免職教師の叫び(26)聖女の仮面
松田 隆🇯🇵 @東京 Tokyo🇯🇵
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中学3年の時から教師から性的暴行を受けていたとする写真家の石田郁子氏は、聖女の仮面を被っているかのようである。元教師の鈴木浩氏(仮名)に対する損害賠償請求訴訟の控訴審から社民党・共産党と親和性の高い支援者が次々と現れ、メディアへの露出を増やしたが、そこでは性的に奥手な少女を毒牙にかける卑劣な教師という構図が描かれていった。しかし、訴訟資料や鈴木氏の証言からは全く別の顔が見えてくる。
■女性自身電子版で伝えられた石田氏
石田氏を取材した媒体の多くが、石田氏を性的に未熟な、純粋な少女のように描いている。9月13日公開の女性自身電子版では「ずっと『恋愛』だと思い込まされてきて、それが『犯罪』であったと気付いたときは37歳になっていた。」とする。恋愛だと思い込まされるというのも、具体的にはどのような方法で思い込まされるものなのか分からず、37歳まで犯罪だと気付かなかったのであれば、それは普通、犯罪ではない。いずれにせよ、石田氏が世間知らず、性にも奥手の少女のように描かれている。
その上で、15歳の時にキスをされた後、石田氏の話として「私は子供なのにいやらしいことをしてしまったんだと思う…当時の私にとって、性的な犯罪というのは、夜道で怖い人が襲うというイメージでした。でも教員は、『好きだ』と言いながら性的なことをしてくる。」というコメントを紹介している。
さらに、その後の話として「私が大学生になると、教員から直接の性行為を求められるようになるんです。私自身はずっと感情をなくしている状態ですから、怖くもないし、楽しくもない。ただ、性交がうまくいかないんです。私が受け入れる状態になれない。不感症というものじゃないかと疑ったこともありました。ただ痛いばかりで、『痛い、無理です』となっていました」、さらに「教師と生徒。その絶対的な支配関係があって、一緒にいる間は、私は人形のようになっていたと思います。DVの構造に似ているのかもしれません。」などとしている。
また、石田氏は39歳の頃からPTSD(心的外傷後ストレス障害)の症状が出始めたとしている。少女時代の経験が、20年以上の時を経て発症したかのように記述されている。
(以上、女性自身電子版:前編・教師の性暴力を母に告白し叱られ…28年苦しみ実名で戦った被害者、後編・教師からの性暴力を顔出しで訴え…「どうか被害者を責めないで」から)
■不都合な事実が記載されない記事
女性自身電子版で石田氏が語った人生を彼女の年齢に沿って記述すると以下のようになる。
15歳:鈴木浩氏にキスをされる
15~18歳:車内で上半身裸にされ、罪悪感をもって家に帰るなど
18歳~:大学生になり、性的関係を求められたが受け入れる状態にならない
19歳夏:別れを告げられる
23歳:教育実習で高校の教壇に立ち、生徒を恋愛対象にするのはおかしいと感じる
25歳頃:金沢美術工芸大学に入学
29歳:卒業後、写真家として生計を立てるようになる
34歳:沖縄で高齢で服役経験のある男性と友人になる
37歳:児童福祉法違反の裁判を傍聴
38歳:鈴木氏を居酒屋に呼び出し、会話を録音する(※記事内に年齢が分かる記述はないが、2015年12月であることは裁判で提出された証拠から明らかにされている)
39歳:PTSDの症状が出始める
これは石田氏の話を元にしているため、客観的事実と異なる点も多数含まれているが、それはさておき、これを見てどう感じるであろうか。
言葉は悪いが無垢な少女が10代の頃、悪い教師に性的な対象とされ、その後、大学を2つ卒業しカメラマンとして独り立ちしていったものの、20年以上経過してからPTSDを発症、ストレス障害、すなわち精神的な変調を来したという人生が読み取れる。しかし、裁判資料で明らかになっている、石田氏に都合の悪い事実は全く記載されていない。
■売春を含む風俗の仕事に従事
鈴木氏の証言、及び共通の友人の松永なおみ氏(仮名)の証言から、石田氏が別れを告げられたのは19歳の夏(1997年=平成9年)ではなく20歳の夏(1998年=平成10年)であることは間違いないが(連載(12)CAN YOU CELEBRATE?)、その点は措くとして、一審判決には以下のような記載がある。
「被告教諭と性交渉を重ねていた平成9年当時、既に大学生であり、その後に被告教諭以外の男性とも交際した経験を有するばかりか、売春を含む風俗の仕事までしていた原告石田においては…」(一審判決・p13)
若い女性が男性と交際すること自体を責める気はないが、鈴木氏以外との恋愛関係のある男性がいたことは間違いなく、そうした事実が記事には出ていない。売春を含む風俗の話も同様である。さらに判決文は以下のように続けている。
