免職教師の叫び(22)終わりなき妄想の日々
松田 隆🇯🇵 @東京 Tokyo🇯🇵
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週刊女性自身の電子版が9月13日、カメラマンの石田郁子氏の記事を公開した。中学時代から教師にわいせつな行為をされ、その後、懲戒免職に追い込んだ経緯を本人のコメントを交えて構成されている。特段、目新しい内容はないが、当サイトが虚偽の疑いが濃いと指摘した部分には言及せず、また、客観的な事実と反する事実を述べている。嘘を上書きした結果、さらに嘘がバレるという決定的なミスを犯している。
■石田郁子氏の新たな妄想
石田氏の記事は週刊女性自身2021年9月21日号に掲載されており、電子版でも読むことができる。前後編に渡る長編であるが、加害者とされた元教師の鈴木浩氏(仮名)の話はなく、石田氏の主張する事実がそのまま紹介され、石田氏のコメントだけで構成されている(参照:前編・教師の性暴力を母に告白し叱られ…28年苦しみ実名、後編・教師からの性暴力を顔出しで訴え…「どうか被害者を責めないで」)。
石田氏の主張する内容の多くが客観的事実と異なることは当連載で指摘してきた。それを石田氏に確かめ、同時に鈴木氏のコメントを取れば「教師からの性暴力を顔出しで訴え」などというタイトルの記事はできなくなるため、女性自身は鈴木氏サイドには何の取材もしなかったのかもしれない。石田氏の言い分だけで記事を構成する光文社の姿勢には疑問が残る。
この記事の中で、石田氏は新たな虚偽の事実を指摘している。
石田氏の新たな虚偽は前編の2ページ目。中学時代から性的な関係を強要され、大学生になると性交を求められるようになる。大学2年夏に別れることになるが、その部分を石田氏はこう説明している。
「大学2年の夏でした。教員に新しい恋人ができたようで、私とは会わなくなりました。彼の相手は、新任でやってきた女性教師だったようです。…」
石田氏が北海道大学の2年生だった時期は1997年4月~1998年3月。つまり、1997年夏に鈴木氏は新任教師と交際を始め、それで石田氏と別れることになったというのである。石田氏の言う新任教師は実在し、当サイトでも紹介したA子さんである。石田氏は鈴木氏から交際を打ち切られた後、新たな交際相手のA子さんのアパートを突然訪れたことは紹介した(連載(8)ホラー映画の如く)。
しかし、A子さんが鈴木氏が交際を始めるのは1998年秋。石田氏の交際時期とは重なっていない。
■鈴木氏「今回、初めて聞きました」
石田氏は、2019年2月に提起した損害賠償請求訴訟の訴状では別れた理由は性交の時に痛みが出て、セックスが合わないと言われ、連絡が途絶えたとしていた。
2020年9月30日にフジテレビ系で放映されたニュースでも以下のように説明されている。「大学2年のとき、Xとの関係は終わった。石田さんが性交痛を訴えると連絡が来なくなったのだ。」(性暴力を受けた少女は「交際」と信じた 教師のわいせつはなぜ裁かれなかったか)。
鈴木氏に聞くと、1997年から1998年の交際期間で、石田氏が性交痛を訴えたことは一度もなかったという。石田氏が別れの理由としてそのような虚偽を述べたのは、自ら望んで性交をしていたわけではないという主張をするためだったと思われる。
ところが今回の記事では、性交痛を別れの原因としていたものを、鈴木氏に新しい恋人ができたことに変更してきた。性交痛を訴えてフラれたというより、鈴木氏が別の女性に気持ちが行ってフラれたという方が、より、不誠実・不道徳な教師に翻弄された女子学生というイメージを強調できるとでも考えたのかもしれない。石田氏が真実を語り続けているのであれば、このような証言の変遷などあり得ない。
鈴木氏に話を聞くと「石田と付き合い始めた当時(1997年夏)、A子さんとはまだ交際していません。当時勤務していた学校は教師が50人ほどいて、A子さんが1997年にいたかどうかもはっきり覚えていません。1998年に同じ学年の担任をしたことで親しくなり、交際を始めました。これまで訴状やフジテレビなどの各種報道は見ていましたが、『新しい恋人ができたようで、私とは会わなくなりました』という話は、今回、初めて聞きました。石田はこうやって次から次へと事実ではないことを言い続けているわけです」と話した。
■当サイトの記事で嘘がバレて?…証言変更
もう1点、指摘しておこう。石田氏は、当サイトが6月以降、連載で指摘した部分の事実関係を見たのか、自らの言い分を変更している。
