新宿ゴールデン街はゴーストタウン化

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松田 隆🇯🇵 @東京 Tokyo🇯🇵

青山学院大学大学院法務研究科卒業。1985年から2014年まで日刊スポーツ新聞社に勤務。退職後にフリーランスのジャーナリストとして活動を開始。

 多くのスナックが並ぶことで知られる東京・新宿のゴールデン街は今、ゴーストタウンのようになっている。外出自粛の影響で日本有数の歓楽街も火が消えたようになっている。

■静まり返るゴールデン街 ドアには休業の張り紙

ネオンの消えたゴールデン街(撮影・松田隆)

 ネット媒体の記事の取材のため4月23日午後6時前、東京・新宿のゴールデン街を訪れた。新型コロナウイルスの感染拡大防止に伴う自粛の要請いつもは多くの人が行き交う地域は静まり返っていた。まだ明るい時間帯とはいえ、たまに見る人影といえば、取材用の機材を持った報道関係者と思しき人たちである。

 ほとんどの店のドアには休業を知らせる張り紙がされている。店を開けていなければ、通る人もいないのは当然。

 すっかり日が落ちた午後8時に再び足を踏み入れると、その寂しさは際立っていた。街灯が道を照らす中、色とりどりの看板はほとんど火が灯されていない。1つの道路に50軒前後の店がひしめき合っているが、室内の電気がついているのは1軒か2軒程度。それも営業ではなく、店内の掃除などに訪れているようである。

 4月10日に東京都が「新型コロナウイルス感染拡大防止のための東京都における緊急事態措置等」を発表。バーは(遊休施設等)に含まれ、基本的に休止を要請する施設とされているため、営業できないというのが実際のところであろう。中に1軒か2軒、営業している店があるが、それらは休業要請の対象ではない食事提供施設と思われる。

 営業はしていないが店にやってきた関係者に聞くと「ご覧の通り、やっている店はほとんどありません。自粛ムードが出てから徐々に営業をする店が減り、4月7日の緊急事態宣言が出た後は、この状態です」とのこと。

 昭和の時代に多くの文士や著名人が通って有名になった飲屋街は今、ゴーストタウンのようになっている。

■警棒を片手に歩く警察官「あなた新聞記者?」

歌舞伎町を巡回する警察官(撮影・松田隆)

 歌舞伎町に足をのばすと、さすがに道ゆく人は多くなるが、それでも通常時に比べるとかなり少ない。新宿コマ劇場があった付近の人出も見た感じで半分以下の印象。警察官の姿ばかり目につき、話題になっている警棒を持って繁華街を歩き自粛を呼びかける警察官も見かけた。

 彼らの写真を撮影する報道関係者らしき人もいて、僕も写真を撮影すると、すぐに警察官と一緒にいたスーツ姿の男性が近寄って「新聞記者? ネットにアップしたりします?」と聞いてきた。男性が新宿署の署員と名乗ったので、こちらも名刺を渡してフリーランスのライターであることを示すと「ありがとうございます」と丁寧にお礼を言われた。

 なぜ、新宿署員が声をかけてきたのか分からないが、報道関係者でない人間であれば外出せずに自粛を促すというようなマニュアルになっているのかもしれない。

■夜の新宿駅もガラガラ…トンネルいつまで

午後9時前の新宿駅中央東口改札付近(撮影・松田隆)

 歌舞伎町では当たり前のことだが、外国人の姿が目についた。特に店舗の関係者と思われるアフリカン系の男性がたむろしているのは、いつも目にする光景。また、日本語があまり上手ではない、アジア系の女性が「元気?」と声をかけてきたが、客引きの一種なのか。彼らは自粛とは無縁な存在なのかもしれない。

 夜のJR新宿駅も際立って人が少ない。中央東口、撮影時間午後8時55分で写真のような状況である。当然、帰りの電車もかなり空いており、7人がけの長椅子式座席に5人ぐらいしか座っていない。皆、間隔を取って座って「密」状態を回避している。乗客の間の暗黙の了解なのであろう。マスクをしていない人も見かけられなかった。

 4月7日の緊急事態宣言発出以来、新宿はすっかり様変わりしてしまった。我々が良く知る新宿はそこにはない。一体、いつまでこのような状態が続くのか。トンネルの先はまだ見えない。

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