「原告石田は、被告教諭との男女関係が解消された平成9年より後の間もない時期から、売春を含む風俗の仕事をするようになったり、自殺未遂を図ろうとしたりした結果、1年間に渡ってカウンセリングを受けることを必要とするなど、比較的長期間にわたって精神的に不安定な状況に陥っており…」(一審判決・p13)。
さらに37歳の頃にもカウンセリングを受け始めた当時のことを、石田氏は訴状の中でこのように記述している。
「この頃(筆者註:児童買春の裁判を傍聴した2015年5月=37歳)から、原告は、精神的に不安定になり、眠れない、物事に過敏に反応して落ち込みやすい、などの状況に陥った。…そこで原告は…カウンセリングを受け始めた。」(訴状・p6)
これらの事実から明らかなように、石田氏は39歳の時にPTSDが発症したとするが、それ以前から精神的に不安定な状態であったことは間違いない。しかし、記事では一切触れられていない。鈴木氏は交際当時から石田氏の精神状態の不安定さを懸念しており、2015年に石田氏に呼び出され居酒屋で会った時には、石田氏から精神科でカウンセリングを受けている事実を告げられている(連載(11)心の闇、連載(9)妄想と迎合)。
■剥がされる聖女の仮面
石田氏の主張に対して、一審の東京地裁は厳しい判断を下している。恋愛だと思い込まされていたということを20年以上経ってから気付くことなどあり得ないとした。
「被告教諭と性交渉を重ねていた平成9年当時、既に大学生であり、その後に被告教諭以外の男性とも交際した経験を有するばかりか、売春を含む風俗の仕事までしていた原告石田において、上記裁判傍聴をするまで上記のような誤解(筆者註:恋愛だと思い込まされていたという事実)が解消されることなく続いていたとは考え難い。」(一審判決・p13)
また、PTSDに関しても「上記診断(筆者註:PTSD)の正確性には疑問を挟む余地がある」(一審判決・p13)とし、さらに「仮に原告石田につき…PTSDを発症したことがあるとしても、それより前から続いていた精神的に不安定な状況が発生していた中で、売春を含む風俗の仕事まで経験し…この裁判(筆者註:少女買春事件の公判)傍聴を契機に被告教諭に対する感情が激化したことに伴って引き起こされた付随的な症状にすぎなかったとも考えられる…」(一審判決・p14)とする。
つまり、PTSDになったという診断は疑わしく、仮に本当にPTSDだったとしても、以前から精神的に不安定だったことが主要因ではないかとしているのである。
こうして一審東京地裁は、石田氏の「聖女の仮面」を剥いでおり、この判断は控訴審でも維持されている。
石田氏が裁判を傍聴したのは2015年5月のこと。鈴木氏と別れた後、他の男性と交際し、さらに売春を含む風俗業に従事。30代で沖縄で服役経験のある男性と友人になるという人生を辿って、38歳の時に中学時代の教師を処分しようと思い立ったという。2019年2月、41歳の時に鈴木氏を提訴、同年3月に破産手続きが開始されている。
判決文が認めた事実を、石田氏の年齢でまとめると以下のようになる。
19歳(実際は20歳)~:他の男性と交際
22~23歳:売春を含む風俗業に従事する
24歳:自殺未遂を図るなど精神的に不安定な状況となり、1年間カウンセリングを受ける
38歳:児童買春の裁判を傍聴したのを契機に鈴木氏への処分ないし処罰感情が激化
41歳(2月):鈴木氏を提訴(3000万円の損害賠償請求)
41歳(3月):破産手続き開始決定
上記の経緯で鈴木氏を提訴し、結果は1、2審とも請求は棄却されている。ただし、2審が石田氏が主張する中学時代からの性的暴行の事実を認定。これは民事訴訟でいうところの「不意打ちの禁止」(裁判所が当事者に意見陳述の機会を与えずに判決の資料とすることを禁ずるもの)の要請に反するようにも思える。この点、高裁は石田氏の請求は棄却する判決のため、不意打ちには当たらないと考えたのかもしれない。いずれにせよ、鈴木氏は勝訴しているため最高裁に上告する機会もなく判決が確定してしまい、結果としてその事実認定が免職へとつながったのである。
■鈴木浩氏を逆恨みか
以上のように、メディアで伝えられる石田氏の素顔と、判決から想像される石田氏の素顔は全く異質なものと思える。
石田氏は24歳の時に精神的に不安定な状態となっており、さらに37歳の頃にも不安定な状態となった。判決文を読む限り、精神的に不安定になった石田氏が、一時は交際していた鈴木氏を逆恨みして、一連の行為に及んでいるのではないかと想像がつく。しかし、メディアからは聖女のような石田氏の姿しか見えてこない。
この点を鈴木氏は「メディアは真実を報じるものと、2019年2月(石田氏が提訴した時)までは思っていました。それが月日が進むにしたがって『真実はどうでもよくて、面白ければいい、話題になればいい』ということなのだなと気づきました。あるいは『私が報じたいように取材する』という、それがメディアだと思うようになりました」と話す。
ちなみに自己破産の直前に民事訴訟を起こすのはよくあるパターンとされる。早期に請求が認められれば、賠償金で弁済が可能になるなどの利点があるからと思われる。
