのである。その結果をまとめて記事にした(参照・「韓国人客はゼロ」(朝日新聞)→取材対象「ゼロではない」)。
詳しくは参照記事を見ていただきたいが、取材を受けた大東エンタープライズの担当者は、はっきりとゼロではない、と話した。その電話でのやり取りを当該記事から再現しよう。
松田:記事によると、8月の韓国人客はゼロであったということですが、本当でしょうか
担当者:ウチが「どんこ舟」と一緒に、うなぎ屋もやっています。うなぎ屋の方は確かに8月は韓国からのお客様はゼロです。「どんこ舟」の方に関してはマックス時の状態からすると、1割に満たない程度です。激減しています。
松田:そうすると、どんこ舟の韓国からの観光客がゼロというのは…
担当者:それは違いますね。どんこ舟の韓国人客はウチについてはゼロではありませんでした。激減はしていますが。
松田:記事はご覧になったと思いますが、「ちょっと話が違うんじゃない?」という感じでしょうか
担当者:記事では「責任者によると」となっていましたが、社長が取材を受けていたみたいで、その場に自分がいたわけではありません。ですから、どういう話をしていたのか分かりませんが、多少違う部分があるかなとは思います。(韓国人が)減っていることには違いはないのですが。
3年前に朝日新聞の記事をファクトチェックしたら、この有り様。やはりチェックすべきは報道機関であるのは間違いない。それをしない時点でJFCの暗い未来も見えているように思う。
デモ参加者数を主催者発表を鵜呑みにして報道している輩がファクトチェックに耐え得るはずもない
『BPO、放送倫理審査番組向上機構こそ審査しろ!』
に続いて
『JFC、日本ファクトチェックセンターこそファクトチェックしろ!!』
という事ですね。
CLP、BJの名前が変わって大きなスポンサー(グーグル&ヤフー)がついただけじゃないの?
「ファクトチェック対象外の報道機関」が言った間違った事を
例えばユーチューバーが全く同じ事を言ったとしたら
そのユーチューバーはファクトチェック対象になりえるんですかねぇ?