浜野まいか なでしこ決勝T切り札
松田 隆🇯🇵 @東京 Tokyo🇯🇵
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サッカー女子W杯は今日5日から決勝トーナメントが始まる。2011年以来12年ぶりの優勝を狙う日本は、左肩負傷で戦列を離れていたFW浜野まいか選手(19)の復帰が見込まれる。U20W杯準優勝時の最優秀選手で、抜群の決定力を持つ。1次リーグでスペインを倒して3戦3勝、世界に衝撃を与えたなでしこジャパンだが、これからの戦いは浜野まいかが脚光を浴びるかもしれない。
◼️現在はスウェーデンリーグ
浜野まいか選手は、現在、スウェーデンのハンマルビーに所属(アーセナルからレンタル中)している。大会開始直前の7月18日の練習中に左肩を痛め、今回のW杯選出のフィールドプレーヤーとしては唯一、出場機会がない。
ただし、現地からの報道では、負傷から9日後の7月27日に全体練習に部分参加し(スポーツ報知電子版・なでしこ浜野まいか、屋外トレーニングに参加…気温8度の強風で冷え込む中、全体練習にも部分参加)、翌28日の練習では別メニューが多かったが、ボール回しやフィジカルのトレーニングはチームと一緒に行なっている。
練習後の取材では、コンディションが上がってきていることを明らかにした(サッカーキング・負傷で2戦欠場も…なでしこFW浜野まいか「目的は世界一。そのためには何でもする」)。
8月1日から全体練習に合流し、2日にはミニゲームに参加したと報じられており(Soccer Digest web・「みんなと同じプレーをしていたら流れは変えられない」別メニュー調整だったなでしこJ浜野まいかが復帰!「チームの世界一に貢献できたら」)、復帰は秒読みの段階に入っている。
なでしこジャパンは1次リーグで11得点、スペイン戦の前半はシュート3本で3点を奪う、これまでの日本のサッカーでは考えられないような高い決定力を誇る。この決定力という点では、浜野選手こそがNo.1と言っていいのではないか。
特に注目を集めるようになったのが2022年のU20W杯コスタリカ大会の準決勝ブラジル戦でのゴール。1-1で迎えた後半39分、後方からフワリと浮いたパスに反応し、相手DF3人の間を抜け、セーブに走ってくる相手GKより一瞬早く右足のアウトでループシュートを放って決勝点を決めた(J SPORTS・【準決勝ハイライト】ブラジル vs. 日本 FIFA U-20 女子 ワールドカップ コスタリカ 2022、3分43秒あたりから)。
このゴールシーンの入った上記J SPORTSのYouTubeチャンネルは46万回視聴されており、この1発が筆者のような”にわかファン”にも与えた影響は大きかった。同大会で4得点1アシストで大会MVPを獲得。当時の代表には、現在、W杯に出場している藤野あおば選手(19)、石川璃音選手(19)もプレーしていた。
◼️点取り屋はゲームメイクも
現在、所属のハンマルビーでのプレーを見ると、トップ下でプレーしているようである。165cm、49kgという華奢な体型から1列目でガツガツと当たるプレーは向いていないと判断されているのかもしれない。
それでも6月15日のスウェーデンのカップ戦の決勝では先制点の起点となるスルーパスを通し、その後1得点1アシストで3-0の勝利に貢献した(ChelseaFCW Comps・Maika Hamano show MASTERCLASS Svenska Cupen Final!)。1本のパスで状況を変化させることができるタイプで、日本代表ではMF長谷川唯選手(24)がボランチでこなしている役割を、浜野選手が下り目の位置でこなすことも可能と思われる。
決勝トーナメントに入れば長谷川選手へのマークは厳しくなり、(パスの出どころを抑える)戦術で、日本が前線に効果的なパスを送れなくなる可能性はある。そんな時に浜野選手がその代役を果たすことも決して不可能な話ではない。こうしたことを考えると、個人的に浜野選手を一言で表現するなら「サッカーセンスの塊」といったところ。この選手こそが今大会でスターになるべきと考えている。
なお、浜野選手はシャツをパンツに”イン”しており、それだけで目立つ存在。シャツが外に出ていると邪魔というのが理由らしいが、昭和のスタイルには高齢のサッカーファンにはたまらない魅力の1つである。
◼️驚愕のスペイン戦の宮澤選手
1次リーグのなでしこの戦い方を見て、2011年の優勝チームとの比較においても、おそらく総合力では今の代表の方が上ではないかと感じられた。2011年の澤穂希選手、宮間あや選手のような傑出した存在はいないが、長谷川唯選手を筆頭に、全員のスキルが高い。逆に言えば、長谷川唯選手や浜野まいか選手が2011年のチームにいたら文句なく中心選手になっていたと思われ、特定の選手が目立たないのは、全員のスキルが高いことによる効果と言えなくもない。
個人的に驚いたのは、スペイン戦の先制点。宮澤ひなた選手がゴール前で相手GKと1対1になり、左足でゴール隅に流し込んだものであるが、あの状況で相手GKの動きを見て決める冷静さはすごいとしかいいようがない。カウンターで全力で駆け上がった宮澤選手が、ボールを持つと一瞬、タメを作って、冷静に流し込むという緩急の切り替えは見ていてため息が出るようである(FIFA・日本ースペイン戦ハイライト)。
決勝トーナメント1回戦から決勝まで4試合。おそらくこれまで目立っていない選手の活躍が見られるのではないかと思われ、その筆頭は浜野選手であると感じている。ノルウェー戦に出るか、午後1時の段階では不明であるが、日本にはまだ切り札が温存されていると考えたら、優勝への長い道のりもまた楽しくなる。