自薦ヘルパーで不正受給は可能か システムの盲点
松田 隆🇯🇵 @東京 Tokyo🇯🇵
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社民党常任幹事の伊是名夏子氏が自身のコラムでヘルパー申請をする時に虚偽の事実を述べたことを告白し問題になった。ヘルパーをめぐっては、ネットを中心に不正を行うことが可能と指摘する声が少なくない。そこで現役の相談支援専門員にヘルパー支給に関して不正受給が可能か、可能であればどのような不正が可能かを聞いた。
■50代女性・相談支援専門員の見解
取材に協力してくれたのは50代の女性の相談支援専門員のA子さん。実際に自分は不正受給の手助けをしたこともなく、当初は不正のイメージすら湧かないという状況のようであった。しかし、話を進める中、現行システムであれば不正は可能であるという見解を示した。
ここで示す不正の手口は犯罪の可能性が強く、決して真似をすべきではない。当サイトがあえてそのような不正な手口を明らかにするのは、システムの脆弱性を指摘することで正常で健全な障害者支援に資することを期待する公益目的である。同時に、伊是名氏が不正をしていると摘示するものでは決してなく、同氏においてそのような事実の存在を推測するものですらないことを合わせて指摘しておく。
相談支援専門員について説明すると、相談支援事業者に所属し障害を持つ人を対象とした相談業務を行う人のことで、極めて抽象的に表現すれば「障害者のケアマネさん」と言っていい。ヘルパーに関してはこの相談支援専門員の果たす役割が大きい。障害者がヘルパー支給を受けるまでの過程を簡単に示す。
(1)相談と申請:ヘルパーなどの援助が必要かを市町村か相談支援事業者(相談支援専門員)に相談、サービス利用等計画案を作成し、市町村に申請を行う。
(2)訪問調査:申請後に市町村から生活状況や障害の状況について調査を受ける。
(3)審査と認定:市町村から医師へ意見書の作成を依頼。調査の結果と医師の意見書をもとに障害程度区分が認定される。
(4)決定:認定区分をもとに、ヘルパー等のサービスの種類や支給量が決まる。
(5)利用計画作成と契約:相談支援専門員がサービス利用等計画案をベースにサービス等利用計画を作成し、サービス提供業者を選択、契約する
(6)サービス開始:契約に基づき、ヘルパーが派遣される等のサービスの利用が始まる。
■相談支援専門員が不正受給に加担するメリット
もし、仮に不正受給をしようと考えた場合、相談支援専門員が障害者の障害の状況を実態よりも悪く評価し、より多くの支給を得られるようにすることが出発点になり得る。
A子:障害者が相談支援専門員と組んで不正受給するとしても、相談支援専門員にお金が入るわけではありません。メリットはないように思えます。ただ、相談支援事業者とヘルパー派遣事業者が事実上一体であれば、相談支援専門員がヘルパー派遣事業者に派遣依頼をかけるわけですから、そこはメリットになり得るのかもしれません。
実際にヘルパー派遣事業者が相談支援事業者を同時に運営している例は少なくない。こうして(1)の部分で相談支援専門員が障害者と組んで、必要以上のサービス利用等計画案を作成する動機は存在することになる。
問題は(2)と(3)である。市町村から障害の状況等の調査を受け、さらに医師の意見書が必要となる。過度のサービス利用等の計画案を作成しても、ここでチェックに引っかかることはないのか。
松田:医師は定期的に診断書を提出するのでしょうか
A子:福祉サービスを使いたいという時に、診断書がいります。その後は先生(医師)は普通、放ったままです。
松田:本人が医師に「一人でお風呂に入れません」などと言った時に、医師が「いや、あなたは入れるはずだ」と言うようなことはありますか
A子:いえ、本人が言えば、その通りになるように思います。どう見ても自力で入れるように見える場合であれば「本当に入れないのかな」と言うことはあるかもしれませんが。
松田:市町村の調査はどうでしょう
A子:認定調査員が来て、何ができる、何ができないというのをチェックします。その時は(本人以外に)ご家族に話を聞くことがありますし、(相談支援専門員である)私は大抵、立ち合います。そこで「本当にできませんか」と聞かれることはあります。
松田:そこで障害者が「できません」と嘘を言ったとしましょう。相談支援専門員はこの人の支援区分が実態より重く認定されれば、自分と一体のヘルパー事業者からヘルパーを派遣できると考えたら、本当のことを言うでしょうか
A子:そうですね、言えませんね、きっと。
松田:認定調査員の調査の前に、障害者と話を合わせませんか
A子:そうでしょうね。
■自薦ヘルパーを利用した不正