1993年3月14日、石田氏の中学の卒業式の前日、石田氏は美術館で腹痛になり、自動車で鈴木氏のアパートに連れて行かれ、部屋でキスされたというのは、石田氏が鈴木氏を訴えた際の訴状にも記述されている。前述の2020年9月30日にフジテレビ系で放映されたニュースでも紹介されている。その部分をそのまま示す。
【フジテレビ】(性暴力を受けた少女は「交際」と信じた 教師のわいせつはなぜ裁かれなかったか:2020年10月1日公開)
「いきなりキスしようとしたのは悪かった。実は好きだったんだ。」X(筆者註:鈴木氏のこと)はこう言って石田さんに一方的にキスをした。そして過呼吸になり、泣き出した石田さんを横にして体を触った。石田さんの頭は空っぽになり、何が起こったのか全くわからない状態になってしまった。
赤文字部分にご注目いただきたい。石田氏は横にされたとするが、当時の鈴木氏の部屋は画材などで散らかり放題で足の踏み場もなかったという。2人の共通の友人である松永なおみ氏は、当サイトの取材にこう答えている。
【令和電子瓦版】(連載(12)CAN YOU CELEBRATE? 2021年7月6日公開)
「それはもう、ものすごい散らかり方で、床に座ることなどできません。椅子があったので、そこに座るように言われました。部屋に上がる際に『土足でいいよ』と言われたぐらい、汚れていました。その床に横になるスペースはありませんし、土足でいいような床に女性を横にしようとするなど、考えられません」
このように松永氏は女性を横たえるスペースなどなかったと証言し、石田氏は虚偽を述べていると明言した。当サイトの記事公開後、女性自身の記事でキスの部分は以下のようになっている。
【女性自身】(教師の性暴力を母に告白し叱られ…28年苦しみ実名 2021年9月13日公開)
やがて体調が戻った彼女が画集などを見ていると、
「実は好きだったんだ」
いったんは拒絶したものの、無理やりキスをされた。
「私は頭が真っ白になり、過呼吸のような状態になって、泣きだしてしまいました。…」
ご覧のように「横にして体を触った」という部分がすっぽりと欠落している。フジテレビで放映されてから1年、証言を変えなければならない理由は何なのか。当サイトの記事、松永なおみ氏の証言以外に理由は考えられない。こちらは嘘と指摘されて、嘘を引っ込めたパターンと言っていい。
1998年夏から秋にかけて、鈴木氏が石田氏に別れを告げた時から、石田氏が全く現実ではない妄想を口にするようになったとしている。今回の女性自身の記事は、石田氏の妄想が今も続き、新たな空想物語を創作している証左と言えるのではないか。
■本当は被害者ではないのでは?
石田氏の証言の多くは客観的な事実と異なり、石田氏が証拠として示した写真は合成されたものであることも明らかになっている(参照:連載(19)影なき闇の不在証明)。
当サイトの取材に対しては弁護士を通じて「現在多忙のため今回は遠慮いたします」と断っておきながら(参照:連載(20)沈黙する石田郁子氏)、自分の言い分をおそらく何の検証もなしに掲載してくれる女性自身の記者は自宅に招き入れ、記者がろくに事実を検証しないことをいいことに、取材に対して新たなストーリーを語り記事にさせる。疑いもなく書く方も書く方だが、もとはといえば、そのような事実と異なる、あるいは過去の自己の証言と異なることを話す石田氏本人に問題があるのは言うまでもない。
石田氏は女性自身の記事で「被害の当事者はけっして悪くないと伝えたいです」と語っている。それは今回の記事を含め、石田氏の証言や証拠(写真)が虚偽であることを指摘している当サイトに向けてのメッセージでもあるのかもしれない。そうであるなら、当サイトとしては以下のように答えておこう。
「もし、あなたが責められていると感じるのであれば、それはあなたが、本当は被害者ではないからではないですか?」
(第23回へ続く)
(第21回に戻る)
(第1回に戻る)
英国でも、一定期間交際していた男女で、男性が女をふったことで、交際当初から望まない性交を強いられたとして被害を訴えた事件がある。男性が逮捕・拘留されたり、裁判で有罪判決を受け服役までした後に、女性の虚偽告訴が発覚したというのだが、いずれの事件でも加害者として男性は不当な扱いを受けたにもかかわらず、女性の氏名等は一切公表されず刑の処遇すら明らかにされることはなかった。
それどころか、BBCやオープン大学(放送大学のようなところ)は、性的暴行犯の冤罪は2-10%とごく僅かであり、、虚偽告訴の厳罰化に反対し、女性が被害を警察に訴えることを躊躇させるような雰囲気をつくってはいけないという論調である。
