免職教師の叫び(29)沈黙の招待券
松田 隆🇯🇵 @東京 Tokyo🇯🇵
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札幌市の中学校教師・鈴木浩氏(仮名)が今年1月28日に免職になった事件で、そのスタートとされたのが、1993年3月に行われた美術展である。当時中学3年生だった写真家の石田郁子氏(44)は鈴木氏から(招待券があるから)と誘われたとする。しかし、訴状では明らかにされていた「招待券」という単語が、その後、姿を消している。なぜ、招待券という言葉が使われなくなったのか、「招待券で展覧会に入場した」と言えない事情があるのか。そこに事件の鍵を握る謎が隠されているのかもしれない。
■石田氏は展覧会には行ったはず
石田氏は札幌市で中学3年生だった1993年3月上旬、鈴木氏から「北海道立近代美術館の展覧会『個性(こころ)の北帰行ー岩橋英遠と片岡球子の世界』の招待券があるので3月14日(卒業式前日)に一緒に行こう、と誘ってきた」とし、その後、鈴木氏のアパートでキスをされ、床で抱きしめられるなどされたとしている(石田氏が提起した損害賠償請求の訴状p3-p4)。
ここから鈴木氏と交際と思わされて関係が続き、大学生になったら性行為を行ったというのが石田氏の主張であり、それは複数の媒体で報じられている(FNNプライムオンライン・性暴力を受けた少女は「交際」と信じた 教師のわいせつはなぜ裁かれなかったか ほか)。
この点、当時の鈴木氏のアパートは足の踏み場もないほど散らかっており、とても女性を床に寝かせることなどできないという、両者の共通の友人の証言もあり、少なくとも石田氏の証言の一部は虚偽であることは明らかになった(連載(12)CAN YOU CELEBRATE?)。その点を当サイトが指摘したところ、その後の記事では床に横にされたという部分がなくなっている(連載(22)終わりなき妄想の日々)。
提訴後、石田氏は多くの媒体の取材に答えているが、招待券についてはほとんど言及していない。たとえば「教員から誘われ、美術の展覧会に行ったとき…」(2020年12月15日 NHKクローズアップ現代・教員からの性暴力なくすために 最前線からの提言)、「中3の卒業式の前日に、その教員から突然、『チケットがあるんだ』と、美術館に誘われました。」(2021年9月13日 女性自身電子版・教師の性暴力を母に告白し叱られ…28年苦しみ実名で戦った被害者)というように、招待券という単語を封印したかのようである。
こうした経緯からすると、石田氏が鈴木氏に誘われて展覧会に行ったという事実にも疑問符がつく。結論を申せば、石田氏が当該展覧会に行ったことは間違いない。なぜなら、関係者の話から石田氏は2016年2月に札幌市教委に鈴木氏を処分するように求めた後、証拠としてチケットの半券のコピーを提出していることが明らかになっているからである。2016年の時点で、石田氏は半券の複写を第三者に提出したという事実は、よく覚えておいていただきたい。この事実が、その後の経緯に影響してくる。
■「招待券を受け取った」と断言しない石田氏
美術教師だった鈴木氏には、北海道立近代美術館などの美術館が展覧会を行う際には2枚程度招待券が送付されていたという。石田氏が招待券の交付の事実を知っている理由は定かではないが、北海道大学在学中の2年から3年のほぼ1年間、鈴木氏と交際していること、同大を卒業後、金沢美術工芸大学に入学、卒業しており、美術教育の現場の事情についても知る機会が多かったことから、招待券について知っていたとしても特段不思議なことではない。
展覧会に誘われたことは、石田氏の主張によれば、性的暴行を受けることになったきっかけになった、重要な出来事である。その事実を語る場合、実際に鈴木氏が入手した招待券で展覧会に入ったと断言する方が、被害を受けたことを信じてもらえるであろう。なぜなら、招待券を餌に生徒を誘い出し、その後、アパートに連れ込んでわいせつな行為に及んだと主張できるからである。
しかし、訴状では「招待券があるので3月14日(卒業式前日)に一緒に行こう、と誘ってきた」と書かれているだけで、実際に招待券で入ったのか、他のチケットで入ったのかは明らかにされていない。石田氏にすれば招待券で入ったと断言すれば、その後の裁判を有利に戦えるのに、なぜ、そこをボカすのか、ボカすことで何かメリットがあるのか、合理性を欠く行為(主張)と言うしかない。
■情報公開条例第9条で公文書開示請求
なぜ、石田氏は裁判で招待券で入ったと主張しなかったのか。もし、その時の半券を処分していたら「招待券で入りました」と言えばいい。もはやそれを確認する術はない。招待券で入ったことは証明できないが、逆に言えば、別の券で入ったと断定されることもない。
しかし、ここで思い出していただきたいのが、前述の2016年の時点で、石田氏が半券の複写を市教委に提出しているという事実である。仮に裁判で「招待券をもらった」と断言したとしよう。そうなると共同被告(市教委と鈴木氏)でもある市教委にはチケットのコピーが提出されているのであるから、提出された半券が示され「招待券ではない」と反証されかねない。そうなれば裁判を維持できなくなる可能性もある。