こうして、認定調査をクリアし(4)ヘルパー等のサービスの種類や支給量が決まる。(5)サービス等利用計画を作成し、サービス提供業者を選択、契約する際に自分の事業者からヘルパーを派遣する計画を作成すればいい。自薦ヘルパーということで自分の友人をヘルパー登録し、相談支援専門員の関係するヘルパー派遣事業者からの派遣という形にすれば、当該障害者のヘルパー派遣を独占できるのである。
ヘルパーへの給料は、各都道府県の国保蓮(国民健康保険団体連合)からヘルパー派遣事業者へ報酬の形で支払われる。関係者によるとヘルパーの時給は早朝や夜間を除き1400円~1600円。これに対してヘルパー派遣事業者に支払われる報酬は自治体によって差異はあるが1時間あたり4500円程度とされる。この中からヘルパー派遣事業者はヘルパーに給与を支払い、その他、必要経費に充てることとなる。当然、事業者の利益も含まれる。
仮に障害者と相談支援専門員が、独占的にヘルパー派遣を1つの事業者からの派遣とした場合、障害者へのバックマージンを支払うことは可能かもしれない。相談支援専門員とヘルパー派遣事業者が一体化していれば、そのような契約のハードルは低くなる。
さらに問題なのは自薦ヘルパーの場合、障害者との結びつきが強い点である。そこを利用して、ヘルパーの架空請求が可能と考えられないか。
松田:例えば、10人来ているところを、「来なくていい、来たことにしておくから」ということで5人しか来ていないようにするわけです。あるいは1人が1日に4時間しか働かないのに、6時間分の給料をあげる代わりに、10時間働いたとして国保蓮に請求するというやり方なら4時間分、ヘルパーに行くべき給料を含めて報酬が事業者に入ります。それを障害者と折半するというヘルパーの架空請求ができませんか
A子:やろうと思えばできないことではないですよね。私たち相談支援専門員はそこまで見ていないから、(不正な受給が)分からないですよね。
松田:A子さんはヘルパー派遣事業者とは一体となっていない相談支援事業者に所属されているから、そんなことは考えないのかもしれません。ヘルパー派遣事業者と一体になっている相談支援事業者に所属する相談支援専門員なら、考えませんか
A子:そう言われると…できないことはないですからね。
■不正を行う事業者の存在
このような不正について実際に行われているのかは分からない。また、A子さんはそのような事例を聞いたことはないという。ただし、事業者も1人残らず清廉潔白な人たちばかりというわけではないのではないか。その点について聞いてみた。
松田:これまでに道徳的ではない福祉関係の事業者の例を聞いたことがありますか
A子:1年に1度、市町村で相談支援事業所の人を呼んで話をすることがあります。その時に、不正のあった(福祉関連の)事業者が何件あったとか、(認定が)取り消しになりましたとか、話は聞きます。
松田:不正とは具体的にどういう不正だったのですか
A子:デイサービスに来てないのに「来たよ」と言って(報酬の申請を)出したという話を聞きました。(えー、そういうことをしちゃうんだ)と思いました。
松田:デイサービスに来てないのに「来ました」と言うのと、ヘルパーを派遣していないのに「派遣しました」と言うのは、それほど差がないように思いますが
A子:そうね、そこには差はないかもしれないですね。やってることは同じですよね、きっと。
松田:架空請求ですね
A子:そういうことですね。
■システム上、ヘルパー利用の不正は可能
以上のように、障害者と相談支援専門員、ヘルパー派遣事業者、ヘルパーが組むことでヘルパー派遣に関する不正は行えるのではないかというのが、現役の相談支援専門員の見解である。実際に行われているかどうかは分からないが、システム上、可能であると考えて良さそうである。
なお、これまで川崎市は4月中旬以降に、障害の状態が大きく変化したため、障害支援区分を見直した例があったことを明らかにしている。その中に伊是名氏が含まれているかどうかは答えられないとしている(参照:川崎市が審査会を実施 伊是名氏は?)。
女史は自分でセルフケアプランを提出しているでしょうから、事業所・女史・ヘルパーさんのこの三角関係が結託していれば監査が入っても、不正な部分があっても口裏合わせして終了かと。
後は税務調査を掛けるか、県や厚労省を通して自薦ヘルパー制度の欠如を元に動かすしか無いのかも知れません。
それと渦中の事業所のサービス提供責任者が何人いるのかも重要ですね。同時に、介護福祉士有資格者疑惑者も居るようです。介護の仕事にそぐわない衣装・ピアス・ネイル、ボランティアならまだしも、仕事でその格好で来られたら現場から外しますよ
松田さんこんにちは
中日新聞はようやく高須克弥氏のリコール運動は取り上げてくれていますが、こちらの話はまだまだですね。