鈴木氏も「石田が私を訴えたのは最初は金目当てだと思っています。その後、控訴審から左翼系の支援者が入り、政治的なものとなっていったように思います」と言う。
さらに「石田が性的に奔放だったのは、私と交際している時に性行為の話ばかりだったこと、東京への旅行で知り合った人と性交して、それを自慢げに私に話していたことからも明らかでしょう(連載(2)決意した別れ)」とする。
それが石田氏サイドの巧みなメディア対策によって、聖女の虚像が肥大化していく。「判決文では石田に不利に働く認定は石田が出してきた証拠の多くから引用されています。自業自得です。それがニュースで伝えられる時には、石田が加害教諭の悪事を裁判で暴いたかのように報じられ、さらに裁判での反論を取り上げて『加害教諭が石田をいじめている』というように伝えられています。何でそうなるんだ、という思いです」。
石田氏の素顔は、鈴木氏に聞くまでもなく判決文に当たれば明らか。石田氏が被害者で鈴木氏が加害者の構図を作り出すための聖女の仮面が、真実を覆い隠しているように思える。
(第27回へ続く)
(第25回に戻る)
(第1回に戻る)
石田郁子氏の訴えは伊藤詩織と同様、私怨と有名になりたいという動機からだと考えています。石田氏の場合、記事の指摘のように、自己破産対策もあるでしょう。
詩織嬢の自称ノンフィクションで「お疲れ様です」で始まるビザサポート督促メールが省かれていたことにつき、彼女の弁護士は「性被害者特有の迎合」と屁理屈を述べていました。
石田氏が売春業に従事していたのは、売れない写真家という状況からの副業だと思いますが、彼女や弁護士は、「性犯罪被害者とりわけ若年層で被害に遭った女性は、売春に走ったりや不特定多数と関係を持つなど自暴自棄になる傾向が強い」とでも主張してくるのではないでしょうか。
教育現場における性犯罪は対策が急がれる課題ではありますが、石田氏の場合、文部科学省が文部科学省への政策提言者として選定するに相応しい人物ではありません。民事ですら、被害は認定されていないのですから。
NA 様
「性犯罪被害者とりわけ若年層で被害に遭った女性は、売春に走ったりや不特定多数と関係を持つなど自暴自棄になる傾向が強い」とでも主張ーーー
仰る通りで、私も懸念しています。
自称被害者は、真の被害者の実情をよく把握していますからね。
月の桂 様
「自称被害者は、真の被害者の実情をよく把握していますからね」
反日的な左翼の強大な支援がある石田氏や詩織嬢と、新井センセーの違い。これが要因のように思えてきました。
非常に心配になりました。
鈴木氏は、民事で勝訴しているわけですよね。それなのに二審で「性的暴行の事実を認定」されてしまった為、このような仕打ちに遭っているわけですよね。
松田さんは前の記事で、「伊藤詩織事件においては、山口氏が勝つ可能性があるのではないか」と言われています。私もそう思っています。
しかしたとえ勝ったとしても、勝ち方に隙があれば、メディアの力で、いくらでも悪にされてしまうわけですよね。現に山口氏も刑事で不起訴が確定しているにもかかわらず、そのことには触れられず、民事一審敗訴ばかりを取り上げられています。
メディアの力とは、なんと恐ろしい。松田さんだけが、最後のとりでです。どうか、最後まで、正義を貫いてください。よろしくお願いします!
鈴木氏(仮名)が描かれた石田氏の絵、後方の黒い物体が不気味です。さすがは美術教師、よく描かれています。
では、この絵を読み解いてみましょう。
この得体の知れない黒い物体が彼女の本質で、幽体離脱のごとく身体から離れ、別な場所で悪さをしている。そして、人間の姿をした方の石田氏は聖女として生きている。世間は聖女を好みます。世間ウケするようメディアも報道する。事実でないことも繰り返し伝えるうちに事実となり、嘘をつかずとも重要な事実を意図的に伝えないことにより、善良な市民は騙される。こうして、報道による冤罪が作られていくのです。虚ろな黄色の眼と口を半開きにした石田氏が迫って来るような構図。鈴木氏の強い恐怖心を感じ取れます。
石田氏が健全とはいえないような性交渉に走ったのは経済的なことだけではないように思います。性的な密着をしないと気持ちが安定しないということでしょうか。元々の不安定さに加え、粘着気質による鈴木氏への絶ち難い怒りもあるのでしょう。妄想に拍車が掛かっているような気がします。
もはや、精神医学の分野で解析しないと理解が及ばないレベルですね。
》》ジャーナリスト松田様
【免職教師の叫び】も26回を向かえたんですね。松田さんのある意味で記者根性を感じます。陳腐な表現で申し訳ございません。
齢60歳の私には、もはや心配はございませんが、男性でも女性でも恋愛に絡むトラブルは交通事故の様に誰にも起こり得る悲劇だと実感致します。また人間の感情の変節であったり、情念もまた恐ろしく感じています。
真実と現実の相違を私には受け入れることが出来ないと思います。法律の限界もまた思い知った気がします。