冤罪被害について改善策を考察する報道はなく、行政が支援する動きもない。冤罪被害の男性らが自助グループを立ち上げるのが精いっぱいなのである。性犯罪に係る冤罪は、窃盗や(男同士の)喧嘩による傷害等、他の犯罪の冤罪被害と大きく異なり、冤罪被害者やその家族に大きな精神的な傷、社会的生活への支障をもたらすにもかかわらず、だ。
虚偽告訴は、冤罪被害者だけでなく、捜査・司法機関にも大きな負担をかける悪質な犯罪である。法改正はともかく、現行法の厳格な適用と加害内容の報道を、躊躇うことがあってはならない。
ここまで22回読んできましたが、昨年7月に石田氏が、法務省の性犯罪に関する刑事法検討会 第3回会議(令和2年7月9日)に出席し、その会議に提出した資料の中のある記述についてまだ言及されていないようなので、お尋ねしたく思います。同会議の議事録等につきましては、https://www.moj.go.jp/keiji1/keiji12_00049.htmlを参照ください。その資料というのは「資料5質問への回答」というものなのですが、そのPDFファイルの2ページ目の13行目から、「23歳の時に、加害者教員から失恋の相談の手紙が2通来た時に迷惑だと思い、札幌市教育委員会に加害者教員が生徒と二度と交際しないように告げました・・・・」とあります。鈴木氏と石田氏が分かれてから3、4年後に、鈴木氏から石田氏に、鈴木氏の恋愛相談の手紙が2通来た、と読めるのですが、これは事実でしょうか。事実であれば、2015年の居酒屋の面会が17年ぶりというのが少し疑わしく見えてきますし、鈴木氏のいう石田氏の病的性質への評価が、ここで語られてきたものとは少し違って見えてきます。またもし石田氏のいうような手紙を出した事実がないのだとすると、この件は法務省の会議での発言(提出資料)ですから、石田氏の一連の証言の信頼性に大いに疑問が湧いてくるものとなります。石田氏はこの手紙の件を、札幌市教育委員会に持ち込んだと同資料にありますから、裏を取ることができるかもしれません(記録が残っていれば)。
>>Anonymous informant様
石田氏はご指摘の手紙や、鈴木氏が石田氏の両親に宛てて出したとする手紙、それからフジテレビに提供した写真などの物証は、全て裁判に出していません。それが何を意味するかはお分かりでしょう。
いずれも鈴木氏が全く知らないとする証拠であり、偽造したものと思われます(写真は既に偽造であることは当サイトが証明している)。敗訴に直結する偽造した証拠を出すのはリスクが大きいと、本人や弁護士が考えたのではないでしょうか。
法務省にはいずれ、取材を申し込む予定です。刑法改正のための参考人が、虚偽の事実を述べている者でいいのかというのは聞きたいところです。
法務省の刑事法研究会で、民事訴訟ですら決着がついていない事例について、被害者を自称する人物の事例を参考にするというのは、極めて不適切だと思われます。学校教育の現場における教師の生徒に対する加害の問題は、早急に対応すべきことではありますが、石田氏の件を、現時点でというのは。
>>Anonymous informant様
石田氏が23歳の時、既に交際は終了していますから、鈴木氏がそのような手紙は出すはずがありませんし、これまで手紙を出したことはないと聞いています。念のため、鈴木氏本人に電話で確認したところ、「絶対に出していない」だそうです。
そして札幌市教委は2001年に石田氏が提出したという手紙に対して、「その当時の資料はない」と回答しています。それは裁判資料等に明記されています。
つまり、石田氏が市教委に出したと言っているだけで、それを証明する証拠はなく、市教委も提出を受けたことを証明することはできない状況です。法務省の資料に関しては、石田氏の話は真実とも虚偽とも証明できていません。
ただし、鈴木氏は絶対に出していないとしているのですから、可能性としては、(1)偽造した手紙を提出したが市教委が廃棄処分にした、(2)提出していないのに提出したと言っている、のいずれかと思われます。
〉「被害の当事者はけっして悪くないと伝えたいです」
これは、被害者に対する基本中の基本の考えです。支援者ならば必ず伝える内容ですが、偽の当事者に向けた話ではありません。
偽る人間を正すのは当然のことです。
このシリーズ、過去記事検索が楽になりましたね。更に読みやすくなりました!!
有り難うございます!!