「日本語上手は差別」在日&中日新聞の主張

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松田 隆🇯🇵 @東京 Tokyo🇯🇵

松田 隆🇯🇵 @東京 Tokyo🇯🇵

青山学院大学大学院法務研究科卒業。1985年から2014年まで日刊スポーツ新聞社に勤務。退職後にフリーランスのジャーナリストとして活動を開始。

 在日コリアン四世が「日本語、上手ですね」と言われることは差別とするコラムが18日、中日新聞電子版の「目耳録」に掲載された。なぜ、差別になるのか理解に苦しむが、執筆した記者は理解を示している。これに賛同する読者がいるのか疑問に思う。

■何げない言葉が無意識に差別に

写真はイメージ

 問題のコラムは18日16時に公開された「<目耳録>無意識」というコラムで、大野孝志記者の署名がある。

 内容を簡単に紹介しよう。広島県福山市の在日コリアン四世の尹李英愛(ユンリヨンエ)氏(37)は職場で「日本語、上手ですね」と言われる。上司からは外国人の名前だから、言う方には悪気はないと言われるという。

 仕事の関係で1日の半分は韓国語を話していることも影響しているのかもしれないと考える尹李さんだが、「アメリカで暮らす黒人に向かって、白人が『英語がうまいですね』と言うのと同じでは?」と疑問を感じ、「社員の二割が外国人で、民族差別はあり得ないと思っていた」とする。

 多くの同胞が差別や偏見を恐れて通名を使用する中、尹李氏は本名を使用する。今の若い日本人は近現代史を知らないから、在日の存在に気づかないのかもしれないと考えている。

 こうした尹李さんの話を聞き、大野記者は「何げない言葉が無意識に差別になり、言われた人の心をザラつかせる。」とまとめている。

■的外れなアフリカンアメリカンの例示

 大野記者が一体、何が言いたいのか分かる人がどれだけいるだろうか。多くの人は外国人の名前で仕事をする人が自在に日本語を操る姿に驚き、「日本語、上手ですね」と言っているのであろう。それを考えて上司が悪気はないと説明しているのであろうし、おそらく「褒め言葉だよ」という趣旨の話をしているものと思われる。

 それだけの話。それがどうして「民族差別」とか「言われた人の心をザラつかせる」となるのか、読者も首を捻ってしまうのではないか。

 しかも、米国のアフリカンアメリカンに「英語が上手ですね」と言ったらどうなるかという例示も的外れ。米国にはアフリカンアメリカンは存在することを知らない米国人などいないであろうし、白人からすれば一目で民族的なルーツが異なることは理解できる上、彼らを外国人だと思っている米国人もほとんどいないと思われる(カナダ人や英国人と考えるかもしれないが、英語を話すことには変わりはない)。

 最近ではスペイン語しか話せない米国人も増えているとは聞くが、アフリカンアメリカンに「英語が上手ですね」と言う米国人がいたら、常識では考えられないほどの無知無学か、アフリカンアメリカンを米国人と認めたくない政治的な思惑を持ち、挑発目的で発言する場合のいずれかであろう。

 一方、アジア系、特に日本の近隣諸国の人々は見た目だけで日本人と見分けることが困難であり、その点でアフリカンアメリカンの場合と前提が異なる。そのような人々が、明らかに日本には従来存在しない外国人の名前を使用していれば(日本語ネイティブではない近隣諸国からやってきた外国人)と判断することに、一定の合理性が認められる。そうなると、外国人相手に「日本語、上手ですね」と褒め言葉を言って、円滑なコミュニケーションを取ろうとするのはごく平均的な日本人の手法である。

 上司が「悪気はない」と言っているのはそうした意味を含めているのは想像に難くない。言われた尹李さんも「私、生まれも育ちも日本だから」と笑って答えれば、お互いの距離も近くなるはず。それを「差別だ」と言い出して上司に解決を求めるような人間は国籍どうこうではなく、人間として付き合いたくないと思う人がほとんどだと思う。

 それをあたかも誉め言葉を言った人々を悪者にするかのように「何げない言葉が無意識に差別になり、言われた人の心をザラつかせる。」と締める大野記者の思考回路が理解できない。

■考えて主張するのは自由だが…

 尹李氏が差別だと感じるのはなぜかよく分からないが、想像するに「特に若い人は近現代史を知らないから、在日の存在に気付かないのかも…」という部分にあるように思う。

 在日コリアンも三世、四世になれば、母国の言葉よりも日本語の方が使いやすくなっているのであろう。日本人と変わらないどころか、日本人以上に日本語を巧みに操る人もいると思う。在日コリアンは日本語がネイティブではない外国人とは異なり、日本語のネイティブである場合が多い。

