鮫島浩氏 朝日退職で商品価値暴落に気付け

The following two tabs change content below.
松田 隆🇯🇵 @東京 Tokyo🇯🇵

松田 隆🇯🇵 @東京 Tokyo🇯🇵

青山学院大学大学院法務研究科卒業。1985年から2014年まで日刊スポーツ新聞社に勤務。退職後にフリーランスのジャーナリストとして活動を開始。

 朝日新聞政治部の元デスクの鮫島浩氏が5月末をもって退職する。既にホームページ「SAMEJIMA TIMES」を立ち上げており、退職後に本格運営していくものと思われる。「吉田調書」問題で知られる鮫島氏の試みは成功するのか。

■5月末に退職「小さなメディアを目指す」

鮫島氏の試みは成功するのか(SAMEJIMA TIMESから)

 鮫島浩氏は朝日新聞でも有名な記者で、テレビ朝日など他媒体への出演も多い。何より有名になったのは、福島第一原発の吉田調書問題である。「所長命令に違反して9割が逃げた」とする誤報に関わり「失脚…」(SAMEJIMA TIMES 本人プロフィールから)したことは多くの人に知られている。

 ツイッターでは多くの投稿を行なっており、フォロワー5万7000を誇る。投稿はリベラルと言うより、ラジカルと呼んでいいものも少なからず存在し、アンチから攻撃の対象となってきた。良くも悪くも、日本で最も知名度の高い記者の1人と言っていい。

 鮫島氏は5月末で朝日新聞を退社することを決めており、その前にホームページ「SAMEJIMA TIMES」を開設、「小さなメディアを目指す」としている。3月20日の投稿は「『筆者同盟』結成をここに宣言します!」というタイトル。

 ツイッターでHPの記事を引用しながら「新聞社を去り小さなメディアになると決意してひとり執筆を続けてきた『SAMEJIMA TIMES』。そこへ新たな仲間が加わる。巨大メディアや著名な言論人にひとりではかなわないが、手を取り合い束となれば道は開ける。そんな思いを込めて『筆者同盟』と名付けました。乞うご期待!」と紹介している。その第1回として同日、小倉悠加氏のアイスランドからの記事が掲載されている。

■朝日新聞という看板を失った鮫島氏の商品価値

 要は自分でサイトを運営し、自分が書くのはもちろん、志を同じくする人に執筆をしてもらい言論プラットフォーム化しようということのようである。当サイトと似たようなシステムで、WordPressを使っているところまで同じ。広告は入っていないが、退職してから入れるのではないか。在職中に広告を入れると副業とみなされ、社外活動の申請など手続きが面倒になることが予想されるため入れていないものと思われる。

 鮫島氏は僕のような無名のライターではないから、それなりの勝算はあると思っているのかもしれない。しかし、その発言がこれまで広く社会に伝播されたから「SAMEJIMA TIMES」でも同じような影響力を保持できると計算しているとしたら、それは甘いと言うしかない。

 鮫島氏は朝日新聞という看板によって、大きな影響力があったことを理解した方がいい。高名なメディアに所属する記者が一般常識からかけ離れた発言をするからこそ、アンチも騒いだのである。朝日というだけで(正しいことを言っているに違いない)と考える人はまだまだ多く、それを利用してラジカルな主張を広めようとする行為を許し難いと感じていた人たちが反応していたという構図があったことは意識すべき。朝日の看板を失った元記者が何を叫んでも(また、イカれたことを言ってるな)と、多くの人に無視されるのがオチ。

 僕が日刊スポーツに所属していた時、ニッカンスポーツコムで、ある大学の元教授のコラムを掲載していた。取締役の知り合いだったらしく無理矢理サイトにねじ込まれてきたのだが、話は面白くない上、コメントを書いてきたユーザーをバカにするような返信を繰り返し、サイト内でもお荷物になっていた。

 今から思うと炎上商法なのかもしれないが、「あいつを辞めさせろ」というメールが数多く来て、結局、間に入った取締役も庇いきれずに打ち切りとなった。その後、その元教授はアメブロで同種のタイトルのコラムを書いていたが、同じような内容なのにコメントはほとんどつかず、訪れる人もなかったようで、そのうちサイトごと消えてしまった。

■朝日新聞的主張はネットの”燃料”でしかない

 新聞社を辞めて独立した先達として言わせてもらえば、朝日新聞の看板を失えば商品価値が暴落することを覚悟した方がいい。そして、朝日新聞的な主張は今の時代、ネットの”燃料”となる以外、存在価値をそれほど見いだせないことも合わせて意識すべき。

 「朝日がまた、こんなことを書いている」と一般ユーザーの怒りの対象となって多く読まれることがあっても、鮫島氏が同じような主張を自分のサイトでやった場合、アンチから攻撃すべき相手と認識してもらえるかどうか分からない。その結果、PVは増えず、広告収入も低迷し、運営困難に陥る可能性はある。

 高々とぶち上げた「筆者同盟」も、原稿料なしに他人のサイトのために書いてみようという人は少ないはず。原稿料はなくてもいいから、自分が有名になるために寄稿するという人以外は期待できず、そうした人の原稿のレベルは高が知れているであろう。第1回の小倉悠加氏の「こちらアイスランド(1)私は五十を過ぎて妖精の国に移住した」も、失礼ながら原稿料を支払って書いていただくレベルにはないと感じる。

 そもそも筆者同盟の理由である「巨大メディアや著名な言論人にひとりではかなわないが、手を取り合い束となれば道は開ける。」という部分に甘さが滲み出ている。相手が巨大なメディアであろうが、正しい主張をすれば、それなりに支持は集まる。質こそが重要であり、量で巨大なメディアに対抗しても勝てるわけがない。

 いかに多くの仲間を集めるかではなく、いかに洞察力のある、鋭い記事が書けるかこそが問われることに気付かないのであれば、言論プラットフォームなど立ち上げようと思わない方がいい。

■鮫島氏を使おうと考える媒体はあるのか

 鮫島氏にどのような支援者がついているのか知らないが、生き残るためには自身がさまざまな媒体で活躍し、その知名度を使ってサイトへ誘引するしかないと思う。彼を使う媒体があるか分からないが、せいぜい頑張っていただきたいと思う。

One thought on “鮫島浩氏 朝日退職で商品価値暴落に気付け

  1. アバター ケン より:

    鮫島氏の英断にはエールを送りたい。約束された高収入を捨てるのは勇気が必要だし、葛藤が有ったと思う。フリージャーナーリストとして、今後の活躍を願う。彼はジャーナーリストなのか?はこの際、置いておく。松田氏が指摘されるように、朝日の看板が無くなるのは、相当にマイナス。彼には、伊藤氏の様な舞台女優系のビジネスモデルは難しい。仰るように、記事自体が勝負になる。SNSが発達し、市井の論者レベルが上がった現状では、同様の発信者は数多く存在する。松田氏の様な、裏付けと洞察から構成される、読み応えのある記事を発信して欲しいと思います。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。