ヘルパー不正申請もですが、ヘルパーの介助の内容も疑問点があります。
ヘルパーは障害者の介助をするためで家政婦ではありません。が伊是名氏がブログにあげている動画や写真の中にはあれ?というものがあります。
又来宮駅へ同行したヘルパーと伊是名氏の友人は姉妹だという話もききます。マスクをしている顔出し写真がありますが、2人共若いですね。ケアプランを立てていない、伊是名氏を背負って階段を降りる危険行為を回避しなかったなど、少し勉強不足の感じはします。
この件に関し、全国ホームヘルパー広域自薦登録協会(略称:全国広域協会)
への取材とか、続報に興味があります。
以前、ブログの反社会的なエントリーの大量削除(一括でなく)は社民党が主導して手分けして行った、とすればつじつまが合うのでないかと、思っていましたが、むしろヘルパーがらみの不正受給が本丸であわててたので、他の反社会的エントリの消し方があまくなったんではないかと思い始めました。
高松市の「プリン・ハウス」事件という障害介護報酬架空請求事件があったのを思い出しましたが、同地にご夫妻が住んでいた時期と関係ないですかね。
松田様
お疲れ様です。いつも大変興味深く記事を読ませて頂いております。
お忙しい中、一つひとつに丁寧にご返信されていらっしゃることに頭が下がる思いです。
今回は記事を読んで少し疑問に思ったことがあります。
それは、不正利用の目的は事業所と障害者では違うのではないかということです。
>> 仮に障害者と相談支援専門員が、独占的にヘルパー派遣を1つの事業者からの派遣とした場合、障害者へのバックマージンを支払うことは可能かもしれない。
>> 松田:例えば、10人来ているところを 〜略〜
あるいは1人が1日に4時間しか働かないのに、6時間分の給料をあげる代わりに、10時間働いたとして国保蓮に請求するというやり方なら4時間分、ヘルパーに行くべき給料を含めて報酬が事業者に入ります。それを障害者と折半するというヘルパーの架空請求ができませんか
とありますが、障害者が状態を偽って実際より重く申告するとしたら、それはサービスの時間数を増やしてたくさんヘルパーさんに来てもらい、(税金で)楽をしたいということが目的だと思います。障害者にとってはお金が目的ではなく。
事業所はサービスをたくさん提供すれば多くのお金が入るのでメリットになりますが、事業所自体は障害者が嘘の申告をしたかは分からない場合もある(多い)と思います。
状態を偽って重く申告し重度訪問介護制度で自薦ヘルパーを利用した場合、そのヘルパーが友人や知り合いなら長時間の訪問でもおしゃべりなどして、大変な身体介護をせずに掃除・洗濯などの家事や、制度では認められていないサービスをしていてもヘルパーさんや事業所にはお金が入ります。
重度訪問介護では見守りもサービスに含まれているので、例えば本来一人で出来るのに食事に介助が必要と虚偽申請しておき、実際は介助を受けずに自薦ヘルパーである友人と一緒に食事をしているだけでヘルパーや事業所に報酬が支払われるのです。
友人の自薦ヘルパーではなく事業所に元々登録されているヘルパーさんなら、あまりに状態が違っておかしいなと思えば事業所へ相談したり自治体からの聞き取りで報告するでしょうから、不正利用は長くは続かないと思います。
虚偽の申請によりサービスを多く受けることで
障害者は税金で楽をし、
ヘルパーは通常よりも簡単な作業でお給料をもらい、事業所は収入が増える。というwin-winの関係が成り立ちます。
自薦ヘルパー制度は、過疎地域などで重度訪問介護制度を利用したくても事業所も見つからないような方や、ヘルパー不足や単価が低いなどの理由で引き受けてくれる事業所が見つからない重度障害の方々にとって必要な制度だと思いますが、不正利用・不正受給を防ぐために利用制限を付けたりチェックを厳しくする、不正に利用した場合の罰則を設けるなどした方が良いのではと思ってしまいます。
松田様
(3)審査と認定 に、…障害程度区分が認定される。とありますが、
2014年(平成26年)4月から「障害程度区分」は、障害の多様な特性その他の心身の状態に応じて必要とされる標準的な支援の度合いを総合的に示す「障害支援区分」に改められました。
【 障害者総合支援法における「障害支援区分」への見直し 】
(平成26年4月1日 施行)
https://www.mhlw.go.jp/bunya/shougaihoken/other/dl/140121_01.pdf
お知らせまで。
今気付きましたが、「障害支援区分」に改められた2014年は、ちょうど伊是名氏が川崎市に転入した時期です。
障害程度区分(障害の重さ)から障害支援区分(必要とされる支援の度合)に制度が変わったことで、新しい自治体であれこれと理由をつけて支給時間数を一気に増やしたのかもしれませんね。