 そして、そのようになったのは、大日本帝国が日韓併合で朝鮮半島を事実上植民地化したことに遠因がある。それを知らずに在日という他の外国人と違う人々が存在することを知らないことは、私たちを軽んじていると言いたいのではないか。

 そう考え、主張するのは自由であるが、この考えを突き詰めていけば、以下のようなことを主張しているように思える。

 ーー日本人は日本語が巧みな在日コリアンという存在を生み出したことを反省しろ、日本語が巧みなのは、お前たちの先祖の間違った国策のせいで、私は被害者だ。ーー

■多文化共生は片務的な努力ではいけない

写真はイメージ

 日本でも多文化共生の重要性が叫ばれている。この多文化共生は文化や民族、国籍の違いを理由に排除するのではなく、異なる文化を理解し、尊重し、認め合う姿勢が大事だと言われる。

 その意味では在日コリアンがなぜ、日本にいるのかという歴史を知ることは必要かもしれない。もっとも、歴史を知るなら片面的ではなく、さまざまな角度から見なければならない。例えば戦後、在日コリアンや韓国、北朝鮮が日本社会にどのように敵対し、日本社会に対して攻撃してきたかも知る必要がある。拉致問題は現在進行形のテロである。そもそも併合の歴史的評価はどうなのかも考えなくてはいけない。

 それら両方の側面から歴史を理解した上で、これからどのように共生していけるかを我々は考えていかなければならないし、それは在日コリアンの側も同様である。本件では言った方はそれらの難しい事情を超越して友好を図ろうとしているように思えるので、あえて学ぶ必要はないと思うが。

 日本における日本人と在日コリアンの共生は、日本人が在日コリアンに特権を与え、免責する片務的なものであっていいはずがない。在日コリアンも共生のための努力は必要である。歴史を学ぶべきと言うのであれば、在日コリアンも、これまで日本社会に対して負の影響を与えてきた数々の歴史を学ぶべき。まず、そこから始めないと真の共生などできるはずがない。

■中日新聞のステレオタイプの記事に辟易

 日本人が好意を持って接しているのに「差別だ」と攻撃する姿勢が多文化共生に資する行為と思っていたら、大きな間違いである。

 大野記者は在日コリアンとの共生を望むのであれば、そうした側面から論じるべきであろう。いい加減、こうした「日本が悪い」「日本人を啓蒙する」といったステレオタイプの記事はやめたらどうかと思う。

    "「日本語上手は差別」在日&中日新聞の主張"に3件のコメントがあります

    1. より:

      なんでもかんでも差別と言い特権を求める人々は一定数います。本当の平等とはその特権の排除だと思うのですが。
      在日コリアンとメディアが手を組んで日本を批判するのは今やよくある光景になってるのが残念です。
      日本が嫌いなら在日を止めればいいのに、彼らは死んでも叫び続けるでしょうね

    2. ななし より:

      松田さんこんにわ
      バイト先で「フィリピンの人が入るから。日本語カタコトだから。」と言われ現場に行ったら見たことない人がいて皆カタコトの英語で話しかけた。ところがカタコトどころか流暢な、日本語で皆「めっちゃ日本語できますやん!」と驚いた。実は目鼻立ちのくっきりした日本人だった。
      彼も「この職場は外国の人が多い」と思ったらしく皆で大笑いしたが実際はそんなもの。
      ブラジルの人なんて外見だけならどこの国の人か分からない。
      中日新聞もネタ切れですかね。
      個人的には日本語上手ですね。は、お国に帰って日本語を勉強したい人にこのくらい迄なら自信をもって教えれますよ。
      と相手に伝えるために言ってますね。

    3. Sara より:

      まさしくそう思います。相手も話のきっかけを作ろうとしているのですから、いちいちイラつかずにうまく返して仲良くなる方法は考えないのでしょうか。こういう声ばかりあがると、例の突撃された方の時のように、全員がそうではないとわかっていても、つい内心、関わりたくないなと引いてしまいたくなります。

      黒人の例も意味がわかりませんね。

      そういえば、アメリカに留学しているときに、Your English is good.と言われるうちは、英語がまだまだって意味だと言われた方があります。外国語として頑張って話してるのがまるわかりということ、決してネイティブではないから言われる(もちろん悪気は全くない)ことなのだそうです。
      向こうは、アジア系のネイティブもたくさんいて、ど田舎でなければ、アジア人が英語を話すのなんて全然不思議ではないのだということ。でもどんな意味があれ、フレンドリーな質問である以上、それを差別だと思ったことは一度もありませんし、そこからどう返して発展させるか、その人次第といったところですよね。

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