それゆえ、招待券と断言せず、市教委には提出したチケットのコピーではあるが、裁判では提出しなかったのであろう。「このチケットはヤバい」という弁護士の判断が働き、そこは触れてほしくないと思えばこそ、どのチケットで入ったかを明言しなかったというところが真相ではないか。
こうして考えると「招待券をもらいました」と断言しないことは、石田氏が提示したチケットが招待券ではないことを示していると言っていい。そして、そのことは、石田氏は本当の招待券を見た事がないことを自白しているに等しい。それを以下で説明する。
当サイトでは、北海道情報公開条例第9条の規定により、公文書開示請求を行った。道立近代美術館に「個性(こころ)の北帰行ー岩橋英遠と片岡球子の世界」で用いられたチケット全種の開示を請求したところ、認められた。
写真Aを見ていただきたい。招待券の図柄は①裸婦(片岡球子)と②風景(岩橋英遠)の2種あり、小学生と中学生向けのチケットは裸婦の図柄のみである。もし、石田氏が市教委に提出したチケットの図柄が風景であれば、それは招待券である。風景画が用いられているのは招待券だけなので、それ以外の可能性はない。もっとも、そのことは一般の人は知る由もなく、情報開示請求によって明らかになったものである。
もし、裸婦の図柄が提出されているとすれば、招待券①か小中生チケットのいずれかということになる。どちらのチケットも使用すると、左の部分がもぎられるため、残された半券は招待券なのか、小中生チケットなのかは判断がつかなくなる。
■もぎられる部分に「招待券」
最も大事なことは招待券のもぎられる部分に「招待券」と書かれていること(写真B参照)。もし、石田氏が本当に招待券を受け取っているのであれば「この半券だけでは分かりませんが、もぎられた部分に招待券と明示してありました」と言って、招待券をもらったと主張できる。
それをしないのは、石田氏が招待券を見ていないことの傍証となる。もともと招待券は関係者にのみ配られるもので、一般人が入手することはほとんど不可能である。「招待券で入ったと言わないことは、招待券を見た事がないから」とする理由の1つがそこにある。
結局、石田氏は小中生チケットで入館し、展覧会を見た後、妄想で招待券をもらったストーリーを作り上げたと仮定すると、全ては合理的に説明がつく。
2019年に鈴木氏を提訴する際に、弁護士は当然、石田氏に「この半券は鈴木先生からもらった招待券ですか?」と聞くであろう。「招待券です」という答が戻ってきた場合、「半券には招待券と書いてありませんが、本当に大丈夫ですか? 招待券だと証明できますか?」と確認するはず。その時に石田氏が「もぎられた部分に招待券とありました」と言えば、訴状にはその事情を含めて「招待券があると誘われ、それをもらって入館した」と書くのは間違いない。
しかし、それが書かれていないということは、石田氏が(もぎられた部分に招待券と書かれていた)と言わなかったことに他ならない。招待券を見た事がないはずの石田氏が、そのことを知るはずがない。そのため「『これは招待券だ』と言われて、もらった」と答えるしかなく、弁護士も後から既に市教委に提出したチケットは招待券ではないと指摘されるリスクを回避するために(招待券があるので3月14日(卒業式前日)に一緒に行こう、と誘ってきた)と、訴状にどのチケットで入ったかをはっきりさせない表現で書いたとすれば、石田氏の一連の合理性のない行為の説明がつく。
■招待券は渡していない
この点、鈴木氏に聞くと、現在、札幌市と復職を目指して戦っている最中であり、詳細は話せないとする。「言えることは、私は特定の生徒に招待券を渡すような行為はしていないし、実際に石田氏に招待券を渡していないということです」と話した。
また、公文書開示請求で入手したチケットを示し、「石田氏が市教委に提出した半券の図柄が風景画であれば招待券であることは間違いありませんが、その点はどうでしょう」と聞くと、以下のような答えであった。
「その点も何も言えません。繰り返しになりますが、私は石田氏には招待券を渡していないし、また、当時中3の石田氏も私以外に招待券を入手するルートはないはずです。ですから、石田氏が招待券を市教委に出せるはずがありません。それで、お察しください。」
(第30回へ続く)
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「合成写真」に続き、「招待券」の虚偽も炙り出されそうですね。
招待券の画像、中高生向けのチケットとの対比がわかりやすいです。石田氏は招待券は使っていないと思われます。招待券の三文字が綻びとなり、引っ張られて穴が開かないよう、その言葉を封印したように感じられます。姑息な手段というのは、こういうことを言うのでしょうね。
石田氏や氏の関係者も、こちらのサイトをご覧になっているでしょう。もう逃げられない…と動揺しているのか、それとも、なんとか逃げきろうと思っているのか…。
いずれにしろ、松田さんには脅威を覚えているはずです。業務妨害程度で済まない攻撃も無いとは言い切れません。身辺には、くれぐれもお気をつけ下さいね。