オーギュストロダン愛ダービー制すも…
松田 隆🇯🇵 @東京 Tokyo🇯🇵
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ディープインパクト産駒のオーギュストロダン(牡3、A.オブライエン厩舎)が2日のG1愛ダービー(芝12f)を制し、英愛ダービー制覇を達成した。単勝1.3倍の断然の1番人気に応え、2着に1馬身半差をつけての勝利。ただ、軽いメンバーを相手にしては、思ったほどの強さではなかったのは気にかかる。
◼️勝ち時計も平凡
1番枠から出たオーギュストロダンは、終始3番手を進んだ。直線残り2f付近で逃げるアデレードリヴァーを捉え、徐々に差を広げて優勝。アデレードリヴァーが2着を死守し、3着が1勝馬のコベントガーデン、4着ペキンオペラとA.オブライエン厩舎が4着までを独占した。
英ダービーとのダブル制覇は2016年のハーザンド以来7年ぶり19頭目で、管理するA.オブライエン調教師にとってはガリレオ(2001)、ハイシャパラル(2002)、キャメロット(2012)、オーストラリア(2014)に続く5度目の英愛ダービー制覇となった。なお、愛ダービーは15度目の優勝で、騎乗したR.ムーア騎手は9度目の挑戦で初めての優勝を記録した。
英ダービーは2着のキングオブスティールと半馬身差だったが、3着のホワイトバーチは2着から4馬身4分の3離れており、結果を見れば2頭のマッチレースに近い決着となった。そのキングオブスティールは愛ダービーには向かわず6月23日のG2キングエドワードⅦ世S(芝10f)を制した。
レース内容を見る限り、英ダービー1、2着は相当強かったように思うが、それを考えると、愛ダービーでのオーギュストロダンのパフォーマンスはやや期待外れの部分があることは否めない。スローで前残りの競馬のため、2着との差はそれほどつかなかったのは仕方がないにせよ、勝ちタイムの2分33秒24も良馬場にしては平凡。2001年のガリレオは稍重馬場で2分27秒1で走破していることを思うとディープインパクトらしいスピードが発揮できなかったように思う。
残り4f付近でサンアントニオに故障発生で競走を中止しており、ライバルと目された2番人気の英ダービー3着馬ホワイトバーチ、3番人気の同4着馬スプリーウェルが、まともに不利を受けており(両馬は8、6着)、それがなければ、どうなっていたか。
2頭とも後方にいたのでスローの用意ドンの競馬では苦しかったとは思うが、どちらかが1、2着の間に割って入った可能性は否定できない。それも含めて、今回の勝利には恵まれた部分があったと言っていいように思う。
◼️秋は英チャンピオンSか
英愛ダービーを制覇したのは素晴らしいが、G1英2000ギニーで12着と惨敗している事実を思えば、オーギュストロダンをディープインパクトの再来のように扱うのはいかがかと思われる。少なくとも父親のような完璧に近い馬ということはなさそうではある。
その一方で競走馬を常に100%の状態で出走させることは難しく、イクイノックスでもG1宝塚記念では牝馬に足元を掬われそうになる場面を我々は目撃しており、とにかく弱敵相手でも勝ちは勝ちと考えれば、一流のチャンピオンホースという評価も可能である。
レース後にA.オブライエン調教師は、次走は7月29日のG1キングジョージⅥ世&クイーンエリザベスS(アスコット、芝11f211y)が有力であると話した。そこで古馬相手に真価が問われることになりそう。ブックメーカーの前売りオッズは3.0~3.4倍で一番人気に推されている。
なお、同調教師は英ダービー優勝後に国際レースや10f戦にも挑むことを話していたが、キングジョージ以外に10月21日のG1英チャンピオンS(アスコット、芝9f212y)も候補に挙げていた。そうなると、その前に9月9日のG1愛チャンピオンS(レパーズタウン、芝10f)参戦も考えられる。
10月1日のG1凱旋門賞に関して多くを語っていないのは道悪になることが多いため、不向きと考えているのかもしれない。同時に種牡馬価値を考えた時に、キングジョージで古馬相手に12f戦を制すれば、凱旋門賞を勝ってもそれほど評価は変わらないため、英愛チャンピオンSで中距離やマイルの強豪をねじ伏せた方がいいという思惑もあるように思う。
◼️ジャパンカップへの参戦は?
今回の愛ダービーはグリーンチャンネルで急遽、生放送された。日本のファンにもディープインパクトのラストクロップの最大のスターへの視線は熱い。
英ダービーを制した時点で、ジャパンCの報奨金(300万ドル=約4億4000万円)交付対象となっており、本賞金と合わせると10億円近い賞金となることから、ジャパンC参戦の可能性もある。
アイルランド調教馬でも、日本のファンが多いだけに、この先も頑張っていただき、良い形で種牡馬入りしてディープインパクトの血を欧州に根付かせてほしいと感じている。
》》ジャーナリスト松田様
オーギュストロダンの英愛ダービー連覇は、日本の競馬ファンにとっても実に喜ばしいニュースですね。馬名に恥じない堂々たる記録をこれからも刻んで欲しいものです。
もちろんファンとしては、父ディープインパクトが飛んだ府中のターフでオーギュストロダンが走る姿を観たいですね。ジャパンCは国際招待競走と言っても、高速馬場のため超が付くほどのスピード決着になる傾向があります。近年はホームの日本馬に優位性があり外国馬はなかなか馬券には絡みません。おそらくロダンであれば日本の軽い馬場の適性は十分にあるでしょうし、チーム・オブライエンを持ってすれば遠征も問題ないはずです。小生のご主人様であるJRA様(笑)のお力で実現にこぎつけて欲しいですね。
ともあれディープ最後の贈り物オーギュストロダンの今後の活躍と無事を心から願っています。
1980年代からジャパンCを取材していた者としては、強い外国馬が日本の馬を負かして欧米かぶれの記者を喜ばせてほしいという思いもあります。そういう意味で、オーギュストロダンに期待しています。
現時点では、キングジョージから国際Sを経由して英チャンピオンS、ジャパンCが有力と思っています。キングジョージで古馬相手に12f戦を勝てば、道悪になることが多い凱旋門賞に行く必要はないという判断をしそうです。泥田のパリロンシャンよりも府中の軽い馬場の方がいいと考え、さらに報奨金もあるので来日する可能性はわずかですがあると思います。
4クラのうち2クラ勝てば文句なく、引退して種牡馬でしょう。血統的価値を考えれば、あと1クラ勝っただけでも引退の可能性はあると思います。色々と楽しみが多い馬です。